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飲食店、小さい奥さん

遅れました。

キャラが多いと大変だと学びました。一緒に行動してるのに喋らないとか変だし、とか考えると難しかった。

2つ投稿しますけど、事件の匂いぐらいまでしか書けませんでした。急ぎます

 

「ところで、イアはギルドに渡すお金なんてどこで手に入れたの?」


 そう言えば、スラムでお金なんて手に入るもんじゃないな。


「知り合ったおじさんのお手伝いをしたらくれたですよ?」


「そんなにもらったの?」


「銅貨1枚ですよ?」


「え? それだと依頼なんて……」


 あ、そうだ。イアにはちゃんと知ってもらわないとな。

 俺はミナネさんが個人的に受けてくれて、俺達が代わりに来たことを伝える。


「なるほどね。銅貨1枚じゃギルドとしては受けられないものね」


「お姉さんに悪いことしたです。しかも、お兄ちゃん達にも悪いことして、ドンドン恩が溜まっていくです」


 イアが申し訳なさそうにしている。。


「イア、兄ちゃん達の恩はお前だけで返すわけじゃないんだぞ。俺達だって一緒に返すんだからな」


「そうだよ。ゆっくり返していこう」


「そうなの、お兄ちゃん達なら待ってくれるの」


「うん、少し悪いけど……です」


 まあ、焦らなくても俺の気持ち的には、みんなが納得する恩返しまで付き合うって感じだな。


「ところでライク君、イアにどんな仕事をさせるつもりなの? こう言ってはなんだけど、この子そんなに大層なことはできないわよ?」


「マザー酷いです! 私だってやれば出来る子ですよ!」


 イアは頬を膨らませながら言う。


「まあまあ。そんなに難しくはないと思いますよ? ヤイは出来ていましたから、仕事内容はヤイの方が詳しいと思います」


「あら、そうなの?」


「いえ、詳しいといいますか、私がスラムを出る時にお世話になったお店で、経験があるからです。その当時は私も小さかったので、小さいなりの仕事を与えられていましたから」


「ああ、ライク君に助けられた話ね」


「はい。内容としてはそんなに難しくはないですけど、中々忙しい所でしたね」


「なら、私でもやれるです!」


「落ち着きなさい。それでも心配だわ、この子落ち込みやすいから」


 確かに反省はよくしてそうだな。


「実は、私が倒れてからはずっと元気なかったのよ。でも、アリスちゃん達が食べ物を分けてくれた日から元気になったみたいで、安心したのだけどね」


 へぇー、そんなに落ち込んでる姿は想像できないな。


「そ、そんなことないです! ずっと元気ですよ」


「確かに、ちょっと気になってたんだよね。前見た時より随分元気そうにみえるから」


「ですね。そんなに元気になる切っ掛けでしたか?」


「だから、落ち込んでなんかないですー!」


「何でそんなに必死になってるの? 隠すようなこと無いと思うけど」


「これは詳しい理由を聞いた方が良さそうかしらね」


 イアは必死に認めなかったが、ミラニールさん達に問い詰められてようやく認めた。


 簡単に言うと恥ずかしかったみたいだ。泣いてしまったこと、泣いた理由などを知られることが。


「(アリスが泣かしたのか?)」


「(そうですね。その認識で良いと思います)」


「(泣かしてないよ! いや、泣かしたかもしれないけど、歓喜あまって泣いていた感じだよ)」


 なるほど、イアらしいな。

 そして、その泣いた理由は嬉しかったこと。それとアリス達、特にアリスが元気な時のミラニールさんに見えて涙が出たらしい。そして、「マザーを助けてくれる人もいる筈」と前向きになり、これ以上みんなを心配させないように元気に振る舞っていたそうだ。


「なるほど、不安にさせてたみたいね」


「心配症だよな、イアは」


「サイクは楽観的だよね」


「イサカ、それは違うの。あれはバカなの」


「それは言い過ぎだろ!?」


 この3人は意見が揃わないとか言ってたが、仲は良いな。


「うぅぅ、みんなの視線から逃げ出したいですぅぅ」


 イアくらいの年だと、かなりの羞恥心があったみたいだ。


「ごめんごめん、私も気になっちゃって。でも、私がそんなに老けて見えたの?」


 アリス……そんな風に言ってしまうとミラニールさんが……


「ち、違うです! そういうことじゃないです! 優しいだけじゃない姿がそう見えたんです!」


「ああ、そっちだったんだ」


「確かに、助けるのは一回きりとも言ってましたしね」


 そんなことを言ってると、ミラニールさんが怒ったような、悲しいような複雑な顔をして言ってくる。


「……アリスちゃん。私、そんなに老けて見えるのかしら?」


 ほらきた。


「あ……違いますよ!? ミラニールさんと比較したのではなくて! 私自身が実は老けた顔なのかって聞きたかっただけですよ!?」


「いいのよ無理しなくて……そうよね。私ってもうかなり老けてるのよね……」


 アリスに悪気が一切なかったのが伝わったのか、悲しみが全面に出だした。


「違うんですよー!」


 その後は何とかみんなで全力でフォローして、何とか立ち直ってもらった頃に、宿屋兼、飲食店のムハサさんの店に着いた。


「えっと、ライク君。本当にスラムの子が入って大丈夫なの?」


「大丈夫ですよ。ここで働くんですから」


 そう言って店に入ると、見た目は可愛らしい少女が出迎えてくれる。


「おや? ライク達じゃないか。また食事に来てくれたかい?」


 言動と見た目が一致しにくいムハサさんの奥さんだ。


「「「小さい」」」


「子供?」


「私とあまり変わらない、です?」


 ミラニールさん達が案の定、首を傾げる。


「いえ、今日は兄さんからお二人に用がありまして」


「私たちに?」


「ちょっと頼みがありまして、ムハサさんいますか?」


「いるよ。あんたー! ライクが呼んでるよ!」


「おう! ちょっと待っててくれい!」


「(ライクさん、この人は大人の人間で合ってます?)」


「(本人はそう言ってるよ。多分、遠い先祖にドワーフなんかがいたんじゃないか?)」


「(そう、なんでしょうか)」


 まあ、見た通り奥さんは背が低く、全体的に若いように見える。身長は俺やアリスより低く、年で言うとイアより2、3歳大きいくらいかな。でも本人は低いことを気にしておらず、むしろ楽しんでたりする。


「ライク、お連れさん共々その辺の席にでも座っときな」


「ありがとうございます」


「しかし、私を1度も下に見ないのはいまだにライクだけだね」


 奥さんはミラニールさん達をチラリと見る。


「失礼なことを言いました」


「ごめんなさいです」


「「「ごめんなさい」」」


 みんな頭を下げていた。


「気にしなくていいさ。いつものことだし、むしろ侮られるのを楽しんでるからね。頭なんか上げて、とにかく座りな」


 言葉に甘えてみんなで席に座る。

 忙しい時間は過ぎていたのか、それほど忙しくはなさそうだった。ムハサさんは厨房で調理中の料理を作り終えると、後を他の人に任せてこちらに来てくれる。


「待たせたな。で、どうかしたのか? 連れてる連中から何となく察しはつくが」


「お察しの通りだと思いますよ」


 俺は、イアに働ける場所を用意できないか聞いて見る。


「やっぱりか。まあ、お前が連れて来たんだ問題はないだろ」


「あんたより、見る目があるからねぇ」


「うるせい。それより、働けるのはその子だけなのか? 今は人が足りないから、ここに居る連中くらいなら大丈夫だぞ」


 ムハサさんはミラニールさんとサイク達を見る。そして、俺が確認するまでもなく。


「「「やる!」」」


 と、元気に返事をしていた。


「やる気はあるようだが、こいつらは大丈夫なのか?」


「大丈夫ですよ。少し見た限りだと、このラールとイアで接客、こっちのサイクとイサカで裏方なのがバランスとれてますかね」


「そうか。ライクがそう言うならそうするか」


「(信頼されてますね)」


 まあ、これは何となくだけどな。

 俺がそう言ってから、今度はミラニールさんが申し訳なさそうに切り出す。


「すみません。子供たちを雇ってもらっておいて恐縮なんですが、私もここで働くことは可能でしょうか?」


「俺としては問題ねえが」


 ムハサさんが目で俺に確認をとる。俺は少し待ってと動作をして、気になったことを確認する。


「孤児院の方を見なくて大丈夫なんですか?」


頻繁(ひんぱん)に様子は見にいくけど、ラミナに見てもらうわ。あの子に任せる良い機会だし」


 ミラニールさんは、ムハサさん達の負担を減らすため、イア達に基本的なことを教える立場になるつもりらしい。

 ミラニールさんは前になんとかしていた手段をとればいいのでは? と聞くと、人を頼る手段なのであまりやりたくないらしい。

 今回も頼ってはいるが、その後は自分の頑張り次第なので、出来ればやりたいとのことだ。


「そうですか。大丈夫そうなので、あとはムハサさん達に任せますね」


「了解だ」


「よろしくお願いします」


 ムハサさんとミラニールさんは、色々な確認のため奥で話し合うことになった。


「さて、2人が話してる間にあんたらは少し綺麗にしないとね。ヤイ、ちょっと子供らを洗うの手伝っておくれ」


「やっぱりバレてましたか……」


 ヤイはミラニールさんの時のように、ムハサさん達の視界から少し外れていた。


「隠れる気がなかったくせによく言うね。ここを出てから挨拶に来なかったことは言わないでやるから手伝いな」


「わかりました」


 奥さんはヤイとイア達4人を裏口に連れて行く。


「どこに行くんだろうな?」


「さあ? 綺麗にする言ってたから、服でも洗うんじゃないの?」


「食事をするところなら当然なの」


「え? そうなのです?」


 そう言って裏に消えた後に、「大人しくしな!」「イヤだー! 同じ年に洗われるなんてー」「もう大人だと言っただろう!」「見た目は同じ年くらいだよー!」といったサイク達の叫びが聞こえてきた。

 恐らく、素ッ裸にされて体を洗われてるんだろうな。同じ年くらいで、裸を気にしない異性に体を洗われる……恐ろしいな。


「私達も昔は一緒に洗ったよね」


「そ、そうだな」


 び、吃驚したー。アリスは時折考えていることの話題を出すから驚くんだよな。

 ちなみに、体を洗うという行為は基本的に頻繁(ひんぱん)におこなうものではない。俺達はあの家なので、体を洗うための部屋があったりするが、一般の家庭にはそうそう無い。


「しかし、ここの裏にそんな場所があったか?」


「さあ? 私は知らないけど」


「(水さえあれば、体を洗うのに特別な場所は要らないと思いますけど? 水魔法が使えれば後は人目にさえつかなければ)」


「(あ、そう言えばそれが一般的だったね)」


 あの家の暮らしに毒されていたか……


 そのまま少し待っていると、サイク達はかなり抵抗したのか、ヤイとイア達の女性組が綺麗になり、新しい服装で先に戻ってきた。


「可愛いの。こんな服を着れる日がくるとは思わなかったの」


「これは、汚さないようにしないとです」


「制服として使いますし、古着なのでそんなに気にしなくて大丈夫ですよ」


 ヤイの古着かな? まだ持ってたのか奥さん達。


 その後すぐにサイク達も新しい服を着て戻ってきて「裸って恥ずかしいんだな……」「そうだね……」と意気消沈していた。トラウマになってないか?


「全く、苦労させられたよ」


 奥さんが息を吐きながら言う。


「お疲れ様です。手伝った方が良かったですかね」


「いいんだよ。これも私の仕事だからね」


「そうですか。なら、やれることもないのでちょっとギルドの方に報告に行ってきます」


「あいよ、行ってきな。ヤイは借りとくよ、仕事を教えられるからね」


「はい。すぐに戻ってきます」


 俺達は礼をして出ようとすると……


「待ってほしいです、私も行きたいです! お姉さんに謝っておきたいです!」


 イアが手を上げて主張してくる。


「いや、お前は仕事を覚えないと」


「で、でもずっと気になってるです。スッキリしてから仕事を覚えたいです」


 だけどなー、今じゃなくてもいいと思うが。


「まあいいさ、連れて行きな。その遅れる分の仕事はきっちりとやってもらうからね」


「ありがとうございますです!」


 奥さんが言うならもういいか。


「わかった、なら行くか」


「はいです! 着替えてくるです」


 イアが店の奥に行こうとしたが……


「ストーップ! 時間が勿体無いからそのままでいいよ。行こ」


 アリスが止めてそのまま連れてくる。


「え!? ちょ、ちょっと待ってほしいです! 汚れちゃうです! 汚したくないです!」


「はいはい、連れて行くっていう我が儘を聞いたからそれはもう聞かないよ」


「は!? やっちゃったです……」


 イアは我が儘を言ったことに気付いてまた反省していたが、ちょっと面倒だったので、悪い我が儘じゃない、と言ってサッサと一緒にギルドに向かう。


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