お正月スペシャル 混沌格付けチェック2013 ~お前らホントは何流だ?~ 最終章
今回、すべてに決着が着きます。
綾「長かったな。そして未だに事情を知らず走っている三人の運命やいかに。」
前回のあらすじ――そっくりさんと三流が負けないでーって歌いました・・・ふざけんなー!?
お前らが既に負けてんじゃねぇかよ!新年早々縁起悪いっつーの!
第三チェック終了時点
千夜・澪次:一流芸能人
龍星・白姫:三流芸能人
エレノア・イリア:三流芸能人
深紅・つぐみ:一流芸能人
秀久・一麻:そっくりさん
万里・大沢:一流芸能人
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「――はい、それでは三流とそっくりさん共の歌の事など忘れて」
「「「「「「ちょっと待て!?」」」」」」
「次のチェックは・・・これだ。」
黒姫が右手で背後のモニターを指すと、そこにでかでかと漢字二文字が表示される。
「今回のチェック・・・最後はやっぱり牛肉!一つは牛肉の生産量が国内一とまで言われる、鹿児島産のテンダーロイン!」
「テンダーロイン・・・それってなんだ?聞き覚えがない名前なんだが?」
「簡単に言えばヒレだ。ヒレは英語でテンダーロインとも言われていて・・・これは凄い。テンダーロインは希少部位で、一頭の牛から3%しか取れない物だそうだ。」
「つまりその、ヒレの凄いやつって感じか?」
「まぁ、そんなところだ。」
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最終チェック――牛肉。鹿児島は日本一の和牛生産地。
テンダーロインは一本の牛から、僅か3%しか取れない希少部位です。その価格は150g・12000円。
それを今回調理していただくのは、グランドハイアット東京にある、ステーキハウス・オークドア。
ここは新鮮な牛肉をダイナミックに焼きあげ、有名ハリウッド・スターも訪れる名店です。
この店で最高級のテンダーロインを、ウッドバーニングオーブンで焼いていただきます。
日本一の和牛生産地・鹿児島で育った牛肉は、きめ細かで柔らかい肉質が特徴。
適度な霜降りととろけるような食感を、口いっぱいにたん能できる至高の逸品です
それと比べるのはスーパーで買った、100g・800円の牛肉。さぁそれではみなさん、最後のチェックへ行ってみましょう。
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それでは挑戦者の六人にはチェックルームへ移動していただき最後のおもてなしです。
一流の皆様には、ホット一息緑茶と小梅。一件質素に見えますが、どちらもこだわって作られたものです。
三流には・・・まぁ塩でいいんじゃないの?
それでそっくりさんは・・・・食品サンプルで十分だろ。
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一流のもてなし・・・私はどうやったら何回も受けられるようになるんだろう。
本当に塩しか置いてない小皿を見て、本気で疑問を抱くしかなかった。
「お、このお茶うめぇな。」
「うん。まろやかさと苦味が見事に調和している。」
「それにこの小梅も酸味がとんがってないで、なんかホッとする味やなぁ」
小梅ポリポリ食べてるところ恐縮ですけど、こっちを見てもらえませんか?
ほら、私と龍星君は塩と対峙してるんですけど。
いや、それより悲惨な人がいる、一麻君の前には一流の三人と同じモノ・・・の食品サンプルが置かれている。
えぇ、食品サンプルなの。食べれる要素なんてどこにもないの。
「あ、あの・・・なんだこれ。いや、割と本気で疑問なんだが!?」
『ささ、どうぞ。一流の方達と同じの緑茶と小梅・・・のサンプルですので、じっくり味わってください。』
「ふざけんな!そもそももう食い物どころか、もはやおもてなしですらないだろ!?せめてさっきの水とかでもいいから出してくれよ!」
『知っていますか?一流のヴァ○ガードファイター達はイメージだけでバトルフィールドとユニット達や自分の姿を創造します。ならば食品サンプルから本物の緑茶と小梅の味をイメージして創造する事も決して不可能ではないでしょう。さ、どうぞどうぞ。』
まさか・・・イメージしてエアーギターならぬエア飯をやれと!?
一麻君が本当に緑茶と小梅を食べているように見せろと!?
なに、その無茶ぶり!というか、食品サンプルでソレをやらせるの!?
ていうかそのヴァ○ガードって、そんなイメージだけで成り立つのっ!?
「そんなのでるかぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!く、屈辱・・・屈辱すぎるぅぅぅぅぅぅぅぅぅ!」
「・・・なぁ、俺は初めて三流はまだマシだと思ってしまった。」
「・・・奇遇ね、私もよ。エレノアさん・・・前の問題正解してくれて本当にありがとう!もうね、私には無理。アレはもう・・・・・・・」
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そっくりさんじゃあイメージ力が足りないのはわかりきっている事実。
そんなわけで、チェックスタートです。
みなさんには目隠しをしていただいた上で、AとBを一切れずつ味わっていただきます。
こちらのチェック、前回はチーム全員でしたが、今回はいつも通り一人ずつ行います。
さて、最初のチェックは・・・龍星。
前回のチェックでは、ヒレ肉と成型肉の区別も付かづ三流に落ちた筋肉バカ。
今回は既に三流な上に、間違えたらそっくりさん越えて消えてしまう筋肉バカ。
さて、今回はどうなることやら・・・
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「龍星、お前前回外してるよなこのチェック。とりあえずここで正解しないと、現状維持どころかそのまま消えて汚名の上塗りだな。」
『だから間違えられないんだよ!せめて芹には消えていない俺達を見てもらうんだ!』
「じゃあ自信の程は?」
『ぐっ、・・・前回間違えているから、実はあまりない。と、とにかく自分の感覚を信じるだけだ。』
まぁそれが妥当だろうがお前、肉の区別も付かないバカ舌なのにな。
というわけで目隠しをしてもらった上で、AとBそれぞれの牛肉を頂いてもらう。
ここは焼き色云々でバレる危険を避けるため。
まずAは・・・食べた龍星が首を傾げる。
次にBのステーキを食べると・・・お、なんか表情がほころんだ。
それでもしっかり咀嚼して、目隠しを外した。
『これはBだな!』
それで外した途端に即答かい!
お前、前回それで外さなかったか!?
「即答だな。あの様子から、もう少し迷うと思ったんだが。」
『あのな、綾人達が言うようにすぐ分かったぞ。まずその、歯ごたえが違うんだよ。硬いのと、食べごたえがある――その違いか?Aの肉も柔らかいと思うが、Bはそれ以上。硬いわけじゃないけど、これぞ本当の肉を食ってる感触がしてかなりよかった。』
「うーん、コメントは良いんだよな龍星の場合。」
「でも、今のままだとこう・・・前回と同じ感じで間違えそうだな。」
『これで間違えれば汚名の上塗り、三流の龍星は足取り軽くBの部屋へ。』
最終問題が解けたおかげか、はたまた回答に自信があるためか。
なんにしても龍星は自信いっぱいにAの部屋へ入った。
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というわけで、次の挑戦者です。次は一流街道爆進中の澪次様。
ここを正解すれば銀君と星くんのリベンジを果たす事ができる大一番。
この調子なら、恐らくこのチェックもクリアしてくれる事でしょう。
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「澪次様、最後のチェックですけど・・・ぶっちゃけかなり勉強してきた?」
『いや、そうでもないよ?少なくともこのテストのためにって感じはないし。』
「そうなのか?さっきの千夜とか見て、二人共そうかと思ってたんだけどな。」
『というわけで、先輩二人の無念を果たす為チャレンジしていただきましょう。果たして澪次様は正解のお肉を当てられるのか・・・』
澪次はまず目隠しをし、その上でスタッフにAのお肉を食べさせてもらう。
『ふほ……へはいへはひっ!』
「すまん、なにを言っているか分からん。」
「とりあえず大きさに驚いているのはよく分かった。」
肉の大きさに驚きつつも、AとBの両方をしっかり頂く。
なにか納得しているかのように何度も頷いてるけど、結果はどうか。
『これは・・・Aしかないよね。』
「お、言い切ったな。」
『なにぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃ!?』
Bの部屋では様子を見ていた龍星が、立ち上がって叫ぶ。
龍星のうろたえ振りからして、もう澪次は一流として信頼されているな。
『あのね、これは本当に凄い。もうお肉一切れとかを豪華な形で食べさせてくれたせいもあるけど。こう、Aの肉は油の味わいや肉のキメからなにもかも違うね。これは一発で分からないのは、確かにちょっと恥ずかしいよ。せめて違うって事は認識しないとね。』
「かなり強く言い切ったなぁ。さて、これを聞いた龍星はどういう心境だろうな?」」
「心中穏やかではないだろうな。それにしても、一麻だったなにかがいる時にこれを言ってほしかったな。」
『この強めな言葉がブーメランになるか?澪次様、一流の貫禄を見せつけつつ誰もいないAの部屋へ。』
Aの部屋へ移動し、澪次は恐る恐るドアを開ける。
それで中に誰もいないのを見て、困惑した表情を浮かべる。
『あれ・・・龍星さん、お疲れ様でした。』
『勝手に消えること決定すんな!まだわからないからな!?俺は消えるわけにはいかないんだよ!』
「もう龍星は既に極限状態まで追い詰められているな。」
「こちらを目指して走っている芹香に顔向けどころか、姿すら見せられないかもしれないしな。」
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続いての挑戦者は、一麻もどき。まぁ既に未来は決定しているけど、頑張ればいいんじゃないの?
あ、でもトンチンカンなコメントかましてくれた方が番組的には面白いから、頑張ってほしいなー。
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「ねぇ一麻っぽい童貞、ここまで全問不正解だけど・・・どうよ。ジャニケルファウンデーションの刺客どころか、とんだ恥さらし決定だけど。」
『だ、大丈夫だ・・・次こそは絶対に当てるからな!』
「それ、説得力ないぞ。既に貴様の味覚・音感・芸術性が駄目なのは証明されているのだぞ?」
そう、一麻だったはずの誰かさんが、苦しげに呻くのも当然の事。
このチェック、期待できるところは全くない。
だってチームメイトの秀久だったはずの誰かさんですら、正解者が必ず言及していたリンゴジュースの違和感に気づかなかったし。
ほんともう、どっちのご両親も泣いてるし怒髪天状態だぞ。
これから両家では親族会議が行われると思う。
「まぁそっくりさんには聞いて無駄かもしれないけど、テンダーロインは?」
『・・・さすがにそんな高級な肉は食べた事がない。でも、明確に違いがあるというのなら必ず見抜いてみせる。』
「それで間違えるんですね、分かります。」
『だから間違えねぇよ!確かに失うもんはないけど、これ以上は・・・これ以上は絶対に!』
『もうなにを言ってもフラグにしか聴こえない。そんな一麻ウィズDTのチャレンジです。』
一麻に似た粗忽者は目隠しをし、スタッフに促されるまま口を開く。
Aの肉をほうり込み、しっかり味わって食べたところにBの肉を投入。
Bの肉をかみ締め飲み込んだ途端、一麻のパチモンがハッとした顔でキョロキョロし始めた。
『味が全く違う!よし、これはもらったぜ!』
「だからいちいちうるさい!それを当てるんだから、違いは当然あるんだよ!」
『どうかこっちへ来ませんように!』
『マジでもう、ここから消えるとかありえないからやめてくれよ!』
うわぁ、二人共神に祈りまくってるよ。
どうすんだ、これ?
番組的にはAへ行ってくれた方が面白いんだけど・・・一麻の結果は?
『これはもう間違いないな、Bがテンダーロインだ!』
『よっし!これで正解間違いなし!やったぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!』
『嘘だろぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!?』
もうそこで俺達は大笑いするしかなかった。一麻がどうというより、澪次達の反応にだよ。
特に龍星はさっきの白姫みたいに、ファ○トム出て来てもおかしくないぐらいの絶望してるし。
これはひどい・・・ひどすぎる。
『いい肉ってのは、適度な霜と硬さが必要だって聞いたことある。その点Bの歯ごたえは凄かった。噛む毎に迸る肉の味――それに引き換え、Aは駄目だな。安っぽい肉だからか、ゴムみたいな感触すらしてきた。Bには雄大な自然で育った牛の力が存分に詰め込まれている。これは間違いない!』
「うん、間違いなく不正解だと思われてるぞ。少なくとも龍星と澪次には。」
「だな。見て見ろ二人を、片方はもう安心しきって片方は絶望している。」
『そっくりさんなのに、どうしてここまで自信が持てるんだろう。アイドルに強制合体を迫る童貞のそっくりさん、ファ○トムを生み出しにBの部屋へ。』
DT一麻もどきはさっきまでのあれらが嘘みたいに、自信を持った足取りで部屋の前へ行く。
それでそのまま入るかと思いきや、なぜか近くに設置してあるカメラへと向き直る。
『えー、いろいろと醜態を晒してしまいましたが今回は大丈夫です。』
「大丈夫じゃないぞ!お前そっくりさんだからな!?もう千原家も大変だからな!?」
「というか、今更一流顔ってどういうつもりだ。恥の上塗りどころの騒ぎじゃないぞ。」
「万が一の時を考えて世間からのバッシングを少しでも軽減させる為だろ。もう色々と手遅れなのにな。」
『今回は確実に当たっている。きっと先に出た二人もここにいる・・・それじゃ』
確実になにかを勘違いしている一麻じゃないDTは、Bのドアを開いて愕然とした表情を浮かべる。
『え・・・あれ?なんで龍星しかいないんだ?』
『一麻・・・恥さらしってレベルじゃないよ。』
うわぁ、澪次がめっちゃ冷たい言葉をぶつけてきてる。
部屋へ入りながら一麻は、やっぱり信じられない様子だった。
『肉の弾力は確かに違ったけど、Aがゴムみたいって・・・』
『いや、でもそうじゃないか!最後でかみ切れない感じが気持ち悪いだろ!?一瞬食べて吐き出しそうになったし!あれ絶対俺等が普段食ってる安っぽい肉だって!』
『そんな事ないよ!柔らかい中の硬さだよ!?』
『うがぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!もうお前はクタバレェェェェェェェ!!』
『ちょ、どうした龍星!?いや、ホント怖いからマジでやめてくれぇぇぇぇぇぇぇ!』
あー、何か龍星がバーサークモード発動させて一麻を殺しにかかろうとしている。
気持ちは非常にわかるが、さすがにここで死人が出ると番組が終わってしまう。
な・の・で・念のために用意していたアレに処理を任せよう。
「つぐみ~、怒れるバーサーカーが暴れ始めた。」
『りょうか~い。それじゃあちょっと軽くシメてくるね。』
そう言うと、俺達のモニターに小さい誰かの後ろ姿が現れる。
そいつは現れるや否や、Bの部屋へ入りバーサークモードの龍星に近づいていく。
『『え・・・・・・・つぐみ?』』
Aの部屋のモニターから様子を見ていた澪次と、今にも殺されそうな一麻は、突然部屋に入ってきたつぐみに困惑する。
『■■■■■■■■■■■■■■―――――――――――――――ッ!!」
目も赤く染まり髪の毛は天を突くかのように逆立った龍星。
声にならない雄叫びを上げ、やって来たつぐみを敵と認識したのか、その剛腕の右腕をつぐみに向けて放つ。
『はぁ~、実力差もわからないぐらいの冷静さもない時点であなたの負けだよ。このド三流。』
だが、つぐみは呆れた表情で自分に向けて放たれた右拳を最小限の動きで回避し、すばやく急接近して龍星の顔面をその小さな右手でわし掴む。
『ふんっ!』
『■■■■■■■■■■■■■■―――――――――――――――ッ!?!?・・・・・」
一言、そう言って何かをしたつぐみ。
すると、今まで暴れていた龍星がいきなりぐったりとし、白目を剥いたままその場に倒れて全身がヒクヒクと震えだす。
『・・・・・・・えっ?今・・・何が・・・』
『軽く脳にショックを与えただけだよ。いくら暴走して痛覚とかを麻痺させようが、結局その命令を出してるのは脳だからね。だったらその脳に直接ショックを与えて命令事態を全身に流さないようにすれば簡単に止められるって事。ま、もっとも倒していいなら首刎ねる方が早いけどね。』
その光景を見た一麻がそう呟くと、つぐみは気にする事もなく淡とした口調で答える。
『怖ぇよお前!?てか、つぐみお前そんなキャラじゃないし、なにより何でこんな芸当出来るんだよ!?』
『いや、鍛えれば誰だって出来る芸当だよ。綾人くんも黒ちゃんも芹ちゃんもこれぐらい出来るし。『混沌』の秀君や龍星先輩でも少し時間が掛るけど、これぐらいの事なら出来るし。』
気付いた人もいるだろうかもしれないが説明しとく。
今モニターに移っているのは確かに雨宮つぐみだが、つぐみはつぐみでも・・・混沌楽園という名の魔窟に住む雨宮つぐみだ。
まぁあれだ、エターナルロリ天使なオリジナルつぐみと違って、こっちはエターナルヘルの冥王といったところだ。
『おーい、こっちは処理したよー。』
「ご苦労さん。こっちもちゃんとしばらくお待ちくださいのテロップは出してるから放送に問題はないぞ。そろそろ放送再開するから戻ってくれ。」
そして、つぐみ混沌はBの部屋から退室。
Aの部屋の澪次と、被害者になりそうだった一麻はポカーンとした表情でその場に立ち尽くしたままだった。
しかし・・・ああも簡単に身長も年もましてや性別が女な奴にあっけなく倒された龍星に対し、俺達は静かに合掌した。
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さて、三流の暴走劇は気にせずここで正解を発表しましょう。
正解は・・・A!Aがテンダーロインです!
澪次様、見事正解です!そして映す価値なしとなった龍星と一麻・・・ホントなにしに来たんだ、コイツら。
新年早々恥さらしに来ただけだし。リベンジどころか返り討ちになってるし。
ちなみにBの肉との違いはまず弾力。基本同じ焼き方なので明確に違いが出ます。
Aは柔らかさの中にも肉独特の噛みごたえが存在し、食べる者に満足感を与えます。
次に油の質。噛む事であふれ出る肉汁の味わいは、Aの方が圧倒的に軽く風味も強い。
それこそ司会者三人が正解するほどに。つまり間違えた龍星と一麻コピーは・・・うわ、恥ずかし!
というわけで、恥ずかしい二人はさておく形で次の挑戦者は大沢様です。
前回チームメイトの万里様はそっくりさんという結果に終わりましたが、そこで踏みとどまったのがこのチェック。
なんだかんだで味覚はしっかりしているのか?今回は間違えれば三流となりますので、きばってほしいところです。
なお、スタジオのメンバーにはアイマスクとヘッドホンを装着してもらってますので結果はわかっておりません。
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「大沢様、万里様は前回のチェックでここだけは正解していますが、その事についてどう思いますか。」
『往生際の悪いクズだな。そのまま消えてくれたほうが世のためなのによ。』
「相変わらずの上から目線だな。」
「しょうがない。それじゃあここで1つお知らせがあります。」
『あぁん、知らせだ?』
「実はですね、今回悪役で唯一出演された大沢様の為に何かできることはないものかと考えてくれた人達がいるんですよ。」
『・・・おい、このパターンは・・・まさか・・・』
すると、スタッフがリアカー押して大沢の前にソレに乗ったモニターを持ってくる。
そしてそのモニターに画面が映ると、そこには・・・ロングヘアの青髪の少年と黄緑の髪をした30代後半ぐらいの大男、癖っ毛がある金髪の美少女の三人が、今走っている日菜達と同じジャージを着て、響達やぷにっこ達と一緒に走っている映像が映し出される。
「バートゥ様、乱世様、エスト・カリミエル様の三名にも並走ランナーとして走ってもらっています。」
『何でだぁぁぁぁぁぁぁぁ!?てか、こいつら絶対こんな事しないのに何やってるんだよぉぉぉぉぉぉ!』
「実はあの時一緒にお伝えしようかどうか迷ったのですが・・・やはりここ大一番でお知らせした方が良いかと思いまして。あ、ちなみに御三方から伝言で『一流以外ならピーーーーーっ』という事だそうです。』
『明らかに放送禁止用語ぶちかましてるよなそれ!?』
「それでは、そんな悪役仲間とのハートフルエピソードもある大沢様ですが」
『ハートフルボッコの間違いだろ!クソ!絶対に外せねぇじゃねぇかよ!・・・・なぁ、正解ってどっちだ!?』
「馬鹿かお前!それを当てるんだろうが!俺達に聞いてどうすんだ!」
『一流の威厳とか今まで不真面目な態度とかそういうのをすっ飛ばす勢いで、大沢様がチェックに挑みます。』
大沢様、やっぱりプレッシャーかかってるなぁ。
そう思いながら見守っていると、Aの肉が運ばれる。
それはやや焦り気味な大沢様の口へ入れられ、しっかりかみ締められる。すると大沢様が頬を緩める。
咀嚼した上で肉を飲み込んだ大沢様は、満足そうな息を吐く。それから両手をそっと頬へ添えた。
『うわ・・・この肉やべぇな。』
とりあえず美味いのは理解した。
それで大沢様はBの肉を食べ、しっかり味わってからあのポーズを取る。
『うわ、この肉やべぇ。』
「だからそれもういいって!・・・でもこれだと。」
「迷ってる感じか?三流でお出迎えと同時に三人からフルボッコか?」
『これは・・・あぁ、Aの肉だな。』
おぉ、なんだかんだでしっかり当てたし!
それで各部屋は・・・龍星と一麻がまさかという顔をしていた。
それで澪次は喜び、大沢様が来るのを心待ちにしている様子だった。
まぁ、今回の大沢様、今までと違ってきちんとしてるしなぁ。
『もうな、はっきり言う。俺にはテンダーロインのあれこれなんて分からん。だから食って本気で美味いと思ったのを選んだわけだ。』
『コイツにはぜひとも落ちてほしかった。そんな願いはもはやむなしく・・・大沢様はAの部屋へ。』
今回の問題、本当に簡単らしい。まさか一番不安だった大沢様がバッチリとは。
まぁこの反動でLeticia of fantasyではやばくなりそうだけど、それでも大沢様はAの部屋へ。
入った途端澪次は熱烈に大沢様を歓迎した。
『よっしゃー!あのクズ共はいないな!』
『えぇ、いませんよ!大沢さん、あなた今回は真面目でしたね!』
『たりめぇだ!これで間違えたら本編じゃなくてここでくたばっちまうからな!』
『い、いや・・・二人とも駄目だな。』
そんな中、敗北を決して認めない映す価値なし。足を組んで、震える手で上着の襟を正した。
『あの味わいを理解できないなんて、味覚をもっと磨いた方がいいぞ。』
『やかましい!砂糖と野菜の甘さの違いも分からないような奴らにそんな事言われたくねぇんだよ!』
『腹立つなこいつ!こっちが正解だって言ってるだろ!?これで外れてたら俺達、もうなんでもやってやるぞ!』
「やめろー!そんな事言ってももう不正解だから意味がないぞー!」
「せめてそっくりさんの時に言ってくれー!そして何気に龍星を巻き添えにしてるよなー!」
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映す価値なしはほっといて、次の挑戦者にいきましょう。
次は映す価値なしにリーチがかかっているイリア・・・前回もエレノアがこのチェックを外しているわけで、プレッシャーは相当です。
しかもこれで間違えると2ランクダウンで、更にプレッシャーがのしかかる彼女。
果たしてなんとか踏ん張り、サクヤ姫達を迎える事ができるのか。
それとも不名誉なワースト二連覇を達成するのか。
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「イリア、最後のチャレンジだけど・・・どうよ。」
『・・・前回エレノアさんが色々とやらかしたわよね。それでレスター司令・・・というか、軍上層部からの命令で本当にその、エレノアさんにお肉食べさせに連れていったりしたの。というか、私へのお説教込みだったからアレなんだけど。』
この辺り、イリアさんがエレノアさんに対してなにを教えていたのかって話になっるなぁ。
前回も話したけど、上司として仕事以外の事もさり気なく教えるべきだから。
なのでイリアさんは本気で叱られ、エレノアさんはヘコみ・・・その結果今回この二人が参戦したわけだ。
「じゃああれだ、今回は勉強の成果が試されるわけだな。もうここで踏ん張れば、まずチーム自体二歩は前進してるからな。」
『そ、そうよね。だからあの・・・絶対当ててみせる!』
『その心がけをどうして最初から出せなかったのか。そんな疑問を抱えつつ、イリアが最後のチェックへ挑みます。』
その心がけが最初から出ていれば・・・そう思わずにいられない。
なんか胸が痛くなっている間に、イリアさんは二つの肉を味わう。
かなり難しい顔をしたまま唸り、腕組みしてしばし固まる。
「考えてるな。」
「かえって煮詰まりそうな感じがするがな。」
『これは・・・Bよ!』
「考えた結果外したぞ!」
「レスター司令、見てる?あの部下にしてこの隊長も勉強不足みたいだぞ。」
あぁ、これはまた勉強会が開かれるな。今度はレスター司令が上層部から命令されて二人に肉をおごるだろうな。
しかもサクヤ姫が・・・あぁ、駄目だ。俺達はイリアさんをちゃんと見られない。
『とにかくこう・・・Bは噛みごたえがあるのよ。やっぱり肉って、噛みごたえは大事じゃない?Bは肉って感じがするし。でもAはなんか肉がグニュグニュしてて、まるで腐ってるみたい。』
ガブルも黒姫も、もちろん俺も笑えなかった。
だって、上層部の気遣いとか尽く無駄にしてくれてるし。
しかも腐ってるって・・・そんなわけないって。
あとBのDTは嬉しそうに頷いてんじゃないよ、今までの事をもう忘れたか。
『・・・そうそう、そうなんだよ!いや、やっぱこの人分かってるぜ!』
「分かってない・・・オノレらは何一つ分かってないぞ。自分が何者かすらきっと分かってないぞ。」
「イリアさん、エレノアさんが前回もそれで間違えてるってのに。あぁ、レスター司令や騎士団の連中が泣いてるな。」
『でもきっと、その涙に気づく事もないのだろう。だってコイツは映す価値なしだし。というわけで毒吐き騎士隊長はBの部屋へ。』
ほんとレスター司令とかはどうしよう。
頭を抱えている間に、イリアさんはBの部屋へ入る。
『ようこそぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉっ!』
一麻が立ち上がり、嬉しそうな表情で歓迎すると・・・イリアさんはなにも言わずにドアを閉じた。
『・・・すみません、やっぱりAでした。』
「こらこら!さっきおのれそれを止めただろうが!なに言い出してんだ!」
『ちょっと待て!今のなんだ!』
あ、一麻が出てきた。それでイリアさんの手を引っ張って、中へ入れようとする。
『あんた今俺の顔見て決めただろ!俺の顔を見て決めただろうがぁぁぁぁぁぁぁぁ!』
『当たり前じゃない!嫌なのよ!今回はほんと映す価値なしとか嫌なのよ!』
『だったら自信を持てよ!俺もあれが美味しいって思ったから!』
『それは間違いだったんだ!』
『イリアさんの言う通りだ!』
『なんで龍星まで!?』
まぁ当然イリアさんはもちろん、龍星も抵抗するわけで・・・無駄な抵抗なのに。
それで映す価値なし三人が揉みあって、ちょっとしたリアルファイト勃発。
なんて醜い争いなんだ。まさにこれが映す価値なしだな。
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
さて、それでは本日最後の挑戦者は・・・やはりこの方、深紅様。
ここまで連続正解記録を更新し続け、真の一流と呼ぶにふさわしい深紅様。
前回はつぐみ様が牛肉テストでも自信がないながら、見事正解を言い当てました。
今回は深紅様にも期待できるのではないでしょうか。
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
「深紅様、いよいよ大取りですが・・・今の心境はどうですか?」
『そうやなぁ、正直緊張してるで。響達やぷにっこのみんなも来るとなるとそれはもう・・・やけど精一杯やるつもりや。ここまできたら腹をくくるしかないやろ。みんなにはありのままのわっちを見てもらいたい。』
「・・・どうしよう。深紅に感動してしまった。」
「この潔さが一麻達に見られないのはどうしてだろう。」
恐らくこれが一流とそうじゃない者の差なんだろうなぁ。
なんだかんだで大沢様も、普通に割りきって挑んでたし。
『それではチェック開始――今回最後のチェックという事もあり、全員が静かに見守る。』
しかも深紅様はミス格付け。答え次第で今の立場が逆転する可能性だってある。
・・・まぁ俺達は正解を知っているのでそういう希望はないけど、ただ参加者は当然違う。
こうやって注目を浴び、場の流れを掴むのも一流ゆえだろうか。
『まずはAの肉を食べ、深紅様は納得した表情を浮かべる。次にBの肉を一口。これなら安定かなと思っていると、アイマスク装着な深紅様が小首を傾げた。』
「・・・おい、綾人。」
「あぁ。」
「深紅の奴、今迷ったな。」
『まず・・・とても美味しいものを頂き感謝するで。それでこれは・・・どっちやろうなぁ。』
やっぱり迷ってる!?え、マジ!やっぱりプレッシャーかかってたとかか。
『ちょっとちょっとマジかよ!頼む、こっち来い!』
『よし、Aやな。』
正解メンバーが両手を合わせ祈った瞬間、迷ったのが嘘のように即決。
それで全員がズッコけた。
『そこでさらっと言うの!』
『なんだアイツ、気を持たせやがって!ミス格付けだから調子乗ってんじゃねぇだろうな!』
「おー、迷っても最後は当てるか。」
「この安定感はさすがだな。」
『いやな、一瞬Bやと思ったんや。違いはあるけど、どっちがテンダーロインの味かと思って。ほら、わっちその上鹿児島産テンダーロインなんて食べた事もないし。』
あぁ、それでか。つまり深紅様にとっては未体験の味で、別のを食べたらちょっと考えてしまったと。
確かに同じ肉と言っても、育て方や産地によって味わいって変わってくるものだしな。
『せやから純粋な味とかで決めた。Aの方がしっとりとしてて、肉汁のうま味も格別や。なにより柔らかさやな。』
「やっぱりそこなのだな。私もびっくりしたからよく分かるぞ。」
『ただ柔らかいだけの肉じゃないんや。霜が入りすぎらず、肉本来の噛みごたえも楽しめる。そうやな、美味いというよりは食べていて心から楽しかったのはどっちやいう話かもしれんな。食事が単なる栄養補給やなくて、心を躍らせるものだと改めて教えてくれたわい。いや、いい出会いをありがとうな。』
「・・・なんだ、この心洗われるコメント。なんだ、この余裕な風格。」
『最後は一流としての威厳――格の違いを見せつけた深紅様、背筋を伸ばしAの部屋へ。』
深紅はそのまますたすたとドアの前へ移動。
それから深呼吸して、Aの部屋を開けて。
『やったぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!』
一流二人がいるのを見て、喜びの絶叫――両手を天に突き出しながら自らの勝利を確信する。
『深紅、君はホント最高だよ!』
『ありがとう!本当にありがとう!』
そんな深紅に澪次達は駆け寄り、それぞれしっかりと握手。
その上でハイタッチなどかます。
まぁ当然ながらBの三人は・・・その様子を見てなにも言えず、せんべいにかじりついていた。
『なんだよなんだよ、最後は結局美味しいとこ持ってきやがって!クズの仲間のくせにー!お前あれか!何気に主人公狙ってる口か!』
『ははは、すまんな!わっち、これでも本気で全問正解目指しとるからな!』
『もうこれは決まりだよ!』
『ま・・・まだ分からないだろ。これでも味覚には自信あるんだ。』
うわ、消えるDTがまだ無駄な希望にすがってるよ。まだ負け惜しみ吐く力があるよ。
どんだけしぶといんだよコイツ。あれですか、一麻の生命力はゴキブリ並みか。
『一麻、なにを言ってもフラグだよ。ていうか、秀久が間違えた時点でもう・・・』
『あんなアホの存在で俺の価値を決めるな!もうな、これだけは正解してるから!』
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
これにて全てのチェックが終了――みなさん、長い時間お付き合いいただきありがとうございました。
例によって支配人の入った部屋が正解となりますので、少々お待ちください
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「いやー、これが最後かと思うと・・・感慨深いものだな。」
「今回は凄い事になったしな。こう、明暗がくっきり分かれたというか。」
「それじゃあ綾人、いつも通りに。」
黒姫に頷き、ドアノブを両手にかける。
さて、今回は・・・・・・・最後だしストレートに行ってみよう。
少し間を持たせて中のみんなをやきもきさせておき、その上でAのドアを開き。
「おめでとうぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅ!」
「「おめでとうー!」」
三人で拍手しながら突入。それで場は歓声に包まれ、俺達はみんなと一人ずつハイタッチ。
そしてBの部屋には・・・もう誰もいなくなった。
いやー、相変わらず凄い技術で消えるねー。
『え・・・う、嘘だろ。おい、冗談だよな。だってその、絶対Bの方が美味かったのに。』
「龍星、これで龍星の肉音痴が証明されたわけだが・・・・・・あー、でも意味ないか。もう消えてる
から。」
「・・・本当に奇麗サッパリだ。みんな、完全に消えているよ。」
『嘘だ!嘘だ嘘だ嘘だ・・・・こんなの嘘だぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!』
『ど、どうしよう。どんな顔してサクヤ姫に会えば・・・って会えないし!もう消えてるんだったー!』
『俺も芹に会えないじゃないか!頼む、もう一回チャンスを!プリーズ、ワンモアチャァァァァァァァンス!』
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
いやー、簡単にしすぎたかなーと思うけど新年一発目だからこれくらいでちょうどいいねー。
ていうかさ・・・おい、映す価値なし。こっちの気遣いとか全部無駄にしてくれてよ。
お前らは来年までそのまま消えてろー。
格付けチェック2013――結果発表
千夜・澪次:一流芸能人
龍星・白姫:映す価値なし
エレノア・イリア:映す価値なし
深紅・つぐみ:一流芸能人
秀久・一麻:映す価値なし
万里・大沢:一流芸能人
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
「というわけで、チェックは全て終了!みなさん、改めてお疲れ様でした!」
再びスタジオへ戻ってきたので、しっかりと拍手。
しかし参加者三チーム、計六人全員が一流っていうのは、ほんと素晴らしいと思う。
こうさ、見てて気分がいい。番組としては正しい形だよ。
「しかも今回は参加者全員が一流で生き残るという、オリジナルの格付けよりも素晴らしい結果になりました!」
『ぜ、全員!?ちょっと待て、俺達がいるだろ!どうして自然に省いてんだよ!』
『シロ達は初めから居なかった扱いなんですの!?』
『そうよそうよ!さすがにソレは酷くない!?』
『・・・三人共、これがこの番組のルールなんです。うちも前回消えたら、全く触れられませんでした。』
「本当に新年早々おめでたいな。それでは・・・まず深紅様。さすがはミス格付けです。ただ正解するだけではなく、食事が楽しいものだと私達に思い起こさせていただきました。あれこそが真の一流だと、テレビの前のみなさんにも伝わったはずです。つぐみ様共々、一流おめでとうございます!」
「ありがとう!いや、これもみんなのおかげや!」
「今年一年よろしくお願いします!」
深紅様とつぐみ様はすっと立ち上がり、スタッフや俺達も含めてしっかりお辞儀。
それに返してから、改めて拍手。・・・いやー、二人は今後とも番組の顔として活動してほしいね、うん。
「澪次様、千夜様、おめでとうございます!やっぱり人間、省みる気持ちは大事なのですね。その気持ちが今回の結果に繋がったと思います。銀くんや星くんも先輩としてあなた達を誇りに思うでしょう。この調子で今年も頑張ってください!」
「ありがとう。でも・・・なんかこの番組いいわね!ハートフルエピソード最高だし!」
「ちょっと恥ずかしいけど、達成感はかなりあるよね。」
「最後に万里様と大沢様。」
『だから俺達!俺達を無視するなよ!扱い散々すぎじゃないか!』
黒姫はにっこり笑顔を浮かべる。
「一流、おめでとうございます。前回がそっくりさんだったので見ていて不安でしたが・・・さすがは主人公です。」
「へ、そうだろ?今年の俺は一味違うんだよ。」
「最初はどうでもよかったが、最後にとんでもない爆弾持って来られたからやばかった。」
「万里様に大沢様、頑張ってくださいね。それでは・・・中継を繋いでみましょうか。フェリオー!」
『――はい、中継のフェリオ・キサラギです!』
展開した通信モニターには・・・あ、建物の中だね。
しかもこれはテレビ局の中だな。俺も通った場所だからよく分かる。
「そっちはもう着いてる?」
『はい、テレビサンライトについてますよ!もうすぐスタジオへも入れます!』
「なら、ここはあの歌だ。それじゃあみんなで一緒に。」
そこでスタッフが、素早く六人へ歌詞表を渡す。
それによりもう準備は完了。あとは歌ってお出迎えするだけである。
みんなはも理解しているらしく、顔を見合わせやってやろうという体で頷き合う。
「あの歌ね。」
「あの歌しかないね。」
「よーし、頑張るよ!」
「こんな舞台で歌うんかいな。」
「それじゃあみんなで一緒に!」
「今回は賛同してやる。」
「それではいきましょう!――サ○イ!」
――流れ始めた音楽に乗せ、全員で合掌。その間にも通信モニターは走る三人の姿を映し出す。
もちろんその周囲にはフェリオや響達もいて、みんなはここを目指して全力疾走。
流れる汗を拭う事もなく、ただただ大事な人の力になればと・・・それだけを願って進んでいた。
そしてその思いに応えるべく、俺達は歌う。この歌声がみんなへ届くように、そして世界を救えるようにと信じて。
『さて、新年一発目の特別企画――みなさんお楽しみいただけたでしょうか。・・・みなさん、見てください。難易度どうこうは抜きにしても、前回から前進した二チームがいます。一流とはなにかを見せつけたチームがいます。今回の参加者六人全員がここにいる事、それこそが全てではないでしょうか。』
『だから私達をスルーってどういう事よ!?十二人よね!十二人だったわよね!』
『イリア隊長・・・もういいんです!もういいんですから!』
『でもやっぱり簡単すぎたと思うので、スタッフはこれから反省会議です。それではみなさん、よい一年にしていきましょう。今年もカトラスの作品をよろしくお願いします。』
「――万里ぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃ!」
歌っていると、三人がスタジオへと飛び込んできた。
それでみんなは思い思いの相手へと飛び込んでいく。
日菜は当然万里へと飛び込み、サクヤ姫は何故か俺達に、芹香はフラつきながらもつぐみと深紅のところへ。
「日菜ー!」
「みなさん、おまたせしました!」
「サクヤ姫・・・よく頑張りました!」
「・・・・・・・・・・・・・(つぐちゃぁぁぁぁぁん!深紅ちゃぁぁぁぁぁぁぁん!)」
俺達六人は歌を中断し、素早く駆け寄って日菜達を抱きとめる。
さすがに長距離走ったせいか、体力には自信のある日菜もおつかれな様子。
万里の抱擁にしっかりと甘え、自分だけのゴールラインを切った。
「日菜、俺やったぞ!一流に返り咲いたぞ!」
「おめでとう!万里が前回よりも成長したって事です!もっと喜んでいいんですよ!」
「日菜ぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」
「みなさん、私は・・・私は・・・!」
「いいんですよサクヤ姫。サクヤ姫は今日みんなに誇れる偉大な事を成し遂げたんです。」
「私達の応援の為に・・・この上なく感謝します。」
『待てや!サクヤ姫はうちらの為に走ってたんやろ!何自分達のいいように捏造しとんねん!?』
「綾人さーん!」
「フェリオ、中継役ご苦労様。後でお前の食べたい物好きなだ驕ってやるからな。今日はホント
ありがとう。」
「ありがとうございます!僕もみなさんやサクヤ姫の役に立ててよかったです!」
『フェリオ君、フェリオ君には私達が見えているわよね!お願いだからこっちを見てぇぇぇぇぇぇ!』
「・・・・・・・・・・(私・・・頑張ったよ。私・・・頑張れたよね。)」
「うん、芹ちゃんは頑張ったよ!だから私達も頑張れたんだよ!」
「わっちらはあんたみたいな最高の親友をもてて幸せや!」
『芹ぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃ!お前なら俺達が見えるよな!俺達の力になりたくて走ってたんだよな!』
『だからこっちを見てくださいですの!どうか・・・どうかシロ達を見てくださいですのぉぉぉぉぉぉぉ!』
万里と日菜は端から見たら恋人同士のようにお互いを抱きしめ合う。
サクヤ姫も黒姫とガブルの2人に支えられ、俺はフェリオを頭を撫でる。
つぐみと深紅も2人で芹香を抱きしめ、お互い涙を流す。
『おい・・・おい!お願いだからこっちを見てくれよ!見えているよな、当然見えているはずだよな!無視しないでくれよー!』
『声だけでも聞こえてるはずだろ!?だから俺達の居る場所ぐらいわかるだろ!』
『秀久、一麻、もう諦めるんや!これが現実・・・現実なんや!』
『『嘘だそんなの!お願いだから誰か、これが初夢と言ってくれぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!』』
スタジオの照明がやや暗くなるので、さっとペンライトを取り出しへし折る。
そうして発光させたペンライトを静かに振り、更に大きな声で歌う。
万里と日菜はお互いの健闘を讃え合い、そして響達やぷにっこ達もつぐみ達と合流していた。
あと大沢の方にもバートゥ達が来ていたが、何故か大沢が命乞いをしてるように見えるそんな中、俺達だけは歌い続ける。だってそれも・・・ハートフルエピソードだから。
(混沌楽園2013正月スペシャル――オワリ)
というわけで、今回は参加チーム全員が一流で生き残るという快挙でした!
綾「いやー、今回は格付け史上最高の名作になりそうだな。なんたって全員が一流で残ってるんなんて、元ネタの格付けですら起こせていない奇跡だぞ。」
つぐみ(混沌)「やっぱりあたし達のキャスティングは間違ってなかったんだよ。それに、やっぱりレフェルチームはGA○KTだったんだよ。」
芹香(混沌)「次もあるのかなこの企画?」
そこは作者様方の声次第だね。
今度参加させるなら、候補で上げていたGAU様チームにリベンジで参戦してもらいたいよ。
綾「後は同じく候補で上がっていた断空我様やヒョウガ様だな。この二チームも参戦したら大暴れしてくれそうだ。」
秀久(混沌)「こいつら、最後の最後まで消えた奴等の存在を初めから無かった事にしてやがる!?」