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003 運営の陰謀かよ

おかしいところを直しました。

   

 βからの馴染みの生産職を探し、早速にもフレンド登録をしておく。

 これはまず最初にやっておかないと後で苦労する事になる。

 それと言うのも廃材からいきなりまともに作れる生産職も中々居なくて、自然とβでの実績が問われる事になる。

 そんな中でも腕の良い生産職はほんの一握りに過ぎず、そういう人達はフレンドリスト優先とかにするようで、確保してないとおいそれと注文もやれなくなる。

 そりゃ銃弾も自作でやれなくもないけど、威力や命中を追及するならやはりプロに頼むしかない。

 他にも鎧とか盾とかも、序盤ならともかく、自作なんかじゃどうしようもなくなる。

 それから生産職を探しても、とっくに顧客で埋まっていて、中々新規の注文も請ける余裕が無くなるらしい。

 自然、人気の無い三流の手に委ねる事になったり、手癖の悪い奴に頼む事になったりして、変なトラブルに巻き込まれたりする。

 曲がりなりにもまともに狩りがやりたいのなら、装備や消耗品はまともな物を揃えないと、うっかりパーティも組んでくれない事になる。

 だからこそ皆は腕の良い生産職と繋ぎを取り、早めにフレンドリストに登録するようになる。

 まあこういうのは他のゲームでも同じなので、慣れている奴らは新規と言えどもそつがない。


 だからとっとと顔繋ぎにいかないと。


 それにそもそもインベントリに満載になっている、弾になる廃材と火薬がはっきり言って邪魔だからだ。

 レベルの上昇で可能収納量が増えた分は、魔物の素材で満杯になっている。

 それに今は銃弾とか使わないから、預かっておいてもらわないとな。


「ヤオヅさん、こいつを処理してくれるかな」

「あらあらあら、また大量に集めたわね。道理で皆が無い無いと騒ぐはずだわ」

「あれ、ログインしてすぐに廃材置き場に行けば、これぐらいは簡単に集められたよ」

「そりゃあね。だけど、皆が皆、そんなにフットワークが軽い訳じゃないしね。で、こいつはどうすりゃいいの? 」

「とりあえず半分は流しても良いからさ、キープお願い出来るかな」

「そりゃありがたいね。序盤の素材不足はβから深刻だったからさ、こういうのは助かるわ」

「どのみち蛮族やってるからさ、キープも必要なら使っても良いよ」

「あれ、キャラ交換しなかったのね」

「Gが惜しくてさ」

「あっはは、まあねぇ、簡単に稼げないんだし、確かに惜しいだろうけどさ、先々が不安だわね」

「やれるだけはやってみるさ。でさ、ホーマスの素材があるんだけど」

「うわ、いきなり初日にあれを狩るのかい? とんでもないわね」

「そりゃ蛮族だしね」

「あっはは、さすがだわね。で、どれぐらいあるの? 」


 ホーマスというのは馬のような魔物の事だけど、こいつは後々には狩りの足になる魔物でもある。

 ただ、自分より弱い相手には絶対に懐かないと言われていて、序盤の獲物でもある。

 こいつの皮は腰帯や銃のサックや皮の鎧に騎獣の鞍など、序盤に広範囲に用いられる良質な代物であり、後々皆が狩る頃には暴落する事になるだろうけど、今はきっと高値で売れるはずだ。


「さすがに初日にこれが手に入るとは思わなかったわ」

「トマス推奨のフルアーマーをお願い」

「ああ、やっぱりそれ、作るんだ」

「PK対策をしろと煩くてね」

「そうねぇ、うん、作っておくわ」

「それで、残りの素材には色は付くんだろうね」

「あっはは、さすがに抜け目が無いわね。うん、付けるわよ。その代わり、他の部位もあるのよね? 」

「ああ、ノーマルだからな」

「それならさ、他の部位も買い取るんだけど、お肉は調理部門に持って行ってくれるかな」

「もう調理やってんだ」

「共同でレストランやるって息巻いていたわ」

「それは食べに行かないと」

「あっはは、それじゃよろしくね」


 あいつのイチオシの完全防御な防具を発注し、残りの素材はかなりの高額で買ってくれ、廃材と木箱もキープして一気にインベントリがかなりスカスカになった。

 素材のキープは信用問題でもある為、馴染みの生産者としかやれないんだ。

 つまりさ、持ち逃げ可能なシステムのせいだけど、彼女の腕前と性格はβで把握済みだ。


 確かに初回特典みたいに集められたけど、外にも少なからずある廃材と木箱だ。

 そんな物の為にβからの信用を失くすとか、普通の生産者でやる人は居ないだろう。

 特に彼女はその点はしっかりしていて、キープ料は取るものの、管理は確実にしてくれていた。

 つまり今回のキープでの管理料は、半分流すというのがそれに該当し、それが彼女の儲けになる。


 高いようだけど、それぞれのインベントリの量は決まっていて、生産職と言えども無限に入る容量を持っている訳ではない。

 加工すれば量が減るから入れられるだけで、あのままだと彼女もどうしようも無いはずだ。

 それを快く預かってくれるんだから、半分渡すぐらいは当然と言うものだ。


 そしてもちろん、加工費も含まれている訳で、だからお得なキープでもあるのさ。

 とは言うものの、薬莢と弾体までの加工となり、銃の種類によってそこから先が決まる。

 なので中間加工までになるんだけど、それでもかなり量は削減になるはずだ。

 まあ、オレが使うようになるまでは彼女も在庫として扱うだろうし、必要になるまで好きに使えば良いさ。

 んで、必要で製品にして返してくれれば問題無いさ。


(それにしても物凄い量ね。これは半分流しても全部は無理かもね。やれやれ、こりゃ当分他の生産はやれないかしら)


「そ、それは、ホーマスか」

「何だとぉぉぉぉ」

「なんだなんだ」

「おおお、いきなりキター」

「全部寄こせぇぇぇ」

「早くしろぉぉぉ」


 追い剥ぎのようだけど、彼らは料理集団である。

 初日からのホーマスの肉がかなり受けたようで、全てお買い上げとなった。

 今は屋台だけど、そのうちレストランをやるようで、その抱負を聞かれないのに勝手に語るアツい奴らだ。


 だけどさ、その名前はちょっと拙くは無いのかな。


 リアルで見た事のあるような名前にするようで、ちょっと心配な名前のレストラン。

 いくらモンスター肉を専門に扱うカフェレストランだと言ってもだね、モンカフェは拙いと思うんだよ。

 どっかから苦情が出なければ良いけどね。


 そんな事はさておき、ログアウト前にはステータスの確認をしないとね。

 さてさて、初日の成果はどうかな。


 名前 カイト

 職業 召喚士

 階級 蛮族LV.8

 汎用スキル 《銃撃LV.1》《装填LV.1》《命中LV.1》《威力LV.1》《射程LV.1》

 職業スキル 《召喚LV.5》


 ほわっ?


 何だよ、蛮族LV.8ってのは。

 おいおい、運営さんよ、こりゃ無いだろ。

 ああ、βでの通称をレベルに取り入れたんだな。

 つまり、あいつの襲撃職は恐らく、襲撃LV.1とかになるんだろう。


 それは良いんだけど、蛮族ってどういう意味だよ。

 遊びが過ぎるんじゃないのかよ、運営さんよ。


 ちくせう。


 ログアウトして公式掲示板を見てみると、早速にも階級レベルでの通称が話題になっていた。

 PK達は軒並み『暗殺』だの『闇討』だのが付いたらしく、生産職は一律『生産』になっているとか。

 普通の人達は『戦闘』が殆どらしく、タイプによっては『狙撃』だの『襲撃』があるらしい。


 そして何処にも無かった『蛮族』なんて。

  

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