第4章
第4章
「狂ってやがる」
俺がその言葉をいう前に、恭二が声をだし自分の手下に命令をしていた。その時一瞬、一学期最後の日恭二にされたことを思い出した。そして泣いている榛名の事も。
「そうだ。俺は榛名をまもるんだ」
懐に入れておいた小刀を取り出した。それを左手に持ち腰を低くして構えた。最近夕食の前には外で刀を振る練習をしていたから少しくらいなら動ける筈だ。
「何故君がその刀を持っているんだ…?」
恭二が驚きの顔をした。
「これか?見てたら榛名が俺に持ってろって言ったから借りてるんだ」
「和人、君はまた僕の邪魔をするのかぁ!」
「は?何のことだよ!?」
「あの時だってそうだ。榛名に告白をして僕は振られた。でも僕は諦めず榛名に何度も何度も告白した。でも彼女は嫌だと言った。そしてもう1度告白をしようとしたら榛名の兄である和人に邪魔された。だから、僕は頭にきたから彼を刺したのさ。その時の榛名の顔ったら涙でぐちゃぐちゃだったよ」
「テメェ…何してんだよ…」
「何だよ、君に何がわかると言うんだ!!」
「何榛名泣かせてんだよ」
そう言って俺は飛び出した。すると奴の手下が束になって俺を抑えようとしたが今の俺は誰にも止められない。
「邪魔だよ、そこをどけぇ」
俺は小刀を振った。
「!!」
恭二の手下共を斬った。俺は恭二を見て言った。
「少し前に榛名が話してくれたんだ。アイツには俺と同じ名前で同じような顔の兄がいたと、そしてその兄はいつの間にか死んでいたと。そう俺に話してアイツは泣いていた」
「それがどうした」
「だから俺が倒れていた時、兄が倒れていると勘違いし助けてくれたんだと言っていた。要するにお前は榛名にどうやっても治しきれないだけの傷を負わせたんだよ!!だからお前を俺が殺す。アイツの為にも…さあ死ね」
「や、やめろぉ…許してくれ。わかったちゃんと謝る!何でもする。だから許してくれぇ」
「もう、遅い、」
「死ね!死ね!死ね!死ね!死ね!死ね!死ね!死ね!死ね!死ね!死ね!死ね!」
俺は最大級の怒りや憎しみを込めて恭二の足や腹を刺した。恭二は気を失った。すると遠くから榛名が走ってきた。
「助けて和人君!熊がでた。怖かったよ!!」
そこには泣きじゃくる榛名がいた。俺の左手には血塗れの小刀、目の前には血塗れで倒れる恭二。すると
バーン!!
なんだと思ったら恭二の手には西洋から伝わった新式の小銃があった。そして恭二は息をしていなかった。最後の力を振り絞り撃ったのだろう。だが、そんなことはどうでもいい。俺の隣で血しぶきがあがったのだ。隣には榛名がいる。まさかと思ったその弾は榛名に当たっていた。
「大丈夫か榛名!!」
「う、…」
榛名は口から血を出していた。
「おい!しっかりしろ!」
榛名の目の前には涙が流れていた。
「おい、やめてくれよ…死ぬなよ!一緒に今夜花火をみるんだろ!?」
「そうだったね…一緒に花火見たかったな…もっと一緒にいたかった…もし来世で会うことがあったらまた私を見つけてね…君と出会った2ヶ月楽し…かった…よ」
「榛名ぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ」
続く