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混沌楽園  作者: カトラス
7/9

お正月スペシャル 混沌格付けチェック2013 ~お前らホントは何流だ?~ 第3章

さてさて、普通と三流が混じっての第三チェック編です。


綾「新年なのに、もうすぐ終わるぞ1月。」

前回のあらすじ――一麻の学生結婚が決定しました。おめでとう一麻っ!花束贈ってあげるよー!



第二チェック終了時点


千夜・澪次:一流芸能人


龍星・白姫:普通芸能人


エレノア・イリア:三流芸能人


深紅・つぐみ:一流芸能人


秀久・一麻:三流芸能人


万里・大沢:一流芸能人



☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★



「さぁ、それでは第三チェックに入りたいところですが・・・ここでまたまた中継が繋がっております!」



「ハートフルエピソードだな。分かるぞ。」



「またかよ!もういいだろ!チェックはどうしたんよ!」



「龍星は馬鹿だねぇ、世の中には法律相談所なのに法律相談あんましないとこもあるだろ?10年近く同じ人がいたのに、なぜか突然変わってしまった事務所があるだろ?それと同じだよ。」



「もう趣旨そっちのけかよ!てか、お前はほんとやばいとこに触れてくな!?」



「というわけで中継の奏さーん!」



モニターが展開すると、そこに大人の男女二人と肩にかかるぐらいの青い髪の女のこ一人が映る。ついでにマイクを持った女の子も一人。

四人が今いるのは、どこかの一軒住宅の部屋っぽい場所。



「な・・・!父さんと母さん!てことはウチに中継入ってるのか!?」



「あぁぁぁぁぁぁぁっ!あれ、アリスじゃねぇか!」



「アリス?なんだ、君達の知り合いかい?」



「それじゃあ・・・奏ー。」



『はい、こちら中継の吉井奏です!今私は吉沢家にお邪魔していますっ!こちらは先程も電話で登場したワンコさんのご両親で、吉沢蒼さんと吉沢紗理奈さん!こっちの子は私達の作品で友達のアリス・ファン・クリスチーヌちゃんです!』



『えー、こちらのみなさんは先ほどまでの事、全てご覧になっていました!』



「そこは嘘じゃなかったのかよ!」



『みんあ、お疲れ様だよん♪とりあえず一麻はその、結婚おめでとー!』



「がはっ!」



あ、一麻が吐血した。

でも、アリスは決して容赦せずに苦笑い気味に更なる攻撃を試みる。



『あとね、結婚するならこう・・・ちゃんと食習慣を身に着けた方がいいよん?里穂っちにも迷惑かけちゃうし。』



「やめてくれー!そんな・・・そんな同情する目で俺を見ないでくれー!」



「じゃあ三人にはこのまま様子を見守ってもらうとして・・・奏、ありがとなー。あー、それと吉沢夫妻。」



『『なんだい(でしょう)?』』



「もうほら、ここで正解しても結局秀久は三流って決定したわけじゃないですか?まぁ、一麻に至っては里穂に恥を晒したまま芸能界引退だし。そこはいいとして、これ、ジャニケルファウンデーション的にどうですか?」



『・・・かなり問題ですね。親戚一同も正解して当然みたいなノリでしたし。しかも一麻くんは、公式の電波で里穂ちゃんとその・・・ねぇ?そんな事言っちゃったら。』



当然一麻のご両親と里穂のご両親も怒髪天を突く勢いだろうなぁ。

しかもこっちが煽ったわけじゃないし、一麻の意思だもの。

きっと叱られるんだろうなと思い一麻を見ると、顔面蒼白でガタガタと震え続けていた。



「まぁそうだよなぁ、ようは幼馴染の股開かせるって言ったしなぁ。・・・あ、もしかしてそれで三流まで落ちたのか?だったらそりゃ凄いわー。」



「あー、わっちも納得したわ。アンタはこう、めっちゃツンデレなんやな。それならしょうがないわ。」



「遠慮なく俺を叩きに来た!?なんだ、この一流達は!?』



『はい、以上現場の吉井奏でした!スタジオにお返ししまーす!』



そこで通信は終了し、俺達はパチパチと拍手。いやー、感動的だね。



「一麻・・・どうよ。おのれが公式の電波で里穂の妊娠決めたから、両方のご両親が怒髪天って話になったけど。」


「ごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさい!」



「「はい、それではこころがほっこり温かくなったところで、第三チェックに入りましょう!」



『入れるかぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!』



☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★



それでは第三チェック――もちろん美的センスです。題材も前回と同じく生け花。



一つは草月流家元・勅○河原茜さんが生けた生け花。

もう一つはまたまた美桜様に生けていただきました。



舞台空間にゼロから生け花を作り上げるパフォーマンス――いけばなLIVEを全国各地で上演。

勅使○原さんはこの活動を通し、新しい生け花を追求しています。



対するのは前回同様に美桜様の生け花。

なので今回、本当にかなり甘めな問題構成となっております。



まずAの生け花は、薄緑色を貴重とし様々な形を取り入れた花。丸いものもあれば、小さくさらさらと咲くものもあり。

全体的な形状は上へ盛り上がる形となり、さながら天へ登る龍を思わせます。



対してBの生け花――やや青みがかった長瓶の上に、雄々しく生い茂る緑の葉達。

これは普通の花だけではなく、松なども使っており、形状と色単調にならないよう最大限配慮されています。

葉の中心にはオレンジ色の小花が幾つか実り、形だけではなく彩りも添えます。

その上と右側を覆うように赤・黄・淡い白と様々な花が咲き誇る、明るい印象を与える一品です。



さて、どちらが草月流の生け花でしょう。今回は読者の皆様も、一緒にお考えください。



☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★



「え、また母さんが生け花してるのか!?」



「そうだ。だから今回はほんと簡単にしてる。もうみんな一流でいいんじゃないかってレベルでな。なのに・・・」



俺は司会者席から離れながら、手元で指し棒を一回転。

それで秀久の上にチョコクリームもどきを載せる。



「どっかの三流はチョコクリームヘアーだしさぁ。」



「こらぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」



秀久が抵抗しようとしたので、しっかり頭を掴んで座らせる。

それで指し棒を離し、チョコクリームで頬をグリグリ。



「間違えたのは誰かなぁ。三流はね、こういう事言われてもしょうがないんだぞ?」



「ご、ごめんなさい。あの、本当に・・・はい、おとなしくしてます。」



「まぁ参考までに聞きますけど、この中で生け花経験者は・・・深紅と白姫だけ?」



深紅は前回でわかるとおり、白姫がお嬢様で様々な習い事をしてるのはよく知ってる。

前回の参加者もあれなのはいいとして・・・あ、万里と千夜、イリアさんとエレノアさん、そして秀久が手を挙げた。



「え、千夜様もですかっ!?」



「まぁその、教養の一環に?本格的には教わってないんだけど。あとね、このいけばなLIVEにも行った事があるわ。」



「俺は前回がアレだったから・・・千里さんにちゃんと勉強しとけと言われて。」



「ウチも前回アレやったやろ?やからちょっと調べて、やってみたりしたんや。騎士団でわざわざ生け花の講習会もやってもろたし・・・」



「私はそれに付き添う形で。」



「俺はこの格付けに呼ばれるとわかった時点で、色々とそれ関係の資料を調べた。」



「あー、なるほど。じゃあ一流二人と三流の三人は自信ありか。」



そう聞くと、エレノアさんは当然躊躇いを見せる。

まぁ前回は生け花と生きた花を勘違いしたほどだし、さすがに。



「当然だ!今回こそ!今回こそは絶対外さない!」



「おいおいそこの腐った空気、ほんといい加減にしとけよ!なんでそうやっていちいちフラグ踏みに行くんだよ!俺でもそんな真似しねぇぞ!」



「ほんとだよ!シュウ君はまず冷静になろう!泥沼コースだからねそれ!」



「絶対に当てて、吉沢秀久の力を見せてやる!これ以上は落ちない!」



「まぁもうどうでもいいんですけどね。一麻にいたっては上がっても落ちてもどうせ学生結婚で里穂がアイドル引退だ。し」



「「あ・・・・・・!」」



☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★



空気と童貞がまた絶望したところで、挑戦者にはスタンバイルームへ入っていただきます。

今回お出しするのは、一流のみなさんには金ぱく入りの甘酒。普通の白姫くんにはミネラルウォーター。

三流には・・・水道水をそのままぶちこんだバケツをご用意しました。

どうぞ遠慮なくラッパ飲みしてください。



☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★



「・・・うん、美味い。」



つぐみと万里、千夜はテーブルに座り、美味しそうに甘酒を飲んでいた。

しかも金ぱく入りって、なんて豪華な。



「甘酒って暖かくなるだけじゃなくて、芯に通っるような味に心が震えるよね。いいものだなぁ。」



「確かにな。しかし・・・前回と違って今回俺、冴えまくってね?」



「みたいね。あなたは前回あっちだったんでしょ?まぁ問題が簡単なせいもあると思うけど。」



そう言って一流が、みかん箱に座らされているうちらを見下す。

見下ろすのではなく、見下くだすんや。

それはもちろん、苦笑い気味でミネラルウォーターを飲んでいる白姫もや。

うち達はひしゃくもなにもない、バケツいっぱいの水を見て固まるしかなかったからや。



「なぁ、せめてひしゃくをくれや。これ、ラッパ飲みしろと?」



『すみません、ひしゃくは切らしてます。』



「ふざけんなや!前回だってひしゃくあったやろ!?なんや、この扱い!」



「絶対当ててやる・・・そうすれば、こんな扱いからもおさらば」



きゃー!秀久がまたフラグをー!こいつ今年、ほんと最悪すぎるやろっ!



☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★



それではチェック開始です。なおこのチェックも、先ほどの音感同様に二人一組で受けていただきます。

まずは千夜様と白姫くん。ここまで順当に進んでいる二人が、どういう判断を下すか。



☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★



「千夜様、今のお気持ちはどうですか?折り返し地点にいるわけですが。」



『ちょっと緊張してる。いや、本当に浅い知識しかないから。本格的にやっとるわけじゃないし。』



「大丈夫です。変に知識があると、それに振り回される人もいますから。」


『うん、あの人達ね。それには同感や。』



「それで白姫くんは」



まぁ見る必要もないけど、前回の資料を確認して苦笑してしまう。

あの時の龍星の的中ぷりは・・・すごかった。



「前回は龍星がくんがこのテスト、見事に正解してるよねぇ。」



『は、はい。だからあの、私も頑張りますの。・・・芹香お姉様には、せめて普通のシロ達を見せたいので。』



「でも落ちてくれると、番組的には面白いんだ。」



『嫌ですのっ!絶対当てますからね、絶対!』



『ハッパを入れた事で、良い感じで気合いが入ったらしい。それに安心しつつ、チェックスタート。千夜様と白姫くんは二つの生け花を見比べ――無事にチェック終了。』



それで軽く唸りながら、まず千夜からチェック部屋前へ移動。

自信がないみたいな言い方はしていたけど、その足取りはそれが嘘のように軽かった。



『いや、これはすぐ分かったわ。えっと・・・Bよ。』



「へぇ、結構迷いなくいくんだな。」



『草月流というのは、『しんそえひかえ』という形式なの。』



いきなり専門用語っぽいのが出てきたので、手元の資料をパラパラとめくって確認。



「あー、確かにそうだな。」



「どういう意味なのだ、それは?」



「真は正面から後方に曲線を描いて、先端を正真に戻す枝。副は真に添わせて、左後方に働く枝。控えは真から副との間に空間を作って、左水際から前方へ働く枝。型がないと言われている草月流だけど、その法則が基本のものとされているんだ。」



「よく分からないが、綺麗に見せるための法則が決まってるのだな。という事は千夜様」



「あぁ、このチェックに向けてかなり予習してきてるな。じゃなきゃ連続正解はないだろ。」



ジュースの時から思ってたけど、結構慣れているというか、動じないというか・・・それも予習の関係でだろ。

千夜もチームレフェルの二人に並ぶ安定感があった。

いや、みんなこうだと番組的にも嬉しいんだけど。



『私もちょっとかじった程度だけど、広がりでバランス取ってるのはBかなと。Aは不自然なまでに上へ伸ばそうとしてるから、ちょっとアンバランスなのが。』



「あ、それは私も感じた。見るのが疲れるレベルだ。」



『とか言いながら千夜様はBの部屋へ入り、結構余裕しゃくしゃくでソファーに座る。』



『続いては前回生け花チェックで大正解した龍星くんの従妹の白姫くん、果たして?』



千夜様とは違い、やや迷いながらもチェック部屋前へやってきた白姫くん。

二つのドアを見比べ軽く唸りながら、それでも意を決したように深呼吸。



『えっと・・・正解はAだと思いますの。』



「お、いきなり別れた。」



『Bの花はバランスが少し悪い感じがしますの。確かにこういう活け方もあるとは聞きますけど、私が習ったのとは違いますので。だからそれに近いAが正解かと。』



「あー、もしかして白姫って草月流以外の流派習ってたか。」



「これはかなり惜しいかもしれないな。」



『きっと中には誰かいるだろう。それが幻想になるとは思っていないわんこは笑顔でBの部屋へ。』



恐る恐るドアを開けた白姫は、誰もいない部屋の中を見て唖然とする。



『えっ・・・誰もいませんの。』



『シロちゃん、今回はその・・・運がなかったとしか。』



『なんでですのー!』



☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★



続いてはつぐみ様と万里様。前回のあれが嘘のように万里様も快進撃を続けています。

この調子でいってほしいものですが、前回の反省もこめて強制勉強された万里様。

さて、どうなる事か。



☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★



「万里様ー、ここまで良い感じで正解しているわけですが。」



『だよなぁ。これならもうそっくりさんなんて言われなくて済むだろ。』



「当然ですよ。誰ですか、一流なあなたにそんな事言ったのは?」



『お前らじゃねぇかよ!バカ道でのあれは忘れてねぇからな!』



いや、それは間違えたせいだからしょうがない。

俺に言われても少し困るし。でも安心した。

まさかLeticia of fantasyで主役やってるのにそっくりさんなんてなったら、訴訟問題に発展しかねないもの。



「それでつぐみ様は・・・前回深紅様が正解してますし、もう余裕ですよね。」



『一応、草月流については深紅から軽くは聞いた事あるけど、油断するとボロが出そうだしなぁ。ここはきっちりといこう。』



そんな一流二人のチェックスタート。二人ともやっぱり油断なく、かなり真剣に花を見比べる。

それはここまでかけていたハッパのせいだろうか。否――二人が一流であるが故だよ。

だからこそ油断なく、全力で事に取り組もうとしている。

その結果がどうなるか、俺達もつい手に汗握る。



『それでまずは万里様から移動開始。万里様はやや眉を寄せながら、部屋の前へとやってきた。」



『あー、これはあれだな、Bだ。』



「おぉ、今回の万里は凄いな!」



「迷っている様子なのに、一流の人とかぶってるな。」



『まずあれ、美桜が作ったんだろ?だから思うんだよ。美桜が前回のあれを見てたら、あのカリカリモフモフと同じように作るんじゃないかと。』



カリヤザキだよ!なに、その美味しそうな名前!



『でな、よく見るとAはあれと同じなんだよ。垂れてる花とかもなくて、伸びていく感じ?しかも綾人達はテーマが開運とか、そういう事は言ってなかったしなぁ。だからBじゃないかと。』



「なるほど、これはメタだが・・・前回よりマシだ。」



「だな。」



『あとな、よく見ると松とか桐が使ってるんだよ。』



このままいくかと思ったら、なにやら面白い事を言い出し始めた。

つい前のめりになって、したり顔な万里に注目。



『松ってのは神様が宿る木って言われててよ。正月とかで門松ってあるだろ?あれもそういうところからきてるんだ。でな、桐がまた面白いんだよ。桐は一つの枝に蕾と実が一緒になるんだが、子孫繁栄――めでたい木なんだとよ。テーマみたいなものはないとしても、やっぱ正月ってところは意識するんじゃねぇかなと。』



「・・・意外だ。万里が博学っぽいなんて。」



「一応それなりに勉強してきた方だしな。前回からは絶対想像できないけど。でも言ってる事は間違いないぞ。確かにあっちの生け花には、両方が使われてる。」



『だからこう、正月って事は意識してると思うんだよ。だからBだな。』



『メタかとおもいきや、ちゃんと理由があった万里様。そのままBの部屋へ。』



そのままBの部屋へ入ると、千夜が立ち上がって拍手。

いやぁ、最初のあれからは想像できない歓迎だね。



『ようこそー!』



『おっしゃー!』



万里はガッツポーズを取り、千夜と握手しつつそのまま着席。

やっぱりあれは自信があるらしい。



『わきゅ・・・そっちに行きましたか・・・』



万里が向こうに行った事で、ただでさえ余裕がない白姫からさらに余裕がなくなってきている。



『もうこれでつぐみちゃんがくれば、完璧よ!完璧!というか万里、これなら日菜ちゃんも余裕じゃないの?仮に次の問題で間違えても、普通芸能人でしょ。』



『なんだよなー。もうほんとあれだな、間違える奴らだけがビビる問題だよ。』



「コイツら余裕だなぁ、腹立つなぁ。」



「ホントだな。さっきのうろたえぶりをVとして見せつけてやりたい。」



『ガブルが頬を引きつらせる中、つぐみ様が動く。当然他のメンバーも、その動向には注目するわけで・・』



ここまでくると、つぐみ様は福の神同然。

当然みんなも『来るように』と両手を合わせ祈るわけで。

それを知ってか知らずか、やや晴れ晴れとした表情でつぐみ様がやってきた。



『えー、あのマラソンとかでかなりビビったけど・・・心配なかった。これはBだよ。』



「お、一流は三人ともBか!」



『つぐみお姉ちゃんまで!?』



『やったぜ!』



『もうこれは間違いなしよ、間違いなし!』



あー、Aの部屋は絶望空間に対してBの部屋が沸き立ってるなぁ。

おのれらそこまでか、ちょっと悲しいからやめてくれ。

そこはさ、つぐみ様がいなくても大丈夫って心構えでいてよ。

ほら、そうしたら面白いコメント取れるんだから。

でもつぐみ様の答えもなんだかんだでブレないなぁ。様子を見るに、確信はあるようだし。



『Aの方は上を意識するあまり両横の空間が寂しくなっているね。本来ならそこに小枝とかを伸ばしてフォローするはずだけど、それもなかった。全体のバランスを鑑みた場合だと、正解はBだよ。・・・どうか当たってますように。』


「おい、途中でヘタれたぞ!最後崩れたぞ!」



「まぁまぁ、これがつぐみクオリティーだ。」



『そんなつぐみ様、祈るような気持ちでBの部屋へ。』



答えがブレないなら、キャラもブレないつぐみ様。

やや不安な顔をしながら部屋へ入り。



『やったぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!』



一流三人がいるのを見て、その場でジャンピングガッツポーズ。



『ようこそー!』



『ささ、福の神は中央に座って!もうどっしり腰構えてていいから!』



『ありがとう!本当にありがとう!』



つぐみは礼儀正しく深々とお辞儀し、その上で着席。

それで静かに息を吐いた。

それに引き換え、Aの部屋の白姫はもう何も言えないのか、両手に顔をうずめているし。



『いやー、この安定感は凄いな。』



『シロちゃんがいないのが残念だけど、これはBだよ。あとはシュウくん達が来なければOKだよ。』



『あ、それは大事ね。今ここで落ちたら私達、揃って次の問題も間違えそうね。』



「もう疫病神扱いされてるな。」



「当然だろ。空気と童貞に至ってはフラグしか作らないし。」



☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★



最後はエレノアと空気――落ち目な二人が揃って花を見るとは、妙な哀愁を誘う。

とにかく二人もここで踏ん張って、なんとか耐えてほしいところである。まぁ空気とチームメイトの童貞にはもう関係ないけど。



☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★



「空気とエレノア、ここが踏ん張りどころだけど・・・どうよ、ほんと。今現在も三人ほど走ってるわけだけど。」



『だから今度こそ正解するよ!三流と言っても、半分正解だからまだなんとかなるだろ!』



『秀久、もうあんたはなにもしゃべるな!それは間違いなくフラグやから!』



「エレノアさん、怯えてるなぁ。やっぱ前回がアレだし、自信ない・・・違うか。」



「あぁ、違うな。前回の自分を見せられているようで、グサグサ突き刺さっているのだあれは。」



というわけで疫病神扱いなエレノアと空気が挑戦――二人は花を見て、それぞれ違う反応を返す。

秀久は自信満々に笑い、エレノアは神妙な顔で目を細めていた。

ちなみにそうして見ていたのは、Bの生け花。

Aの花へはさほど食いついてないのが気になるけど、チェック終了。

エレノアさんはそのまま立ち上がり、部屋の前へ移動。



『――今度こそ正解もらうで。あのな、これは・・・Bや!』



「お、エレノア殿もBか!」



さて、そうなると・・・あー、Bの部屋がなんかこう、お通夜みたいになってるよ。

みんなめっちゃヘコんでるよ。

逆にAの部屋の白姫の表情が明るくなったよ。



『・・・終わった。』



『ダメ、エレノアさんはダメよ。エレノアさんも秀久と同じで、フラグ踏むタイプだし。』



『連勝ストップ・・・ごめん、深紅!』



「意気消沈してるな。」



「しょうがない、積み重ねが積み重ねだしな。」



でも福の神と疫病神がいるなら、二分の一とも思うんだけど……でもここまで外し続けてるしなぁ。



『あのな、生け花は全体のバランスが大事だって教わったんや。こう・・・真と副、添やっけ?』



半分呆れてると、エレノアさんからは絶対出ないようなワードが放たれる。

俺達は背筋をぱっと伸ばし、顔を見合わせてしまう。



「おい綾人!」



「あぁ、エレノアさんも草月流の基本、教わってたんだな。」



『盛り上がるところは盛り上がっていいんやけど、その脇が寂しくならへんようにそっと添える?Aの生け花はそういうのなくて。両わきがぽっかり開いてる感じやし・・・だからBやと。』



『実はつぐみ様と同じ見解を示しつつ』



『あ、それともう一つ。』



ナレーターのカトラスの言葉を止め、部屋へ入りかけていたエレノアが両手をパンと叩く。



『あのな、一件するとBは不格好に見えるんやけど、よく見るとこう・・・心って文字に見えるんや。』



「・・・・ほうほう!」



「確かに見えなくもないな。」



『だからこう、そういう事できるんはプロかなーと思って・・・やっぱB?』



あー、なるほど。だからあんなに目を細めてたのか。

ようは輪郭だけを見て、本当にそうか確かめていたと。

さて、この発言を受けて両方の部屋は・・・まさかとざわつき始める。

ここまでのエレノアさんに比べて、的を射る回答だもの。



『果たして心はプロかアマか、やや怯えつつエレノアはBの部屋へ。』



『し、失礼しますぅ。』



恐る恐る入ったエレノアさんを迎えたのは、つぐみとかの時と変わらない拍手。

それに面食らっているエレノアに対し、千夜とつぐみがそれぞれ片手を取ってしっかり握手。



『ようこそー!ささ、どうぞ座って座って!』



『うん、そうだね。まぁその・・・スケットでも食べます?』



『は、はい。え、なんやこれ。なんで歓迎されてるんや?』



『まぁまぁ、そんな事はいいじゃないですか。』



そのまま戸惑うエレノアさんを中央へ座らせ、ビスケットを手渡す。

エレノアさんは目をパチクリさせながら、お礼を言ってビスケットにかじりつく。



「おいおい、全員が大人の対応し出したぞ。」



「エレノアさんの怯え具合を見て、さすがに叩けなくなったんだよ。ほら、言ってる事も今までの中では一番まともだし。」



「薄氷の希望にすがりついたのだな。分かります。」



『あのね、私もエレノアさんと同じ事思ってたんですよ。ほら、心どうこうって。』



『え、マジか!』



千夜からなんか驚きの発言が出てきたんですけどっ!

え、これもし嘘とかじゃないなら・・・もしかするともしかする?



『そんな希望にしがみついた行為が、吉と出るか凶と出るか・・・・・・続いては空気です』



両方の部屋は秀久が来ると分かった瞬間、賑やかな空気が一気に静まり返る。

まぁここまでジャニケルファウンデーションは、石田○一の如く落としまくってるしなぁ。

例え疫病神であったとしても、周囲に注目されているのが秀久だよ。いや、これは凄い。



『これはね、もう間違いない。答えはAだ。』



「・・・なに、この安心感。」



Aに直行な空気を見て、Aの部屋の白姫はファ○トムが今にも出てきそうなくらい絶望し、Bの部屋は再び歓喜に包まれる。

というか待て。つぐみがエレノアさんとハグして、なんか喜び分かち合ってるんですけど。



『よし・・・よし!私達は生き残れるよ!』



『そうだぞ!エレノアさん、やったな!これは初正解間違いなしだぞ!』



ハグされたためか、それとも秀久とさよならできるためか、エレノアさんは呆けた顔で辺りを見回す。



『え、ホントに?うち、ようやくアイツと別れられるん?やだ・・・どうしよ。』



それでつぐみのハグに返し・・・・どこの恋人同士だよ!なんでそんな全力で抱きつける!?



「空気、ほんと疫病神扱いだな。エレノアがうれし泣きするレベルじゃないか。」



『あの天昇る龍のような生け方は、型のない草月流に相応しい斬新さ。まぁ普通の人はバランスでBを選ぶだろう。でも、草月流が型のない生け花だという事を忘れてはいけない。型がないという事はそれまでの基本を崩すという事。』



「違うわボケ!型がないというのは、それまでの基本を取り入れつつ新しい定石を作る事なんだよ!」



「綾人、よく分かるな。」



「ほら、コイツは武術でいろいろ取り入れて我流みたいな戦闘スタイルになっいてるからそのせいだろう。」



『もうな、もしこれでBが草月流だって言うなら・・・・・・ホント残念な事になるそ。芸術というのは』



『また話が長くなったのでカットです。もうなにを言ってもフラグにしか聴こえない。空気、ファ○トムが出そうな白姫のいるAの部屋へ。』



空気にはちょっと説教が必要と思っている間に、自信満々なままAの部屋へ入る。

そこでまぁ、当然驚くわけだよ。だって自分が最後なのに、Aの部屋には白姫しかいないわけだし。



『お父様、お母様、お兄様、シロはもうダメです・・・』



『え・・・嘘!なんで白姫しかいないんだ!?』



『秀久・・・アレはダメね。あれフラグよ。』



『いやいや、絶対Aだって!・・・みんな、分からなかったからってそんな』



『ごめん、シュウくんがなにを言っても・・・もうフラグにしか聞こえないの!本当に台本とかもらってるよね!』



『もらってないよ!なに言ってるんだ!』



でもこれはそう疑ってもしょうがないレベルだ。さて、それじゃあ答え合わせだな。

ここまで読者のみんなにも答えは出してないし・・・どっちが正解か、改めて確認しよう。



☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★



それでは第三チェックはこれにて終了――みなさん、お疲れ様でした。

例によって支配人達の入った部屋が正解です。粛々とお待ちください。



☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★



部屋の前へ移動した俺は、二人を伴った上で両手をドアノブへ伸ばす。まぁ恒例行事だな。

それでどうしようかと思ってにやにやして・・・まずはAの部屋を開ける。

すると空気の犬が歓喜の表情を浮かべ、ぱっと立ち上がる。それを確認してからドアを閉じ。



『おめでとうぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅっ!』



そのままBの部屋へなだれ込んだ。当然全員立ち上がり、その場でハシャいでパンと手を合わせ合う。



『やったぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!』



「おめでとうございます!お前達は・・・・最高だ!そう、これもサービス問題だ!美桜さんには予めお願いして、前回のカリヤザキさんを意識した形で花を生けてもらってたのだ!」



「え、じゃあマジで俺の言う通り!?」



「そうだぞ!万里、お前今年は最高だぜ!バッチリすぎだ!桐の事に関してももうそのまま!前回のあれとかすっ飛ばしてるぞ!」



「よっしゃー!」



あー、万里嬉しそうだなぁ。なんだかんだで去年はこのチェック受けてから、扱い酷かったしなぁ。

でもこれでもうそっくりさんは払拭できたでしょ。俺達はそれを喜び、両手で拍手を送る。



『もう嫌ですのぉぉぉぉぉぉぉぉ!』



『え、あの・・・ちょ、嘘。いや、あれは絶対A』



「うるさいですよ、秀久風の人犬空気」



『いや、俺が秀久だよ!秀久だから!てか、人犬空気って何だよ!?』



「いや、秀久みたいな人犬でしょ。よく似てますねー、特に空気感が・・・」



『どんな判断の仕方だぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!』



☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★



さて、今回はここまで正解を隠していましたが……なんと正解はB!

勅使河○さん曰く、今回のテーマは希望。花の美しさや色のバランスで、その辺りを表現したそうです。

特に重要なのは縁起のいい松や桐を使い、正月らしさも演出。ここは万里様の読み通りでした。



でも・・・なんだよなんだよー、新年祝いのつもりで仕掛けた問題なのに、なんで間違える奴がいるわけー?

あ、でも納得だわ。あれだけフラグ踏めるのもホント納得だわ。だってコイツら、三流とそっくりさんだし。


第三チェック終了時点



千夜・澪次:一流芸能人


龍星・白姫:普通芸能人→三流芸能人


エレノア・イリア:三流芸能人


深紅・つぐみ:一流芸能人


秀久・一麻:三流芸能人→そっくりさん


万里・大沢:一流芸能人



もちろんこのチェックも、司会三人に受けていただきました。その様子をどうぞ。



☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★



『せーの』



チェックルームにて生け花を見せられた俺達は、談笑も交えつつ花をじっくり見て・・・札を挙げる。

すると三人揃ってBの札を挙げていた。それに少し驚きつつ、揃って札達を見てしまう。



「あ、全員Bのようだな。」



「いや、これはサービス問題すぎる。Aは高さを意識し過ぎて、横がさっぱりだ。」



「あとBは桐とか松とか使ってるよな。二つともおめでたい植物だから。あと、Aからは美桜さんぽい感じがなぜかする。黒姫は?」



「私も同じ理由だ。それで正解は?」



『Bです。』



俺達はそこで立ち上がり、歓声をあげながらハイタッチ。

いやー、今回の問題はホント優しすぎるわ。

もうこれで間違える人はいないんじゃないかってレベルだよ。

これなら全員、気分よく帰ってもらえる事間違いなしだ。



☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★



「――事前チェックを受けた時はそう思ってたのに、ご覧の有様だよ!」



元のスタジオへ戻ってきた俺は、開口一句そう言い放ってある箇所を見る。

そこにはゴザの上で座り、軍足を穿いている空気犬と童貞がいた。しかも看板もボロっちいしさぁ。

新年一発目で気分よくってのが趣旨なのに、いきなり汚いもの見せられている俺の気持ちになってほしい。



「えー、みなさんチェックお疲れ様でした。ただ残念ながら綾人が言うように、一名そっくりさんが混ざっていました。」



「いや、ほんとよく似てますね。私も今まで気づきませんでした」



一流な一夜様は、秀久じゃないなにかを見ながら満面の笑み。

軍足を穿き終えた空気犬は、バツが悪そうに顔を背けた。



「だけど、これで吉沢家と千原家は安心じゃないの?ほら、三流まで落ちたのもそっくりさんだからこそだし。」



「あぁ、なるほどな。」



「あの、ほんとその・・・すみません。」



「その、ここにいても・・・」



「いや、いてくれて構わん。ただまぁ、あれだ。もうこんな事やめような。作品デビューしたいなら、ちゃんとオーディション受けなきゃ。ジャニケルファウンデーションとか応募してみたらどうだ?」



「は、はい。・・・なにこれ!なんでここに座ってるだけでこんな卑屈になるんだ!?俺達、そっくりさんじゃないのに!ちゃんと吉沢秀久なのに!」



「黙れ、そっくりさんが。ではつぐみ様。」



黒姫が総評に入ったので、全員が背筋を伸ばす。

でもそっくりさん二人は・・・お察しください。



「正解おめでとうございます。もうつぐみ様の安定感は素晴らしすぎます。なので僭越ながら私から、つぐみ様と深紅様にミス格付けの称号を贈りたいと思います。」



「本当!ありがとう!もう今日はそれだけで来た甲斐があるよ!」



「やっぱりつぐみがパートナーやと安心して見れるわ。」



「万里様、私は万里様を誤解していたのかもしれません。万里様の進化は止まらないのですね。前回の事を思い出してください。あの時あなたは、そこの空気犬もどきと同じだったんです。」



黒姫の発言に合わせて、指し棒で秀久もどきと一麻もどきを指す。

するとみんなノリがいいもので、秀久に似て非なるものと一麻に似て非なるものへ視線を集める。

当然、ほにゃららだったはずのなにか達はその視線に怯えて身を縮こませる。



「なのに今回はここまで全問正解・・・今のあなたなら、間違いなく主人公になれます!」



「ふ・・・当然だろ?Leticia of fantasyではバトルもこなせる主人公だぞ、三流とかなってられるかよ。」



「はん、よく言うぜ。」



「でもドヤ顔はやめてくださいねオノレら、邪ガンで撃ちたくなります。続いて千夜様・・・自信がないなんて嘘でしょう?ここまで全問正解した事から、千夜様の素晴らしさが証明されたも同然なのに。」



「いや、ホント自信なかったのよ。あのジュース時から迷ってたし。」



とか言いながらドヤ顔してる辺り、自信のほどが伺える。

まぁ俺達としても、全員一流で帰ってほしかったし・・・これはこれで悪くないかもしれない。

でも、ここからがそうじゃないんだよな。



「おい、白姫。」



黒姫が冷めた視線で白姫を見ると、白姫は目に涙を溜め始め、龍星はビクッと震えだす。



「色々と習っているのに外しちゃったな!教わった通りのことしか型にはめれないマニュアル人間の典型だな!お嬢様って全員が取り説持ってるのかな!次は龍星が頑張らないと。次は危ないですよ?既にリベンジどころか現状維持も危ういし。」



「反省してますの!だからもうやめてですのぉぉぉぉぉ!」



「順番的に白姫だったからな。俺だったら・・・」



「ねぇエレノア、なんとか踏みとどまれてよかったな。というか初正解おめでとう。あ、それとおまえが言っていた心云々だけど、確認したらその通りだったぞ。」



「マジでっ!?」



「あぁ。いわゆる隠しテーマだったそうだけど、分かった人がいるって知って勅使○原さん、相当喜んでいたぞ。なのでお祝いに。」



黒姫がパチンと指を鳴らすと、スッタフがあるものを持ってやって来る。

突然の登乗にやや戸惑いながらもエレノアさんは、スタッフが差し出したものを受け取る。

それはすくい部分にリボンが巻かれた・・・木造りのひしゃくだった。



「スタッフがひしゃく買ってきたから。水飲む時はそれ使え。」



「いや、今ここで渡すん!?ひしゃくくらいお小遣いで買えるわい!」



「いいから。それを毎日見て、今日という日の栄光を懐かしみ噛みしめろ。もう二度と来ない栄光を。」



「ふざけんなや!次も踏みとどまるから!絶対あんな屈辱だけは避けるから!」



「そうよ!エレノアさんの頑張りは無駄にしないわよ!」



「まぁそれはそれとして・・・おめでとう!お前が踏みとどまった事は、とても意味のある事だ!」



いきなり褒めたのでしっかり拍手すると、エレノアさんは面食らった様子。

それでも笑顔を浮かべ、すっと立ち上がり全員にお辞儀。

まぁあれだよね、あの正解は今までのエレノアさんからすると成長の証だもの。

そこは褒めていかないと。

番組的にもあそこはきっちり盛り上がったと思うので・・・では、そろそろメインに触れていこうか。



「それで・・・そこのきったない秀久的ななにか。」



黒姫が声をかけた瞬間、秀久もどきですらないなにかがぴくりと震えた。

そんな秀久ではないどこかを見ながら、黒姫はため息混じりに小首を傾げる。



「草月流がなんだって?型がないからなんだって?型がないのはお前の人生じゃないのか。ほら、そっくりさんだし?自分という型がないから、お前は今ゴザに座っているんだろ。」



「ぐ・・・・!で、でもあれは絶対Aだ!アレはこう、ちょっと駄目だ!」



「おいおい、コイツ結果にケチつけ始めたぞ!ぴーン子殿みたいになってるぞ!」



「草月流というのは」



「黙れ!お前が今ゴザに座っている事!それが全ての結果だ!・・・そこまで言うならしょうがない。吉井奏ー、ちょっと頼む。」



秀久に見える偽物は、まだ立場というものが分かっていないらしい。

なので中継がパッと繋がり。



『はいっ! こちら吉井かな』



『ヒデちゃんやめてぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!ほんと恥ずかしいから!吉沢家の恥だから!』



「ぐはっ!」



あー、秀久が崩れ落ちた。一発目から紗理奈さんが涙目で叫ぶとは思わなかったんだろうなぁ、奏のセリフを食い気味だし。



「・・・もう十分だ。吉沢紗理奈、ありがとう。お前のおかげで、秀久によく似た空気犬が真っすぐな奴隷犬に戻れたぞ。」



『え、私の出番これだけ!?えっと、吉井奏でしたー!』



通信モニターはそこで消え、黒姫はため息混じりに空気犬に近づいて肩をポンと叩く。



「いやー、人間諦めはよくしてほしいものだな。ちゃんと正解してればこうならなかったのに。というわけで、ここでお電話が繋がっております。万里様。」



「え、俺?いや、なんだろうなぁ。今ならなんでも答えられそうな気がするわ。」



「だろー?だから俺達、問題の難易度低めにしてるんですよ。」



「いや、今回はほんといい企画だよな。・・・お、スタッフありがとな。」



またまた出てきたスタッフから子機を受け取り、万里は上機嫌で耳に当てる。



「もしもしー」



『万里、一流キープおめでとう!』



「うぉ、アキヤ!」



「はい、今回のお電話はアキヤ・エミュレウスです!現在アキヤはアルゼン国の宿屋で、万里様の活躍をずっと拝見していました!」



まぁマラソンも日菜だし、当然って感じかなー。

みんなが納得したところで、背後のモニターにアキヤが映し出された。



『万里、今回は凄いじゃないか!最初は不安だったけど、前回と別人のようだよ!僕、見ててびっくりしたよ!』



「いや、まぁなぁ?俺がちょっと本気出せば、これくらいはさー。」



「宮野万里、嬉しそうだなぁ。」



「まぁ万里の場合、前回が前回だから。それは嬉しくもなるだろ。」



そこからまるでローリングのように落ちていったからなぁ、それを思うと・・・そりゃあちょっと涙ぐんだりもするさ。



『日菜ももうすぐ到着するみたいだし、この調子で頑張って!もう絶対喜ぶだろうから!』



「まぁ見ててくれ、このまま一流になって、Leticia of fantasyに弾みをつけるからよ。」



『うん!それじゃあ失礼しました!』



「おう、連中にもよろしく言っといてくれ。ありがとなー。」



万里が気分良く電話を終える中、俺達は再び拍手――心がほっこりしたところで、万里に一つ確認を。



「アキヤ、ありがとなー。・・・・万里、分かっただろ?ハートフルエピソードだって。絆・2013だって。」



「だよなぁ。いやもう、確かに俺らが間違ってた。ていうか、間違えたらそりゃあなぁ。ようは正解さえしとけばOKなわけだろ?そりゃあハートフルエピソードだって。」



「自分が一流だからって、さらっと意見変えはじめたわね。あー、でもこの安定感は確かに。最悪次の問題間違えても、あれでしょ?それならまだなんとかなるわ。面目立つわね。」



「よかったな、宮野万里。」



「いや、ホントありがとうな!これはみんなのおかげだわ!」



万里様が立ち上がって、全員に一礼。それに対し返しつつ・・・俺は指し棒で11字方向を指す。

すると通信モニターが再び展開し、懸命に走っている三人を映し出した。なお辺りはもう真っ暗。



「それではこれから、あの三人に響くよう歌をうたいたいと思います。ここからはあれだよ?三次元中継で、みんなが歌うから。」



「え・・・あの歌って、まさかアンタ!」



「そう、あの歌だ。ただし主軸はそっくりさんと三流ね?あ、でもその前に一つ報告が。次最後の問題だよな。」



俺は両手をパンと合わせ、全員の注目を引きつけてから指し棒をくるくる回す。

最後の問題と言うだけで、表情がそれぞれ違うのが面白い。

一流はもう安心しきってるし、エアー&DTはガクブル状態。



まぁ次間違えたら、そっくりさん通り越して映す価値なしになっていくからなー。

しかも恥を晒し続けているわけだし、もうなんとか踏みとどまりたいところだしな。



「あのな、クイズ番組って最後・・・逆転チャンスってあるじゃないか?」



「あぁ、あるなぁ。ポイント二倍とか・・・それが熱いんよなぁ。え、まさか!?」



「うん、うちの番組でも導入しました。」



「マジッ!?じゃあ正解したらランクアップとか!?私達、最低でも普通になれるとかっ!」



「あー、うん。そんなノリだな。」



そこでエレノアさんとイリアさん、龍星と白姫、秀久風味と一麻風味は立ち上がり、揃ってガッツポーズ。

底辺からはい上がるチャンスがあると知って非常に喜んでいる。



「よっしゃー!これでサクヤ姫に胸張って会えるわい!」



「普通だったらレスター司令にもそんなに怒られなくてすむわ!」



「よし!よし!普通な俺達を芹に見せられる!」



「頑張りましょうお兄様!」



「三流・・・せめて三流になれば、こんな扱いが・・・やるぜ!もうやるしかない!」



「どうせこのままじゃ転落人生まっしぐらなんだ!だったら1つでもチャンスがあるならそれに賭けるぜ!」



「ただしアップじゃなくて・・・ダウンだけどな。」



なのでその勘違い、ここでしっかり打ち砕いておこう。

そうすると・・・あれれー?どうしてか底辺六人だけじゃなくて、他の六人までぎょっとした顔になったぞー?



「・・・え?いや、それどういう事だよ。正解してもダウン?」



「そんなわけないだろ。最後の問題は、間違えたら2ランクダウンだから。」




「「「「「「はぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!?」」」」」」



「え、ちょっと待ってよ!僕とか深紅が間違えたら・・・三流!?」



「うちら、もし次の間違えたら・・・また消えるって事かい!?」



「正解!」



くるくる回してた指し棒の先を、エレノアさんに向かってびしっと指す。

それに合わせ、ガブルと黒姫が明るく拍手。



「さすが一流の澪次様!エレノアも三流なのによく分かったな!」



「おいおい、やっぱハートフルボッコじゃねぇかよ!マジで俺達を殺しにかかってるじゃねぇか!」



「というかそれ、必要ないシステムだよね!ここまできて2ランクダウンなんて恐ろしすぎるよ!」



「まぁまぁ、みんな落ち着け。このシステム自体オリジナルの格付けじゃ常識なんだし。」



正直予想はできた反応なので、俺は両手で『落ち着け』のサイン。

その上で指し棒をまたくるくると回す。



「当たればいいんだから。ちなみに事前チェック、俺達は全て正解だった。だからあれだ、今回全員一流司会者だから。これがなにを意味するか分かるよな?」



「なにを意味するって・・・ま、まさか!」



さすがに万里様は察しが良い。

俺は二人と一緒に、不敵な笑みを返しつつ頷いた。



「フ○ーザ様ががそのセリフを言った時、二回の変身を残したように。」



「四問目も・・・私達からすると低難易度の問題という事ね!」



「その通り!だから言っただろ!?今回は全員気持ちよく帰ってもらうために難易度は下げてるってっ!」


「だからこそのランクダウンだ。言っておくがこれ外したら・・・本気で恥ずかしいぞ。もうな、前回の最終チェックがいじめかと思うくらいに簡単だったぞ。」



それは全く同感なので、俺も力いっぱい頷く。前回は本気で迷ったんだけどなぁ。

まぁこの反動で次回からは難しくなるとは思うけど・・・逆にそれくらい簡単だった。

だからみんなも・・・とりあえず現在一流な六人は大丈夫と思う。



特にレフェルプロ様とワンナイトミュージアム様はそうだ。

そうじゃなかったら、さすがにこんな設定は出さないって。

みんなもフ○ーザ様のあれは知っているようなので納得した様子だった。



「というわけで、ドキドキの最終チェック・・・の前に、六人に歌っていただきましょう!ちなみにこの歌、走ってる三人にも聴こえるから頑張ってね!」



「は、はいですの。でも歌って?」



「うちら、突然振られても分からんで?知らない歌とかやったら。」



「大丈夫だ、エレノアにも分かるものだ。曲は・・・Z○RDの負け○いでっ!音楽スタート!」



「まんまアレじゃないかよ!」



六人ともなんの歌かはすぐ分かったようなので、スタッフに促されるままマイクを持って前に出る。

そうしてCMに入りつつ、その歌声を走ってる三人へ届けるのだった。

・・・まさか三流とそっくりさんとは思わないだろう。

次回、格付け最終章です。


綾「もうあれだな。一流以外は不正解したら、そっくりさんどころか一気に消えていくな。」


黒姫「残っているのが一流と三流とそっくりさんだからな。」


つぐみ(混沌)「新年早々消えるのは恥ずかしいよね。石○親子みたいに色々なモノに謹慎がかかるね。」

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