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007 陰謀は続くよどこまでも

   

 それからも変則的な狩りになっていたものの、妙に運営が乗り気になっているのか、変な召喚は続いた。

 そのうちに種族レベルが50に到達し、いよいよセカンド職に就けるようになる。

 普通は戦闘職とは別に野外職に就いたりして、行動範囲の拡大に利用されるセカンド職。

 リアフレのあいつは恐らく、移動の足の確保の為に、馬飼いとかを選ぶと思うな。


 馬飼いになるとホーマスの馴致がやり易くなるうえに、街の近くで放しても狩場で呼べば来る、なんて不思議な事が可能になる。

 しかもNPC扱いと言うのか、ネームが黄色くなってうっかりと狩られる事も少なくなる。

 まあ、世の中にはNPCを狩る人も居なくはないが、そういうのはブラックネーム、通称『黒ネ』と呼ばれ、NPCの店での買い物がやれなくなる。

 それでも狩りたいのなら仕方が無いので、殺されても普通は泣き寝入りするんだけど、あいつはPKK職だからきっと敵討ちはするだろうな。

 殺されたらお悔みメールが届くらしい……『貴方の愛馬が殺されました。殺したのは○○というプレイヤーです』親切だよね。

 黒ネは被害を受けた者のみ討伐対象として許可が出るようで、だからこそあいつは確実に報復するだろうと思われる。


 それはともかく。


 特に人馬一体な活動をするには、馬飼いがベストチョイスらしいんだ。

 意のままに動いてくれる馬が居れば、プレイヤーは狩りの事だけ考えていればいい。


 他には生産職をセカンドに選んで消耗品の獲得を狙う人もいる。


 やはり銃弾の経費が気になる人も多いようで、自作すれば安価で済むからだ。

 他にも料理がやりたいって人もいれば、回復薬の自作がやりたいって選ぶ人もいる。

 オレはセカンド職でやっとまともに銃の撃てる職を選ぶつもりだし、そうなれば通称の蛮族も消えてくれるはずだ。


 ああ、長かったな。


 さてさて、選択肢は……1つしか無かった。

 しかも、そいつは予想の斜め上にぶっ飛んでいた。

 まさかこんな結果になるとは、到底予想出来なかった。


『砲術士』


 オレはぁぁぁ、銃がぁぁぁ、撃ちたいんだぁぁぁ、その先の砲とかぁぁぁ、望んでねぇぇぇ……はぁはぁはぁ。


 おのれぇぇ、運営はまだオレで遊ぶつもりかよ。

 もう蛮族は嫌だと言うのに、どうして銃の撃てる職を選ばせてくれないんだよ。


 ちくせう。


 それでもとりあえずセカンド職の設定をすると、やっぱり召喚物は増えたものの、ここにも運営の意趣が満載になっていた。

 追加されたのは『初期砲』『通常弾』

 つまりさ、プレイヤーメイドの強力な弾は使わせないと、そう言いたいんだな。

 皆はまだ30~40台なのでうっかりセカンド職も見せられないと、人里離れた山奥で試し撃ちをやってみる。


 きゅぽん…………ひゅぅぅぅぅぅ…………ぽてん……


 あのなぁ、ワインを開けるんじゃないんだからさ、コルクが抜けたような音とか止めろよな。

 しかもこの威力は何だよ。

 全然、初期銃からの進歩が無いじゃねぇかよ。

 これきっと撃っても受け止められるぞ。

 んで、投げ付けられたらきっと、仲間から総スカンを食いそうな話だ。


 使えねぇ。


 どうしても運営はオレに蛮族をやらせたいようで、セカンド職にまで陰謀の手は伸びていた。

 それでも何とか使い物にならないかと、それから毎日ひたすら砲を撃っていく。


(サジカル村からの依頼です)

(調査依頼? )

(なんでも山の中からワインを開ける音がよく聞こえるらしく、盗賊の酒盛りではないかと民が怯えているそうです)

(おいおい、盗賊が酒瓶なんて高級品を自分で使ったりするかよ。売れば金貨になるだろう品だぞ)

(そう思ったんですけど、実際に音がよく聞こえるらしく、その調査をして欲しいと言われまして)

(そういう事なら仕方が無いな。誰かに指名依頼を出すか)

(そうですね。事が山の中なら、きっと彼なら)

(誰だ)

(ほら、あの変則的な戦いをする高レベルの)

(ああ、蛮族のあいつか)

(彼ならその手の依頼に打ってつけだと思うんですよ)

(まあなぁ、臨機応変に対処となると、ああいう戦い方のほうが安全か)

(彼にメールを送りますね)

(請けてくれるといいが)

(そうですね)


 珍しく王都の冒険者ギルドからメールが届く。


 実はこの世界にその手の組織が無いようで、無ければ作れとばかりに拵えたのがそのギルドになる。

 なので他にも同様の商業ギルドやら薬師ギルドやらがあるが、全てプレイヤーメイドのギルドになっている。

 あれからもエリアボスの討伐に呼ばれるようになり、自然と知名度が上がっていき、冒険者ギルドから誘致を受けたんだ。

 一応断ったんだけど、それなら特別会員って事にして優遇する代わりに、一般の手に負えないような依頼に対処して欲しいと懇願され、仕方なく受けてしまった経緯がある。

 その代わりに素材の買取では色を付けてくれたり、回復薬が安く手に入ったりするようになったので、悪い事ばかりではない。

 もっとも、レア物は生産職に流れるので、ギルドに渡すのは汎用な素材ばかりだけどね。


 ともかくメールを読んでみるか……ほわっ?


 調査依頼だと。

 ワインを開ける音って、オレの事かぁぁぁ。

 くそぅ、山1つ離れているというのに、そんなに気になるのかよ、音が。

 仕方が無いから請けた後、しばらくして異常無しって送っておこう。


 くそぅ、場所変えだぁぁぁ。

 

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