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べナルロッド指揮隊、出動

日をまたいだ10月11日午前10時5分。日も高く登り始めた頃に試作体らは行動を開始する。

今回は試作体の部下以外にもクラーカー大尉、エドマー大尉、レオルス中尉、ソーダコーラ中尉、ソヴァ中尉、ジャガン中尉らの隊も加わった。総兵力136名。

総指揮をとるのは広い戦略的な視野と堅実的な戦術能力を持つとされるべナルロッド。副司令にミノツナと朝倉。

あくまでも試作体3体が今回の本隊であり、それ以外は援護や陽動が主な任務となる。いかに本隊を効果的に動かすかが鍵となるのだ。

作戦前の司令部で広げられた地図を使い、べナルロッドはこう説明した。

「第一部隊は朝倉が指揮をとる。第一部隊にはソヴァ中尉、クラーカー大尉、ソーダコーラ中尉の隊に任せる」

「第二はミノツナ。エドマー大尉とレオルス中尉がサイドを固めろ。そしてジャガン中尉の部隊は本営である俺べナルロッドの護衛だ」

ジャガン中尉が頷く。ジャガン中尉の任務に忠実な所は前々から評価されており、信頼のおける人物である。

「そして具体的な作戦だが、まず敵は4名いるため前後左右から攻撃してくる可能性が高い。周辺への警戒を怠らずに横陣のまま前進しつつ、現れた敵を攻撃する、それだけだ」

「具体的なフォーメーションだが本営は1番後方に置き、その斜め前両サイドにミノツナと朝倉の部隊を配置する」

その陣形で実際に行軍を開始したが、敵が誰も現れなかった。疑問に思ったべナルロッドらが洞窟近くまで到着すると、女木島の司令部から通信が入った。

「べナルロッド大尉か?」

声の主はルゴ大佐。息を荒げており、ただ事ではない様子。

「どうかなさいましたか、ルゴ大佐」

「お前たちが出発するとここの司令部にあの敵が直接攻撃を仕掛けてきやがった!今応戦中だが全滅は時間の問題だ」

「なんですって・・・!」

「だが、俺たちは2人の敵を始末することには成功した。奴らの頑丈さはやはり試作体かそれに近い生命体であろう。せいぜい気をつけるんだな」

「0番はそこにいるのですか?」

「いや、いないかもしれん。なんせ敵はヨーヨーを使ってこないのだからな。ヨーヨーは試作体の基本的な武器であるはず。某国も0番にもヨーヨーを搭載したと言っていた。0番は他にいると思われる」

そこで通信越しに爆発音が聞こえた。ルゴ大佐のいる場所はかなりダメージを受けているようだ。

「もうあまり時間がないようだ。私も奴らを食い止めるために戦闘に参加する。貴官らの無事を祈っている」

そこまで言うと大佐との交信は途切れた。大佐も戦いに身を投じたのだ。

「ホードリング曹長」

「はっ」

べナルロッドはホードリング曹長を通して他の2つの隊に司令部の状況を伝えた。

「司令部は壊滅。4名の敵の内2名は死亡。0番はそこにはいない、と。そういう事かソヴァ中尉」

「はい。我々がいない隙を狙っての攻撃です。敵が恐れるのは試作体である大尉どの達だけ。その他の奴らは全く脅威と思っていないのでしょう」

「だが、逆に言えば今0番は一人っきり。このまま洞窟に入って攻撃を行うのがベストか。べナルロッドはどうするつもりかな」

朝倉らがそう考えているときだった。べナルロッドが洞窟への突入命令を出そうとしていたのだが、突如後衛部隊が襲撃されたのだ。

最後衛で見張りをしていたアロポル一等兵とサザルルス上等兵が刺殺されたのが始まりだった。敵2人は次々に後衛部隊の兵力を削いでいった。

既に6割の犠牲を出したミノツナ隊。遅れながらもミノツナが襲撃者2人の前に立ちふさがった。

「言葉が通じるかどうか分からんが、聞いておこう。お前らは試作体なのか?」

2人の敵はサバイバルナイフを片手に迷彩服を着込んで顔にもペイントを施していて試作体というよりはゲリラのようだった。

敵の片方がニヤリと白い歯を見せると語り始めた。

「お前が試作体8番のミノツナ・ユウだな?」

「そうだ。お前らもそうなのか?」

「フフッ・・・俺はお前らのいわば大先輩だぞ。0番よりも前に作られた失敗作さ」

「失敗作・・・?」

「そうよ!0番のように番号すら与えられず、固有武器も持たない試作体の元祖だ」

そこでもう一方の男が声を出した。

「ロスト・ナンバーズと呼ばれていた廃棄品さ。技術が確立されていない頃に無理に改造されたんだ」

「そのロスト・ナンバーズが何故0番と共に行動している?」

それは最初に話した男が答えた。

「ロスト・ナンバーズの寿命は短い。直に死ぬだろう。それまでに自分を必要とする人のために働きたかっただけだ・・・!」

その男はナイフを振りかざしてミノツナに飛びかかってきた。いくらロスト・ナンバーズで常人よりも優れた身体能力があろうともミノツナのヨーヨーの速さには勝てず、男は頭部を吹き飛ばされて絶命した。あっけないものだった。

「お前もコイツみたいな無残な姿を晒したくないのなら抵抗をやめて投降するんだな」

「俺を舐めないほうがいいぞ。貴様らの大先輩でその機能は極限にまで高めてある。いつ暴発してもおかしくないくらいにな!」

男の手が輝きを帯びたかと思うと球体がミノツナの頭を狙って飛び出した。この男ヨーヨーを使うのか、とミノツナは思い、ガードのためヨーヨーを出そうとしたが、間に合わず右肩をかすめてしまった。

男のヨーヨーが手元に戻るタイムラグを見計らって男から距離をとったミノツナ。何故だ奴らはヨーヨーを使うのか?だとしたらナイフを使ったりしないはず。

「お前・・・ヨーヨーが使えるのか・・・?」

「貴様らは俺を処理するために派遣されたのであろう?そんなに驚くことないだろう?」

「じゃあ、お前が・・・!」

「そう俺がお前らが0番と呼んでる本庄荘司だ」

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