ただのシャルム
処女作です。色々至らないところがあると思いますが、暖かい目で見て貰えたらな、と思います!!
"魔法"
それは、全ての法則を無視し、奇跡を引き起こす術である。
だが、夢のような力には大きな代償があった。
その代償は人を人じゃない”ナニカ”に変える………ゆえに魔法を行使する人間の姿は、精神は、人ではなくなる………人々はそんな魔法を行使する人間共を恐怖と軽蔑を込め、こう呼んだ。魔に魅入られた者。”魔法使い”と……
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「おい!この浮浪者!店の前にいられると商売の邪魔だ!さっさと何処かに行きやがれ!!」
俺の朝は決まって誰かの怒鳴り声から始まる。俺は怒鳴り声を聞く度に、すぐ立ち上がり頭を下げる。
「へい!ただいま!いやー旦那〜申し訳ないです!路銀が尽きちまいまして………」
「そんな御託はどうだっていいんだよ!そんな浮浪者みたいな格好しやがって、いい迷惑だよ!ったく……」
俺の寝ていた路上の目の前にある店の店長であろう人物は不機嫌そうな顔を隠しもせず。しっしっ!と犬にするように手を動かした。だが……
「すみません旦那、不躾で悪いんでやすが、ここいらでギルドはないでしょうか?」
仕事のない一文無しの俺は不機嫌そうな店主を気にせず、問いを投げかけた。
「あん…?ギルドだぁ?………!?まさかてめぇ”魔法使い”か!!」
店主は先程までの不機嫌とは段違いの悪感情を隠さず俺に向けてきた。
「いえいえ!とんでもない!あんな恐ろしいもんじゃないですよ!あっしは流れの旅人でやんす。ギルドにも情報と下働きする日雇いを探しに行くだけでやんすよ。それに、ほら…」
そう言って俺は深くまで被っていたフードを取った。
「……………確かに異形じゃねぇみてぇだけどよ…まさかとは思うが、星の魔法使いじゃねぇだろうな……」
「いやいや旦那!それは疑いすぎでやんすよ!そんな高位の"魔法使い"がこんな格好なわけないでやんすよ!」
店主は少し考えた後、
「まぁ、そうだな星の魔法使いの野郎共がここら辺を彷徨いてる訳ねぇな!仕方ねぇ"魔法使い"みたいな外道共と間違えた詫びだ。ギルドの場所と…ついでにこれやるよ!」
そういって店主は林檎を投げてきた。俺はそれをキャッチすると大事そうに持ちながら、
「ありがとうございやす旦那!よっ!旦那の太っ腹!大商人!」
「へっ!そんな分かりやすく煽ててもなんも出ねぇぜ!ったく、浮浪者のくせして元気な野郎だ。ギルドの日雇いで稼げたら、うちに買いにこい!サービスしてやる!」
さっきまでの不機嫌さは薄まり、店主は親切に道を教えてくれた。
「そうそう、俺の名前を教えといてやるよ、店の名前と一緒で、俺はベルガってんだ。お前さんは?いつまでも浮浪者じゃお前も嫌だろ?」
店主は名前を聞いてきた。俺は少し間をあけてこう答えた。
「…………あっしはシャルム…しがない"旅人"シャルムでやんす。」
お試しで書いてみたので、続くか分かりません。