第1章
第1章
7月31日、1学期最後の日海沿いの倉庫の中に俺はアイツに呼ばれた。こんな所に呼び出すなんてきっと重大な悩みがあるにちがいない。
「急に呼び出して俺に何の用だ?」
真っ暗な倉庫の中に俺の声が響いた。
「誰かいないのか?」
しかし、返事はない。すると開いていた倉庫の扉が音をたてて閉じる。
「来たね、和人君。」
この聞き慣れた声は…
「急に何どうしたんだ恭二?」
「いや、そんな大層な事じゃないんだけど1つお願いしてもいいかな?」
「お願い?何だよ急に改まって。俺ら『友達』なんだから、何でも言ってくれよ」
「そうだよね。僕達『トモダチ』だよね?」
なんだか様子がおかしい…気のせいだろうか
「当たりか前だろ」
「うん。じゃあお願いするね。あのね僕は君に『死んで』欲しいの」
「は…?何言ってんだよお前!?」
「聞こえなかった?君に『死んで』欲しいんだよ」
恭二の懐から芳香臭のある液体の入った注射器 が出てきた。
「お、おい、何だよそれは!?」
恭二が徐々に近付いてくる。
「僕ね君の事を考えていると胸の当たりが苦しくなるんだよ。こんな苦しい思いはもうしたくないんだ。だから僕の為に死んでくれないか?」
そういって首に注射器を刺した。
「や、やめ、ろ……なに ...を…」
「少し寝ててね…」
彼は不敵な笑みをうかべながら俺の耳元で呟いた。
そこで俺の記憶は途切れた。
〜数時間後〜
「ん…?痛っ…何があったんだ…何か臭いな…」
臭いの正体はすぐに分かった。分かりたくなかったが分からざる負えなかった。目の前にあるのは首や手足の無い死体があったのだ。
「!?…おぇぇぇぇぇぇ。っ…ふぅ、ふう、ふう…
」
呼吸を整えようと深呼吸をした。しかし肺に入ってきたのは血や何かが腐った臭いだった。正気のさたではない。手足を縛られ身動きをとることが出来ない。それに酷い頭痛が俺をおそった。恐らくさっきの薬の副作用だろう…
「…これは僕と同じ君の事が好きな(殺したい)奴らだよ」
「なんだと!?何で俺ばっかり狙われるんだよ」
「みーんな君の事が好き(殺したい)なんだよ!!でもね、僕は誰よりも君の事を大好きなんだよ?さぁ君も目覚めた事だし楽しいショーを始めよう」
そういって死体を蹴飛ばしながら近づき、途中
落ちていた鉄棒を拾った。
「ギィィイ」
と鈍く重い扉の開いた音がした。そこには夜空のように黒い髪、真紅の瞳を持った、まるで夜をそのまま人にしたかのような女。名前は榛菜、俺の彼女だ。
「和人君!?」
榛菜は口に手を当てた。
「う、ゲホッゲホッ」
「榛菜こっちに来ちゃダメだ!!早く逃げろ!」
俺は叫んだ。しかし榛菜はその場に崩れ落ちた。
「おや〜?こんな所に子猫ちゃんが迷い込んでしまったようだねぇ〜。悪い子にはお仕置きをしてあげないとねッ」
「い、いや。やめて…来ないでよっ…」
やめてという榛菜の願いは届くこと無く恭二は手に持っていた鉄棒を女の頭に振り下ろした。
「榛菜!!」
「あはははははははは」
「やめろ!!そいつには手を出すんじゃねぇ!やるなら俺をやれ!」
「そんなのは関係ないよ和人君、2人だけの秘密を見られてしまったんだ。だからこいつは殺さなきゃね♪」
榛菜の額からは血が出てきていた。和人は生まれて初めて『絶望』の本当の意味を知った。
「邪魔者はいなくなった。さぁどこから『切ろう』かなぁ?足かな?手かな?指かな?それとも首?」
俺はは血の気が一気に引いた。自分のどこを『切ろう』と笑顔で恭二が言っているのだから。
「た、頼む止めてくれ!何でも言うことを聞くから。まだ死にたくないよぉぉぉぉぉぉ」
「大丈夫、君は死なないよ。君は僕の中で生き続けるのだから。さあ終わりだ」
ザクッ
「あ、ぁぁぁぁぁ。何だ…これは…ふっ血か…誰だい僕を刺したのは…」
恭二は言った。後ろを振り返るとそこにはさっきまで倒れていた筈の榛菜がいた。
「何で君がいるんだい?榛菜」
「君に私は殺せないよ。だって…私の方が、和人君の事を(純粋に)好きだもん」
「ハハハ、これは驚いた。僕よりも和人君の事を好きな(殺したい)奴がいるだ…なんてな、…ハハハこれが痛みか…こんな感覚は初めてだ、こんなに痛みが気持ちの良いものだなんて…」
恭二がその場で倒れた
「さ、行こっか和人君。私達の家に。その前に病院にいってその傷、治して貰おうね!」
「あ、ああ。ありがとな榛菜」
「ありがとうだなんて…だって私は和人君のことが好きだもん」
続く
初めての投稿です。至らぬ点も沢山あると思いますが、楽しんで頂けたらうれしいです。




