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ヤイは男?

早く主人公を強く見せたい。説明や伏線大体書いたら物語進めることを意識します。

 ようやく来たみたいだな。

 しかし俺はヤイを出迎える前に、ミースのことを母さん達には内緒にすることをアリスと決め、ミースは俺の中に隠れてもらうことにした。ミースの存在を知る人間は、少なければ少ないほど良いと思ったからだ。

 そして、ミースが隠れた後に、アリスと一緒に一階に降りて玄関でヤイを出迎えた。


「遅かったな」


 話の区切りとしては中々のタイミングだったが。


「まあ、色々ありまして」


 ヤイが苦笑しながら言う。


「それで、すぐに出るのですか?」


「アリスの準備ができたらでいいんじゃないか? 俺は家で大人しくしてるし」


「え、兄さんは行かないの?」


 アリスが驚いた顔で俺を見て、ヤイを見て、また俺を不安そうな顔で見た。

 な、なんだ? アリス達が仲良くなるのに丁度良いと思ったんだけどな。不安そうな気配を出して、そんな顔されても何でも察せるわけじゃないぞ。


「(ライクさん、男性と女性で二人で出掛けるのは親しくないとできない特別なことでは?)」


「(まあ、そうだろうな)」


「(……)」


 ミースが何か訴えてる気がするが、なんだ? 何故それを今聞いた?

 ……まあいいや、それより多少強引でも行かせるか、アリスが一人にならないように。


「何が問題なんだ? 女性同士が一緒に出掛けるだけなんだし、行ってくればいいだろ。男とは話せないこととか、行きにくい店とかあるだろ」


「「「え?(え?)」」」


「ん?」


「「「ええええーー!?(えええ!?)」」」


 な、なんだなんだ?


「「女性だったの!?(女性だったんですか!?)」」


 お、おう。知らなかったのか。


「何で知ってるですか!?」


 お、おう。隠してたのか。あと、口調がちょっと変になってるぞ。


「えーと、まあ、最初から知ってたわけではないぞ。子供の頃は性別どっちかわからなかったし、ヤイがイザの家で働き出した頃に遠くから見かけて、女性だって気付いた感じだな」


「で、でも私の髪型や服装に何も言わなかったじゃないですか」


「いや、髪型はショートなだけだろ? 執事のような格好も、お前の仕事への姿勢の表れかと、役に徹するみたいな?」


「そ、それでも! この顔で女性だと思います!?」


「ん? その顔のどこが男なんだ? どう頑張っても可愛い顔した男が限界だぞ」


「そ、そんなバカな……」


 んー? そんなに自信があったのか? うーん、どう見ても……ん? ヤイの顔の周りに違和感があるな。これが原因か?


「なあ、アリスは男に見えるのか?」


「うん。髪はショートと言うより短髪で、顔も可愛いとは思えなかった……」


「(女性には見えませんでした……)」


 なるほど、アリスやミースには男に見えてたからあんな態度だったのか。なら、顔の違和感は。


「顔に何か魔法でも使っているのか?」


「(え? あ、顔を変化させるということは……)」


「え!? えーと……」


 ヤイが言いよどんでいると。


「なに騒いでるの?」


 母さんが庭の方から水の入ったコップを持ち、鍛錬の途中だったのか、汗を拭きながらこちらにやって来た。


「いや、ヤイが––––」


 俺はヤイのことを言おうとしたが、隠しているなら母さんにバラすのはマズイかと思い、言うのをためらった。


「ん? ヤイじゃない。術は上達したみたいね、顔まわりは男にしか見えないじゃない」


 え?


「か、母さんはヤイのこと知ってたの? 女だってこと」


「当然じゃない、幻術は私が教えたんだから」


「ちょっ!? ミリアさん!」


 幻術?


「(特殊な魔法の一種です。姿を偽る、幻覚を見せるなどのことができます。生命魔法と同じく使える人はそれほど多くいない筈です)」


 へー、あれ? 俺、ミースに聞いたつもりないんだけど。


「(ちなみに声は聞こえていませんでしたが、察しただけですよ?)」


 察しが良いことで。


「で? ヤイと一緒に何を騒いでたの?」


 俺はヤイが女であるとこや、アリスと出掛けること、顔に関することを色々言ったことを伝えた。


「ははは! バカねー、ライクの目を誤魔化せるわけないでしょ」


 うん? 俺の目?


「ど、どういうことですか? ミリアさん」


「どうもこうも、ライクに幻術はまったく効果がないわよ。稽古で相手をするときにコッソリ使ってみたけど、幻覚に見向きもしなかったからね、あんなこと初めてだったわよ」


 ちょ!?


「初耳なんだけど! あと、使える魔法を暴露してるけどいいの!?」


「ん? 術のこと知らなかったの? 幻術を見破られたから知られたのかと思ってたわよ。ははは!」


 はははって、稽古で勝つためにそんなことやってたのか、負けず嫌い過ぎる……


「それより、ミリアさん! 何でライク君の目のこと教えてくれなかったんですか」


「そんなこと言われてもねー、必要ないと思っただけなんだけどね。仕事場で女を隠すとは聞いたけど、ライクにも隠してたとはね。よほどの理由があるみたいね」


「そ、それは……」


 ヤイがまた言い淀んでいた。

 今は言いたくなさそうだったので、俺は話を戻した。


「まあ、その話はいいよ。それよりアリス、ヤイは女ってわかったなら二人で出掛けても問題ないだろ?」


「そうだね」


「(納得しました)」


 ミースから変な視線も消えたし、アリスはそれだけが不安だったのか即答で、顔には出ていないが嬉しそうに答えた。


「でも、アリスがライクに付いていない状態で出掛けるなんて、何年ぶりかしらね。んっぱぁぁ、まあ仲良くねー」


 水を飲み干して母さんはそれだけ言うと、鍛錬の続きでもするのか、庭に向かって行った。


「えぇぇ……」


 ヤイの何とも言えない気持ちをほって行ったな……


「と、とにかくヤイが女なのを隠しているのはわかった。誰にも言わないし、男として扱うから気にするな」


「うん。私も誰にも言わないです」


「ほ、本当ですか? 助かりますぅ」


 よほど多くの人に知られるのが嫌だったのか、ヤイがすがるように言ってきた。


「(うーん、術を使っていた理由が気になりますが、ライクさんが気にしないなら仕方ないですね)」


 そんなに気にすることじゃないだろ、秘密なんて誰にでもあるものだしな。


「ちなみになんですが、ライク君のような目を持つ人は、多くいるものなんでしょうか?」


「それは、わからないな。俺自身が俺の目は幻術を見破れるのかと、今さっき知ったところだし」


「そうですか……」


 ヤイは少し困っている様子だ。


「あまり気にしなくても良いんじゃないですか? お母さんは初めて見破られたって言ってましたから、相当珍しいことなんだと思いますし」


「……それもそうですね」


 ヤイは神妙な面持ちだったが、今は気にしても仕方ないと思ったようだ。

 よほど知られたくないみたいだな。


「さて、話が長くなったがそろそろ出掛けたらどうだ?」


「確かにそうですね。では、私はアリスさんの準備が整うまで外で待機してますね」


「わかりました。すぐ準備します」


 そう言うと、ヤイはお辞儀をしてから玄関の外に出た。

 中々に騒がしかったな。


「びっくりしたよ。女性だったなんて」


 俺も男に見えていたことにびっくりだよ。

 でも、だからアリス達の様子が変だったのか。確かに知り合いとはいえ、家族以外の男と二人で街を歩くのは、仲良くなる目的でもないと抵抗があるよな。

 ん? なら、アリスがミースの信頼を得るには、二人で一緒にいるのが一番な気がするな。


 俺は、ミースにアリスでも隠れることが可能か聞くと、問題ないと言うので、アリスにも言って隠れてもらった。


「体の中に隠れたって言っても身体に違和感はないんだね」


「そうだな。しかも、特殊らしい俺の目でも何処にいるのか全くわからん。まあ、それだけ妖精が特殊ってことなんだろうな」


「(外ではともかく、人との一体化で違和感を感じさせるようでは、妖精としても、契約者としても失格ですから)」


 ミースは自分に厳しそうだな。


「ミースの能力がすご過ぎるが、アリス達がわからなかったように、幻術ってのも十分凄いんだろうな。でも、アリスは街の人からデートしているみたいに見えるってことだがいいのか?」


「別にいいよそれくらい。あ、でも女の子同士で行くようなところには行けないね。ヤイさんに男として扱うって約束してるし」


 そういえばそうか。う〜ん、それだとアリスの友達にはなり難い気がするな。


「(それなら、ヤイという方には幻術を解いて、女として歩いて貰えば良いんじゃないですか?)」


 その手があったか!

 アリスにも伝える。


「うーん、でも了承してくれるかな? 何か女性の格好ができない理由があると思うけど」


「それはそうだろうな、とりあえず言うだけ言ってみよう」


 俺は、外で待っているヤイを呼んだ。


「準備が終わりましたか?」


「いや、ちょっとヤイに頼みがあってな」


「頼み?」


 ヤイに女性になることはできないか聞いた。


「そ、それは……」


 やはり、よほどの理由があるのか、ためらっているようだった。やはり難しいか……情に訴えるようで何か悪い気がするが、ちょっと話をするか。


「アリス。ヤイは説得しとくから、準備しておいてくれ。どっちにしても出掛けるんだからな」


「うん。わかった」


 アリスは二階の自分の部屋に向かって行った。


「ライク君、今回のことは難しいですよ」


 ヤイが申し訳なさそうに言う。


「難しいのは分かってる。難しい理由も聞くつもりはない。だけど、今回だけでもいい、アリスと友達みたいに遊んでやってくれないか? あいつ俺といるばっかりで友達とかいないみたいだし、同年代の友達の作り方、遊び方とか思い出してほしくてな」


「しかし、私でなくても……」


「ヤイでないとダメなんだ。アリスは俺が疑うような奴、俺を低く見るような奴とは仲良くなんてしないし、ヤイは少しだけでも俺のことを知ってるだろ?」


「それは、傷のことですか?」


「そうだ。幸か不幸か今のアリスは俺が判断基準だから、俺がヤイを信用してる、傷のことで俺を気遣ってくれる人間、尚且つ女性でもあるヤイが一番なんだ。頼む!」


 俺に何かあっても、普通に生きていけるように。父さん、母さんがいるとはいえ、今のままじゃ不安なんだよな。


「……ライクさん。もしかして自分に何かあった時のことを考えてますか? 傷の時のような」


 やっぱりそう思うよなぁ。しかも、呼び方が昔に戻ってる。そんな昔のことを思い出してほしくはないが、傷の話題を出したのは俺だしな。


「そんなことはないぞ?」


 とりあえず、とぼけて見る。


「うそ、ですね」


 やっぱり無駄だよな……演技力が足りなかったか?


「はぁぁ、アリスさんも心配ですけど、誰よりもライクさんが心配です」


 ちょっと演技がダメだっただけで? 大袈裟な。


「俺の心配なんか必要ないぞ。それより、アリスのことは良いのか? ダメなのか?」


「そこです! 俺は心配される必要がない、と思っているところが心配なんです!」


 えぇぇ、そんなこと言われても必要がないだろ。傷を知っている人達は気にし過ぎなんだよなぁ。


「とりあえず、アリスさんのことは分かりました。私も秘密を知った人との、気兼ねない会話ができるのは助かりますし」


「本当か!? ありがとう! 今回だけでも、友達みたいなことができれば十分だからな」


「何を言ってるんですか?」


 え?


「そんな一回だけみたいなことしませんよ。ちゃんと女性として友達になってきますよ」


「え、でも事情は大丈夫なのか? そんな無理をしなくていいんだぞ。アリスを何とかしたいと思ってはいるが、ヤイを蔑ろにはするつもりはないぞ」


「大丈夫ですよ。改めて考えてみたら、少し臆病になっていただけで、ある場所に向かわなければ問題はないと気付きましたから」


「そうか? なら良いが、困ったらアリスか俺に言えよ? 助けになるから」


「はい。ライクさん、相変わらず心配し過ぎです」


 そうだろうか? まあ、昔助けた影響かな。


「(やっぱりライクさんは優しいですね。そして、アリスさん達が心配するのも頷けます)」


 え、なんでミースが聞こえているんだ?


「(契約者ですから、ライクさんの見聞きしたことは伝わるようになっているんです)」


 声の無い疑問には察しがいいことで……聞かない、という察しの良さはなかったのか。


「(ミース、仲良くなって話せるようになっても、アリスには言うなよ)」


「(話しても良いことだと思いますが、ライクさんがそう望むなら仕方ないですね)」


 こんな恥ずかしいこと知られてたまるか。


 そうしていると二階からアリスが戻って来た。


「兄さん、話はどうなったの?」


 アリスが着替えた姿で降りてきた。

 さっきとは違いパンツタイプで、動きやすそうな姿だった。何でも似合うなアリスは。

 これも、ファン武具か? 普通の服との違いがわからないくらい精巧にできてるな。


「ああ、ヤイには了承が取れたから、服をなんとかしないとな」


「そう、なら私の服を使えば良いんじゃない?」


「良いのか?」


「別にかまわないよ」


「え? いやいや悪いですよ。取ってきますよ」


「屋敷までか? 遠いだろ。それにイザにバレかねないし」


「それはそうですけど、平民である私がアリスさんみたいな服装は似合わないですよ」


「こんな家に住んでるが俺たちも平民だぞ。大丈夫だろ、アリスの服は色々あるし、アリス自身がこんなに似合う服装してるんだから、ヤイのも最適な服装にしてくれるだろ」


「任せて! さあ、行くよヤイさん」


 アリスが、嬉々としてヤイを持ち前の腕力で二階に連れて行った。


「待ってください〜、絶対私には似合う服なんてありませんよぉぉー」


 ヤイの力ない声がこだました気がした。

 一応年上のはずだが、子供みたいに見えるな。

 そんなことを考えていると。


「おや? ライク、何をしているんだい?」


 庭の方から父さんが汗を拭きながら聞いてきた。


「ちょっと、女性の着替え待ち。父さんは母さんと修練?」


「そうだよ。ミリアは容赦がないから疲れるよ」


「それが母さんだからね」


 母さんは昔から俺達の相手も厳しかった。それが、今の俺に繋がっているので感謝はしている。


「そういえば、父さん。随分あっさりアリスの旅を許してたね。最終的には許可するとは思ってたけど、父さんは心配性だから、1日ぐらい考える時間はあると思ってたけど?」


「そうだね。確かに昔の私なら考えて心の整理をしたかっただろうね。そしてそんな人間だから、二人を鍛えるって話からずっと思うところがあってね。そして、ライクが旅をしたいって思いを聞いて、正直反対しようかと思ってたんだよ」


 傷のことがあるから、かな……


「私の心配性はライク達が小さい時からでね、子供っていうのは危なっかしくて、いつも見ていないと心配だったんだよ。その時の感覚が消えなくて悩んだよ」


 そうだったんだ……


「けどね、ミリアに「親が子供に甘えるな。親であるなら巣立ちを喜べ!」って言われて殴られたよ。そして、思ったよ。私は、ライク達を守るんじゃなくて、縛ろうとしたんだと。そしてそれは、ライク達のためじゃなく、自分のためなんだと。親だというのに恥ずかしい話だよ」


 恥ずかしいことなんて何もない。


「そんなことはないよ。子供のために自分を押し殺す親をもって俺達は幸せだよ」


「はは、そう言ってもらえると嬉しいものだね」


「でも、アリスの時は数秒は考えようとしてたね」


 俺はからかうように言う。


「それを言うのかい!? 考えを改めたけど、心配性が治ったわけじゃないんだよ……数秒は許してほしいね」


 本気で言ってると思ってしまったのか、父さんが気落ちしてしまった。


「冗談だよ。父さんが母さんのようになるなんて御免だよ。父さんはそのままでいてよ」


「本当かい? なら良かったけど、からかうのは程々に頼むよ? でもまあ、そんなところはミリアにそっくりだね」


 ええ……母さんほど酷くはないと思う。修練中に内緒で幻術使った人だよ?


「ラフー! まだ休憩してるのー? 早く模擬戦やるわよー」


 噂をしたら母さんの大声が響いた。


「お呼びだよ、父さん」


「そうだね。よし! 今じゃ私が家族で一番弱いかもしれないから、しっかり鍛えないといけないね」


 模擬戦の結果だとそうかもしれないけど、実戦だとどうなるか分からないと思う。家族間で実戦なんてあり得ないけど。


「そんなことないと思うけど、頑張って。母さんを叩きのめすために」


「妻を叩きのめすことは、したくないかな……ま、まあ奮闘してくるよ」


 そう言って父さんは庭に向かって行った。

 父さんはその優しさで勝てないんじゃないかな。母さんは遠慮しないだろうし。


「まあ、それが父さんか」


 そう結論付けて、俺はアリス達を待ち始めた。

 それから少し待ち。


「まだか? まあ、女性の服選びは時間が掛かるから仕方ないけど」


 そうして、そこそこの時間が経つと。


「ほら、ヤイさん早く行こう。兄さんが待ってるから」


「いや、しかしこれは……服はとても良い物と思いますが、私には……そもそも余り目立ちたくないのですが」


「諦めて。ヤイさんが思ったより綺麗だったのがいけないんだよ」


「安請け合いしてしまいましたかね……」


 そう言いながら、ようやく二人が降りてきた。

 聞こえる限りだと、アリスがやり過ぎたってところか。どんな感じになったのやら。


「兄さん、お待たせ。ヤイさんどう? 結構綺麗にできたと思うんだけど」


「アリスさん、そんなこと聞かなくていいですから」


 そう言われてもな、基本的にファッションは分からないんだが。

 まあ、もうちょっと男らしい感じでくるかと思ったが、スカート姿なのも新鮮で似合っていると思う。


「似合ってるじゃないか。何か問題があるのか? まあ、男の視線は集めてしまうかもしれないが」


「ほら、大丈夫でしょ?」


「いや、嬉しくはあるのですが、これは可愛くし過ぎでは……もうちょっと男らしい感じで良かったんですが」


 やっぱり、ヤイとしては男らしい格好をしたかったみたいだな。


「それに、ライクさんの言った通り、男の視線を集めるのは嫌なんですが」


「気にし過ぎだよ。そんな頻繁に見られるなんて相当綺麗な人達だけだし、何かしてくる人がいたら殴って黙らせればいいよ」


 ……もう仲良くなったのか? 早くね? 部屋で何か話したのかな。まあ、仲良くなるのは望んだことだしいいか。

 それと、アリス達は相当綺麗な女性にあたると思う。殴って黙らせるのは正解だけど。


「アリスの言う通り、見てくる男は無視して、しつこい奴はアリスに黙らせれば危険はないと思うぞ?」


「それはそれで情けない気もしますが、まあいいです。行くと言いましたし、手に負えない時は素直にアリスさんに任せることにします」


「任せて。兄さん達以外には負ける気しないから」


 自信があるのは良いことだが。


「どれだけ実力の差があっても、油断だけはするなよ」


「毎日のように言わなくても、わかってるよ」


 そんなに言ってたか、無意識に言ってしまってるな。しかし、もうそこまで心配しなくていいか、アリスは俺たち家族間で散々負けてるから、油断はしないだろ。


「ヤイが絡まれないようにしてやれよ」


「それは、難しいね」


「アリスさん!?」


「冗談だよ。ちゃんと気を付けるけど、ヤイさん綺麗だから、ある程度は我慢してね」


「仕方ないですね……」


 軽く聞こえるが、アリスは相手が本気で嫌がることはしないし、相手が嫌がることからは全力で守ろうとするので大丈夫だろう。


「じゃあ、行ってくるね」


「おう、気を付けてな」


「(ミースも気を付けておけよ。あと、万が一にもアリスでどうにもならなかったら、連絡してくれ。この街の範囲なら問題ないだろ?)」


「(大丈夫です。わかりました)」


「ヤイも気を付けてな」


「はい。失礼します」


 ガチャと音を立てて、二人、いや三人が家を出ていった。


「さて、大人しくしてるとは言ったが暇だな。母さんの連撃を避けるだけを続けて時間を潰すか」


 負けず嫌いな母さんなら反撃しない俺にイライラするだろうな。修練中の幻術の仕返しだ。

 俺は、庭で修練しているであろう母さん達の所に向かった


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