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許さない許さない許さない許さない!
何なんだあの女は!彼の体にあんなにベタベタと!
しまいには私が貰うはずの言葉を……
絶対に許さない。時間でどうこうなる話ではない。
……いや落ち着け、
感情だけが宙に散ってしまっている。
そうじゃないはずだ。私の願いは……
彼が周りの人間をどう思ってようが関係ない。
あの時も、単に彼が助けを求めたから助けただけだ。
なのに……なのに!!
この内に湧いてくる怒りは何なんだ?
今では彼の周りに他の人間がいるだけで虫唾が走る。
彼も彼だ。理解ができない。
何故使えなくなった奴を傍において置くんだ?
一度襲われたのに、さっさと見放せばいいのに、
その上あいつが家族?家族だと?
それに今までずっと受動的だった行動から、能動的になっている。
突然の変化はどうして?あの娘の為にわざわざ?
考えが読めない。読めなくちゃいけないのに。人間が理解できない。
そもそも何故こんな事になってしまったんだ。
私は彼の要求に答えて、しばらく姿を現さないようにしていた。
言葉の理解も問題ないはずだ。
でも、当の本人はもはや積極的に人と会っている。
何でよりによって私だけを邪険に扱うの?
困っていたところを颯爽と現れて助けたら、好感を持ってくれると思ったのに、
ただ私が強欲で求め過ぎているのか?
私に対しては冷たい態度で、
あの女に対しては、微笑みかける。
ただそれをこちらに向けてほしいだけなのに、
……また感情的になってしまっている。
少し落ち着こう。
何故、この世には欲というものがあるのだろうか。
本来は生きるだけで十分なはずなのに。満たされない欲は不快を生み出すだけだ。
そのための理性のはずなのに、機能せず沈黙している。
彼の傍に居たい。
最初はただそれだけだったはずなのに、どんどん高次の欲求が湧き出てくる。
満足できない。我慢できない。つらい。耐えられない。
微笑みかけてくれないのは、やっぱり私の行動に問題があるのだろう。
でも何でうまくいかないのかが分からない。どうしたら振り向いてくれるの?
もっと積極的に行った方が良いのか?もしくは強引に……
いや、焦っても気を逃すだけだ。
使いたくないけど最後の手段もある。
のんびりというわけにもいかないけど、ゆっくり行こう。
もっと傍に居たい。
おしゃべりしたい。
愛したい。愛されたい。
どうしてこんなにも難しいの?
役に立てると思って色々考えてもうまくいかない。
もう一回整理して、思考し直そう。
なぜあの出来損ないに、肩入れするのか。
意味を感じない。でも何か利益があるのかもしれない。
私よりも有用な……何かが……?
また記憶を探るか?
でもあの女が占領していて、今は出来そうもない。
そうだ。私があの女に成り代わって直接聞けば良いんだ。
そうだそうしよう。なんなら、そのままずっと姿を変えず愛を享受しよう。
人間の愛情表現を一つずつ、着実にこなしていけばいい。
それでもまずは自分の力でやってみようと思う。
全く違う容姿になったところで、接し方が同じだと関係を損ねてしまうだろう。
近づくための用意はそろっている。
もともとそのためにわざわざ回りくどい方法をとったのだ。
そこで私の方が使えるのだと証明できればいい。
そうすれば、私を見てくれる。大切にしてくれるはず。
前はうまくいかなかったけど、今度こそ、私という剣の鋭さに随喜させる。
あとの二人はどうしようかな。
見せしめの効果で、一人でに手を引いてくれればいいのだけれど、上手くいくとも限らない。
芽の範疇に留まっている時点で摘んでおく方法もあるけど……
そう言えば、竜をけしかけてきた奴にも代償を払わせなければならない。
目の前の事に集中しすぎて忘れかけていたけど、彼に致命傷を負わせ、私の邪魔をした。
このままむざむざ無かった事にするわけにはいかない。
ひと段落ついて、余裕も出来たら一度調べてみよう。現場に行けば何か分かるかもしれない。
何処へ逃げようと私には関係ない。どんな手段を講じてでも絶対見つけ出してやる。
とにかくこれからは、ゼントという人間についてもっと研究しよう。
趣味や嗜好、生い立ちから考え方まで全て理解するべきだったんだ。
今まで何で知らなかったんだろう。そちらの方が断然恐ろしい。
力なら誰にも負けない自信がある。見た目だってそう悪くないと思う。
加えて更に、彼の好みに合わせられれば、他の者など寄せ付けないはずなんだ。
そして私の名前を呼んでもらおう。もう一度お願いして。
身命を賭して、頑張ろう。
私のために。そして何より、彼の為に………




