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お嬢様が学食に行ってパンを買うだけの話。

作者: 三上 渉

この小説を読む者は一切の理解を捨てよ。

分からない物を、作者自身も分からないまま、ノリとテンションだけで書き上げた短編小説です。

理解は諦めて下さい。

12時30分。


4限終了のチャイム。

昼休みの始まりを告げる鐘の音が鳴る。


その瞬間!

キーンコーンカーンコーンの「キ」と同時……!


「学食へゴーですわッ!!!!!」


雄叫びを上げながらドアを蹴破り!

飢えた獣の様な速さで、学食お嬢様達は廊下へと飛び出していた!






廊下へと飛び出した学食お嬢様達がまず目にしたのは、真っすぐ続く廊下と同じく教室を飛び出してきたライバル達!


現在地は新校舎4F!

目指すべき場所はグラウンドを挟んだ向こう側にある、旧校舎一階の端、食堂!


(今日こそはコッペパン以外の昼食を!!!)


そう意気込み! 目の前のライバル達に負けじと走り出す学食お嬢様達!


わずかコンマ数秒でトップスピードへと到達!

廊下を! 壁を! 天井を!

群がるハイエナの様に廊下中央の階段へと走っていく! ……だがその時!!!


「キィィィィエェェェェッ!!!!!」


甲高い怪鳥音と共に!!! 校舎全体に爆発の様な衝撃が走る!!!


「きゃぁぁぁぁぁっっっっっ!!!」


同時に!

階段付近に居た学食お嬢様達が吹っ飛ばされ廊下に転がった!!!


「廊下を走るなど……お嬢様にあるまじきお下品さ……!!!」


コツコツとヒールの音を鳴らしながら、不気味な影が階段から姿を現す! それは……!!!


「あれは!!! 教育指導の防人さきもりティーチャー!!!」

「何でこんな場所に!!!???」


その場に居た学食お嬢様達に戦慄が走る!


校則違反を絶対に許さない鬼の教育指導、防人!

幾人もの学食お嬢様を屠ってきた彼女の前で校則を破る事は不可能!


「廊下はッ!!! 走らないッ!!!」


その瞳がギラリと輝くと同時に! 廊下中を殺気が覆いつくす!!!


「くっ!!!」


その圧に飲まれ、学食お嬢様達は背筋を伸ばす!


「お嬢様ならば……廊下はゆっくり、お優雅に歩く事……! それが!!! この学校の校則ルールッ!!!」


ゆっくりと廊下を歩く事を強いられる学食お嬢様達……!


反抗は出来ない……!

校則のパワーに守られた防人を倒せるお嬢様など、この場には居ないのだ……!


「そうッ! それでいいのですッ!!! フッフッフッフッフッ!!!」


歩き出すお嬢様達の前で、まるで1巻から100巻まで一分の欠けも順番違いもないキッチリと整頓されている漫画の本棚を目にしたかの様に、愉快そうに笑い声を上げる防人!

それとは対照的に、学食お嬢様達の心を暗い暗い絶望が包み込む……!


「これではもう間に合わない……」

「コッペパン以外のメニューは全て売り切れ……。今日の昼食もコッペパンですわ……。うっ……ううっ……」


誰もが今日の昼食を諦め、嗚咽を上げながら足を止めようとしていた……!

だが……その時!


「……廊下を歩く? いいえ、そんな事は出来ないわ。そんなトロい真似をしていたら、この戦いに勝つのは不可能ですもの」


ダッ! と、地面を蹴り!

一人のお嬢様が廊下を走り出した!!!


「なっ!!! 貴方何をしているんですのォォォォォッ!!!??? サキティーの前で走るなんて自殺行為ですわァァァァァッ!!!」


周囲の学食お嬢様達が悲鳴を上げる中!

彼女は迷いの無い速度で廊下を走り抜けようとする!!! だが!!!


「死ィィィィッ……!!! お下品ンンンンンッ!!!」


防人の首がぐりんと異様な角度に曲がり! 走るお嬢様の姿を捉える!

そして! 防人は走る彼女に襲い掛かった!!!


「お下品な生徒はッ!!! 生かしておかないィィィィィッ!!!」


校則というパワーに守られた防人のスピードは、一般的な学食お嬢様のおよそ3倍!!!


「レディの皮を被った豚女がァァァァァッ!!!!!」


あっという間に彼女に追いつくと! グイッと肩に手を掛ける!!!


「捕まった!!! やはり無謀ですわッ!!!」

「殺されてしまいますッ!!!」


瞬間! 誰もが彼女の最後を予見する!


「……スピードでは勝てない。ええ、捕まるのも想定内でしてよ。ですから……!」


だが……! 次の瞬間!!!


ガシャアアアンッ! と音を立て! 廊下の窓ガラスが割れる!!!

同時に! 彼女は防人に肩を掴まれたまま校舎の外へ飛び出していた!!!


「なっ!!!」


防人が動揺の顔を見せる!

それに対し、お嬢様は肩を掴まれたまま冷静に告げた!


「ここは廊下? 私は走っている? どちらもノーよ。何故なら今私は、「空中」を地面に向かって「落下」しているだけなのだから。校則には違反していない」

「何ですってェェェェェッ!!!」


校則の穴を突いたお嬢様の行動に防人が驚愕の声を上げる!

同時に! 防人の周囲をオーラの様に包んでいた校則のパワーが霧散していく!


「4階から地面まで2秒弱。貴方を再起不能にするには十分すぎる時間でしてよ?」


校則の力を持たない防人はもはや! お嬢様の敵ではない!!!


「リャァァァァァァァァァァッ!!!!!」


瞬間! 放たれるお嬢様の拳打ラッシュ


「ブハァァァァァッ!!!」


逃げ場のない空中!


「ウリァァァァァッッッッッ!!!!!」


腕! 足! 胴!

秒間256発の拳が防人の全身の骨を砕く!!!

そして!!!


「ラス1でしてよッッッッッ!!!!!」


地上到達寸前!

最後の拳が防人の顔面に叩き込まれた!!!


「お優雅ですわァァァァァッッッッッ!!!!!」


全身にお嬢様の拳打を受けた防人は叫び声を上げながら吹っ飛んだ!!!


「フッ!」


そして防人を倒したお嬢様は空中で軽やかに回転!

華麗に地面へと着地!


その姿に、窓から下を覗いでいた学食お嬢様達が驚きの声を上げる!


「あのサキティーを倒すなんて……! あの方は何者ですの……!?」

「それも信じられない事ですけれど! それよりもあの方の姿……!」


4階から飛び降り、凄まじい拳打で防人を倒したお嬢様。

だが彼女はほんの少しも息を乱す事なく、ただただ優雅にその場に佇んでいた。


風に靡く黒髪と、真っ赤な色に染め上げられた改造制服。

それは野に……いや、草すら生えない荒野に咲く一輪のバラを思わせる気高さだった。


「お優雅ですわ……!」


あまりの美しさに、学食お嬢様達から感嘆のため息が漏れる。

その時……!


「ぐ……ぐふっ! 何というお嬢様力……! あ……貴方は……一体……!?」


地面へと叩きつけられ、口から血反吐を吐きながら、防人が呟く!

それに対し、そのお嬢様は優雅に振り返り……!


「一年A組、覇道優雅はどうゆうが。学食戦争に参戦致しますわッ!」


学食戦争へ参戦の名乗りを上げたのだった!!!






防人を倒したユウガお嬢様!


「まずは第一関門突破と言った所ですわね……」


そう呟くと、すぐに食堂の方へ視線を向ける!


(最短距離を行くならグラウンドを突っ切るのが正解。けれど……!)


ユウガお嬢様がほんの少し思案していた間に、他の学食お嬢様達が彼女を追い越しグラウンドへ向かっていく!


「グラウンドを抜ければ食堂は目と鼻の先ですわ!」

「最短距離を突っ切りますわよ!」


食堂へ向かいグラウンドへ踏み込む学食お嬢様達! だが!!!


「えっ……!!!」


学食お嬢様達の足元からカチリと言う音がしたと同時に!

ドォンッ! と爆発が巻き起こる!!!


「きゃあああああっっっっっ!!!」


爆風により無残に吹き飛ぶ学食お嬢様達! それは……!


「こ、これは!!! 地雷原……!!!」


そう! 学食お嬢様達がグラウンドを横切るのを阻止すべく!

グラウンドには教育指導が設置した無数の地雷が埋められていたのだ!


「グラウンドを行くのはダメですわ! 迂回しなくては!!!」


ショートカットを諦め、すぐさまグラウンドを迂回するコースに向かう学食お嬢様達!

しかし! ただ一人!


「グラウンドを迂回コース、約30秒のロス……! それでは勝てない……!」


ユウガお嬢様だけはグラウンド踏破を諦めていなかった!


「お嬢様には引いてはならない時があるッ!!! 今がそうでしてよ!!!」


高らかに声を上げ! グラウンドに向かって真っ直ぐ走るユウガお嬢様!!!


「不可能ですわァァァァァッ!!! 目に見えない地雷を避けてグラウンドを走り抜けるなんてッッッッッ!!!」


その無謀な行動に他の学食お嬢様達が悲鳴を上げる!

だが!!!


「ハッ!!!」


ユウガお嬢様はスカートの中からバラの花束を取り出すと上空に向かって投擲!


次の瞬間!!!

花束は空中で破裂し一輪づつに分かれると! まるで針の様にグラウンドに突き刺さった!!!


「あれはッ!?」

「無数のバラがグラウンドに突き刺さって……!?」


そしてユウガお嬢様はグラウンドに突き刺さったバラの上を、湖面の杭を渡る白鳥の様に優雅に飛び移っていく!!!


「バラの上を飛んでいますわッ!!! あれなら地雷をかわせますッ!!!」

「しかも! 踏みつけられたはずのバラは全く潰れていなくてよッ……! なんてお優しいッ!!!」


まるでそよ風の様にバラの湖を渡るユウガお嬢様!

彼女がバラの花につま先をつける度に、その場から広がる様に茨が拡がり!

地雷によってキリングフィールドと化したグラウンドが、バラの花によって覆いつくされていく!


「お優雅ですわ……!!!」


その姿に見とれ感嘆のため息を漏らす学食お嬢様達!


「第二関門突破ッ……!!!」


そして!

ユウガお嬢様はグラウンドを突破し! 学食へとたどり着くのだった!!!





学食へと辿り着いたユウガお嬢様! しかし……!


「くっ……! ここまでチャイムが鳴ってから60秒……! やはり地理的不利は否めませんわね……!」


1年の教室、新校舎4階は食堂から最も遠い場所!

如何にユウガお嬢様と言えどこのハンデを覆す事は至難……!


「カツサンド……売り切れ! メロンパン……売り切れ……!」


主だったメニューは既に上級生の猛者達によって奪われてしまっていた……! だが……!


「ッ!!!」


ユウガお嬢様の目が学食のおばちゃんの手元にあった物を捉える!

それと同時に! ユウガお嬢様は100円硬貨を手にすると思いきり振りかぶり……!


「ツナマヨサンドいただきますわッッッッッ!!!」


学食のおばちゃんに向かって投擲した!!!


おばちゃんに向かって飛来する100円硬貨!

音速を超え! 殺到する学食お嬢様達の間を縫うようにして飛んでいく! そして……!


「フッ……!」


パシィッ!!! と学食のおばちゃんは飛来した100円硬貨を指で受け止めると!

ニヤリと笑みを浮かべながらツナマヨサンドを手に取る!


「ツナマヨね! 毎度ッッッッッ!!!」


そしてユウガお嬢様に向かってツナマヨサンドを投げた!


「確保ですわ……!」


風を切って飛来するツナマヨサンドを確保すべく、手を伸ばすユウガお嬢様!

だが! 次の瞬間!!!


「バルァァァァァッッッッ!!!」

「ッ!?」


側面からの攻撃!!!

突然の奇襲攻撃を咄嗟に飛び退きながら防御するユウガお嬢様!

しかし! それによってツナマヨサンドは……!


「ハッ! ツナマヨサンド確保だよ!!!」


乱入者によって確保されてしまった!


「……」


学食で対峙する二人の学食お嬢様……!

緊迫した空気が流れる中、ユウガお嬢様が口を開く……!


「……それは私が注文した物でしてよ? 返していただきますわ」


口調は上品その物……!

しかしユウガお嬢様から沸き立つ殺気は、並の学食お嬢様であれば即座に粗相をしてしまう程強烈!


だが、そんな強烈な殺気を正面から受けながら、そのお嬢様は余裕の笑みを浮かべながら答える!


「注文? どうやらアンタは勘違いしているみたいね? おばちゃんの手をよく見るといい」

「何ですって……?」


おばちゃんの手に視線を向けるユウガお嬢様。

次の瞬間、ユウガお嬢様の目が驚きで見開かれる!


「あれは……! 100円硬貨が……2枚!!!」


二重取り!!!

先程ユウガお嬢様が100円硬貨を投擲すると同時に、目の前のお嬢様も100円硬貨を投擲していたのだ!


ニヤニヤと笑みを浮かべる目の前のお嬢様に対し、ユウガお嬢様はフッとため息を付くと上品に告げる。


「そういう事でしたら仕方ありませんわね。どちらがツナマヨサンドを手に入れるか勝負で決めましょう……名乗りなさい」

「2年E組、蛮勇撫子ばんゆうなでしこ。……勝負方法は?」

「じゃんけんでいいでしょう?」

「……受けた」


ニヤリと笑みを浮かべる撫子!

二人の間に漂っていた空気が爆発寸前まで高まっていく!


「準備はいいね? 始めるよ?」


そして、学食のおばちゃんが告げた!


令嬢レディッッッッッ!!!!! 闘争ファイトッッッッッ!!!!!」


ダンッ!

同時にジャンプするユウガお嬢様と撫子お嬢様!


「じゃんッッッッッ!!!」

「けんッッッッッ!!!」


そして二人のお嬢様が空中で激突する瞬間……!!!


「バルァァァァァッッッッッ!!!」

「ウリャァァァァァッッッッッ!!!」


二人のお嬢様は同時に拳打ラッシュを繰り出した!!!


「ッ! 互角!!!」


二人の拳打の威力はスピードもパワーも互角!

どちらも遅れを取らない様に見えた! だが……!


「互角? 互角ですって? フッフッフッ……!」


拳打を放ちながら余裕の表情を見せる撫子お嬢様!


「よく見てみるといい! アタシとアンタの手を!!!」

「ッ!?」


その言葉に、ユウガお嬢様の目が見開かれる!

ユウガお嬢様が選んだのはグー! 撫子お嬢様が選んだのはパーだったのだ!


「ハッハッハッ! 拳打は互角! なら勝負は出した手で決まる!!! アタシの勝ちだ!!! アタシのパーで潰れろッ!!!」


勝ち誇った様に笑い声を上げると、拳打の速度を上げようとする撫子お嬢様! しかし……!!!


「ウリャァァァァァッッッッッ!!!」


なんと! 拳打の速度を上げ、逆にユウガお嬢様が攻勢に出る!


「な、何ィッ!? パーに対してグーで攻めてくるなんて!? 気でも狂ったか!?」


グーはパーに勝てない! それがじゃんけんの法則ルール! だが……!


「私がグーで貴方はパー……。つまり、攻撃するのは私の方でしてよ……!」

「何ッ!?」

「守りに入った貴方と、攻める事を選んだ私では覚悟が違う……!」


更に速度を上げるユウガお嬢様の拳打!!!


「何ィッッッッ!? 私のパーが押し切られるッッッッッ!?」


そして遂に……!


「ガッ!?」


撫子お嬢様のガードを突き破り! ユウガお嬢様の拳が撫子お嬢様の顔面に突き刺さる!


「……出した手で勝利を確信し、途中で全力を出す事を止めた。それが貴方の敗因でしてよ」

「バ……バァァァァァ……」


次の瞬間!!!


「ウリャアアアアアッッッッッ!!!!!」


トドメの拳打が放たれる!!!

全身にグーを打ち込むユウガお嬢様!!!


「バァァァァァッッッッッ!!! お優雅ですわァァァァァッッッッッ!!!!!」


最後の一撃を食らった撫子お嬢様は学食の壁を貫通し外まで吹っ飛んでいく!

そして……。


「フッ。勝負ありだね……」


おばちゃんはニヤリと笑みを浮かべると、100円硬貨を一枚ユウガお嬢様に向かって投げる。

ユウガお嬢様はそれを受け取ると、倒れていた撫子お嬢様の手からツナマヨサンドを奪い取り、代わりに100円硬貨を置いた。


「返金でしてよ。ツナマヨサンド確保ですわ」


ツナマヨサンドを巡る二人のお嬢様の闘争は、ユウガお嬢様の勝利によって終結したのだった!






戦いを終え、教室に戻っていくユウガお嬢様。だが……!


「うわ~、1年に負けてツナマヨ取られるとか♪ マジでざこざこすぎて笑える~♪」

「……1年にしては見事な手並」


その姿を、旧校舎屋上から見つめる影があった……!


「はぁ~? あの程度のざこを褒めちゃうとかすでに耄碌しちゃってる~? ババア無理すんな♪」


ニヤニヤと笑みを浮かべながら辛辣な悪態を並べるメスガキお嬢様。そして……。


「……撫子お嬢様は決して弱い学食お嬢様ではない。それを倒したあのユウガお嬢様という1年。甘くみるべきではないだろう」


そんな悪態にほんの少しの動揺も見せず、冷静に敵を分析する日本刀を提げた侍お嬢様。


「必死すぎてワラ♪ あんな雑魚相手に私達が遅れを取るとか、ありえなさすぎて草生える♪」


侍お嬢様の意見を一蹴に付すと、

学校有数の学食お嬢様しか口に出来ない強者の証、カツサンドにかぶりつく。


「ふぉれともふぉひかして? ごくん……。ビビってるの侍~? よわよわ侍♪ ざーこざーこ♪」


小さな口でカツサンドを頬張りながらメスガキお嬢様が告げる。


「次はアンタの番かもしれないしね~? アンタの大好きなメロンパン、奪われちゃうかも♪」


ニヤリと意地悪くメスガキお嬢様が口元を歪めた、次の瞬間!!!


「ッ!!!」


目にも止まらぬ速さで抜刀した侍お嬢様の刀が、メスガキお嬢様の首に突きつけられた!


「……私のメロンパンに手を出そうとする者は、誰であろうとも斬る」


殺気を込めたまま静かに告げる侍お嬢様に対し、

メスガキお嬢様はその顔から笑みを消し、冷たい視線を向けながら答える。


「はァ~……? アンタ何アタシ様に向かって刀突きつけてるわけェ~? 笑えないんですけどォ~? どっが上か思い知っとくゥ~?」


恐ろしい程の殺気をぶつけ合う二人のお嬢様!

そしてその火蓋が切られようとした……その瞬間!!!


「フッ、じゃれるな。侍、メスガキ」


突如として響いたその声に、二人は振り向く。


「……女王」


静かにそう呟く侍お嬢様とメスガキお嬢様。

それに対し、女王と呼ばれたお嬢様は二人に向かって泰然とした態度で告げた。


「確かに、侍の言う通り1年にしてはなかなかのお嬢様力だ。だが所詮は1年、私達の脅威とはなり得ない。今はまだ……な」

「今は……?」

「これから先、あの1年が成長し、お前達の獲物……そして……」


女王お嬢様はゆっくりと懐のパンを掲げる。


「この、毎日1個限定「王のコッペパン」に手を出してくるのならば、その時は……!」


そして!

女王お嬢様はその王のコッペパンをグシャリと握りつぶした!


「叩き潰すまでよ……。フッフッフッ……」


不気味な笑みを浮かべる女王お嬢様。


それは戦いの幕開けを、

これから始まる学園全体を巻き込んだ大きな戦争を予感させる物だった。






そして……。


「……今はまだ届かない。ですが、必ず手に入れて見せますわ……。王のコッペパン……そして、この学園の女王の座を……!」


ユウガお嬢様は次の戦いに向け、その闘志をバラの如く真っ赤に燃やすのだった。

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― 新着の感想 ―
なんて素晴らしい疾走感。 頭を空っぽにして読むと内容が殴り込んでくるような感じがしました。 この先ユウガお嬢様や先輩のお嬢様方がどのような戦いを繰り広げていくのかが気になって仕方ありません。 お優雅で…
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