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空白の書(仮)  作者: とりぷるエイチ
1/1

目覚め

初投稿です

 目を覚ますとそこは知らない天井だった。


 真っ白で無機質で何も無い。 

 どうやらベッドで寝ていたようだ。どれくらい眠っていたのかは分からない。  

 最後の記憶は夜中、お腹がすいたのでしょうがなく自室のなれたベッドから起き上がり、コンビニに言ったところまで覚えている。

 一日中何も食べてなく、けだるげな体をどうにか動かして歩いていた。 

 めんどくさがりな性格でご飯を食べるのも面倒に感じてしまう僕だったが、流石に限界が来た。

 人間の三大欲求には僕の性格は勝てなかったようだ。 

 人通りも少なく、深夜一時。時折聞こえてくるのはトラックの走る音だけ。

 特に何も無い田舎道だ。自宅から五分ほどにあるコンビの光が見えてきた。

 何を食べようか考えていた時だった。不意にその音は聞こえた。 

 トラックの走行音とは違う、もっと巨大なノイズ。 

 音と同時に体に感じるのは凄まじい衝撃。まるでトラックにひかれたかのような、しかしそれとは違うと瞬間的に悟った。

 何も見えなかったのだ。

 見えない壁のような物に僕の体は吹き飛ばされた。死ぬのかこのまま。 

 走馬灯が頭の中によぎる、クラスメイトに告白して振られたことやそれをネタにされていじめられたこと。大学に落ちて帰ったときの親の失望した顔。

 いいことなんて何も無かったな、最後の記憶はそれだけだった。


 そして現在知らぬベッドで寝ている。ここは病院か、大体気絶して生きていた場合目が覚めて知らないベッドで寝ていたら病院という可能性が一番高い。

 だが、病院にあるような医療器具は体に取り付けられていないし、仰々しい機械のようなものも何も無かったし、窓も無く本当にただ白い部屋でベッドがあり僕はそこで寝ているだけだった。

 不思議と何の痛みも無かった。ベッドから降りてみると普通に歩けた。 

 右手側に扉だけがあった。このまま寝ているのもする事が無く暇なので外に出てみることにした。 

 窓が無いので今何処に居るのかも、昼か夜かも分からなかった。

 外にでてみたら何か分かるだろう。 扉に手をかけ開けてみた。 

 扉の外はまたしても寝ていた場所と同じ様な真っ白な部屋だった。 

 ただ、中央にお寺なんかにありそうな大きな仏像が鎮座していた。

 近寄ってみるとレプリカなどではなく本物のような感じだった。 

 いったいここはどこなんだ、死んで天国にでも言ったのかな。 

 それ以外何も無いので仏像を調べてみることにした。 

 大きさは僕が170センチくらいでそれより50センチくらいは大きいだろうか、大体2メートルくらいだ。 

 台座のような物に胡坐を掻いており、立ち上がったらもっと大きいなという感じだ。

 普通の仏像は立ち上がったりしないが。 

 手には西洋の平べったい剣を持っており、なんだかちぐはぐだ。

 顔は目をつぶり勇ましい剣士のよう。 

 仏像の周りを一周回ると背中に扉があった人一人入れそうなくらいの大きさで取っ手が付いていた。  なんとなく、空けたら危なそうと思ったけど開けてみた。 

 子供がぐっすりと寝ていた。 

 仏像の中は真っ白な綿で包まれ、赤子1人分の寝床があった。 

 寝ている子供の歳は十歳前後だろうか、黒いゴスロリ服を着た金髪の女の子だった。 

 覚めて初めて見る人間に少し安堵した。死後の虚無の世界かと思っていたのでこのままずっと一人だったらどうしようという思いがあった。

 今までも一人だったが、本当の一人は嫌だなと思っていた。 

 だが、この子供がどういうやつなのかわからない。

 子供だからと油断して襲われる可能性もある。 ここがどういう場所なのかわからない以上油断することはできない。 

 と、思考を巡らせていたとき。ゆっくりと子供が目を開けた

「うー、んあかるいな」 

 子供と目が合う

「まだまだ眠いのに、寝足りないよ」 

 そう言って眠たそうに伸びをする子供

「あなた、だれ?」 

 不思議そうにこちらを見るが、こっちが聞きたい。

「君こそ誰だ、それにここは」 

 少女は気怠そうに大きなあくびをして

「私は…、なまえ思い出せない。どこかもわからない」

「じゃあ俺と一緒か、目覚めたらここにいたんだ」

「そう、なの」「寝る前の記憶もないのか?」

「何も覚えてない、起きたらここにいてあなたがいた。あなたこそ誰なの」

「俺は竜崎肇、コンビニに行こうとしたらでっかい何かにぶつかって目覚めたらベッドで寝ていた。そこの」 

 扉を指差し

「もう一つの部屋から来た」 

 指差した先はまだベッドに横になっている少女には見えない位置だった、キョトンとしている。 

 改めて少女を見ると、とても整った顔をしている。まるでフランス人形のような小さくかわいい顔に流れるような美しい胸の位置まであるブロンドの髪。 

 将来成長したら相当な美人になることは間違い無いだろう。 

 いつまでも寝ててもしょうがないので少女に手を貸す。

「ほら起きろよ」

 無理やり少女の腕を取り引き起こした。

「なにする、まだ眠たいのに」

「いつまでもそこで寝ててもしょうがないだろ、取り敢えず起きて」

「それもそうね」 

 俺の手に引き上げられて渋々起き上がる少女。 

 しかし、これからどうしたもんか。

 人間と出会えたのは大きいが、子供だ。頼りなさすぎる。 

 見渡したところ俺が入ってきた扉以外扉はなさそうだ、完全に真っ白な密室。

 唯一手がかりがあるとしたら、このでかい仏像だけだ。 

 脱出ゲームでももう少しヒントはあるだろう。

 ここから脱出できたとして、果たしてそれが正解可は分からないが、もしかしたらここは死後の世界で永遠にここで意識だけが存在しているのが正しいのかもしれない。 

 それは嫌だなと思う。 

 いい経験なんてなかった人生で、死んだ先でもこんななんてあんまりだ。 

 可愛い少女と一緒なのが唯一の救いだけれど、この先があるのなら俺は進みたい。

「俺はこっから出れるなら出たいんだけど君はどうする?」

「君って言われるの、ちょっといやかも。名前で呼んで、ほしいかも」

「それはごめん、でき、、、名前覚えてないんでしょ?」

「うん、、、」 

 俯いてシュンとしてしまった。 

 名前も覚えてないとは、記憶喪失の人なんて初めてだから難しい。

「、、、つけて、、、しい」

「ん?」

 声が小さくてよく聞こえなかった。

「つけて欲しいです、名前」 

 名前をつけてほしい、そんなの親になるまですることはないと思っていた。

 こんな早く訪れるとは、まだ見ぬ子供を思って思案する。

 彼女もまだだというのに。 

 名前、ネーミングセンスに自信があるとは言えない。

 ゲームをするときの名前も本名でやるくらいだ、思いつかなくて。

 気の利いたおしゃれな名前をつけたいなと思いながら結局本名を打ってしまう。幸いそれほど珍しい名前でもないので本名でも問題なかった。 

 めちゃくちゃ考えている、今後ここから一緒に脱出するなら結構な時間一緒にいることになるだろうし、喋りもする。そのタイミングで名前を呼ぶことは幾度と無くあるだろう。

 仮にダサい名前をつけようものならそのたびに今の俺を恥ずかしく思うだろう。

「そんなに悩む、?なんでも、いいよ」 

 見かねて少女が急かしてきた。別に急かしたつもりではないと思うがそういわれると焦ってしまう。「人に名前なんてつけたこと無いんだ、しかも初対面の美少女の名前なんて、めちゃくちゃ悩む」

「美少女、、、。」 

 急に恥ずかしそうにする少女。

「なにか、覚えていることとか、好きな物とか無いのか?」

「好きな物、なんだろ、、、あったかいお布団とか。かな」 

 上目遣いでこっちを見られても。 

 何かいいアイデアになればと思ったんだが、何の取っ掛かりにもならなかった。

「こんなことに時間かけてもなあ、」

「、、、。ごめんなさい。」

「わるい、俺が悪いんだ、早く決めないのがわるい」 

 少女が泣きそうな顔をする。紳士としてなかせるわけには行かない。早いとこ決めなければ。

「ハル、とかどうかな。」

「ハル、うん。私ハル、」 

 嬉しそうにする少女ことハル。 喜んでくれたなら何よりだ。

 俺が記憶の直前までやっていたエロゲのヒロインの名前だなんて口が裂けてもいえないが。

「あったかい布団で連相してあったかいといえばハルかなと」

「なるほど、かしこい」

 適当な嘘でごまかす。うれしそうなので良しとしよう。

 彼女の名前はハルに決まった、しかし何一つ進展していないこの状況。何処に進めばいいかも分からない状態でしかし、この先に待ち受けているの物はいつもの日常とはかけ離れているの馬鹿な俺でもひしひしと感じ取っていた。外

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