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ハンリベ  作者: 今木照
拓かれる世界、変わりゆく世界
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第三十三話 非日常からの帰路

前回のあらすじ!


敵対する暴走族の最終兵器となっていたのは、源の恋人であり消滅の掌光病罹患者、『有我 愛日』であった!!

想定外の出会いに動揺する源と愛日!

しかしそこに乱入したのは第三の勢力、警察官達!抗争は予想外の形で中断されてしまう!

更に何故か現れた優人達が2人を回収し、源と愛日は無事に帰路に着くことに!

果たして、愛日があの場所にいた理由は語られるのか...!?


10分後......



「つまり、今日優人と馬酔木さんはサイクリングしてて、その帰り道で抗争に巻き込まれてる俺を発見したと。んで、警察に通報したから、警察が出てきたタイミングで優人も飛び出してきたのか。」


俺はやっとこさ理解の追い付いて来た脳みそをフル稼働し、優人が話す事の経緯を振り返った。

優人は疲れたように自転車のハンドルにもたれかかりながら、わざとらしくため息を吐く。


「はぁ~、そうそうそのとーり。......ったく、何回目の説明だよ。で、俺と真紀ちゃんの経緯は説明したとして、次はお前の番だろ。なんでお前があんな野蛮な輩とつるんでたんだよ。....遂にあれか?自分の掌光病を使って、この腐った社会を変えてやろうとか、そういう反骨精神に目覚めたのか?」


俺は優人のくどい言い方にうんざりし、ありのままの真実を教えてやろうと思って口を開きかけた。

しかし、それと同時に、今ここでソレをを話すのは非常にまずいという事に気が付く。

何故なら、近くに愛日と馬酔木さんが居るからだ。

女子に事の発端を聞かれるのは阻止しなければならない。絶対に。


俺は何とか誤魔化そうと、半開きになった口を一回閉ざし、改めて身振り手振り説明をした。

恐らく、かなり挙動不審になっていたことは間違いないだろう。


「え~っと、別に俺が自主的にあのグループに入ってたとかじゃなくて、まぁその~.....訳あって俺の掌光病を見られちゃって、そこから強引に参加させられたというか~....。そ、そんなことよりさ!あの暴力団の族長が___」


「待ちなさい。もっと詳細を言って。逃がさないわよ?」


俺が決死の覚悟で他の話題へと(かい)を漕ぎ進めようとしたが、その櫂は愛日によって一瞬でへし折られた。

愛日の方を見ると、俺のことを不審がるような目線でジトーっと見つめている。


しかし、俺のプライドと羞恥心が真実を語るのはよせと叫んでいる。

ここで俺は一か八か、思い切って反転攻勢に出ることにした。


「...じゃあ、なんで愛日も暴走族と一緒に居たんだよ?」


「は、はぁ~?今はアンタの話をしてるのであって、わ、私のことは__」


俺がこんな抵抗をしてくると思っていなかったのか、予想以上に愛日は慌てだした。

そしてさっきまで然程興味のなさそうだった馬酔木さんも、愛日の話に食いついたらしく、興味津々と言った感じで愛日に詰め寄る。


「たしかに~!なんで愛日はあんなところに居たの~?気になるなー。」


「ま、真紀まで...!!私は......いいのよ!無理矢理連れてかれたみたいなもんよ!!」


「消滅を持ってる有我が、無理矢理連れて行かれるなんてあるか~?なんか怪しいなぁ...」


俺の反転攻勢は功を奏し、馬酔木さんの好奇心を皮切りに、優人も一緒になって愛日の話へと乗り出した。


しかし、愛日は俺たち三人に聞かれても一向に口を割ろうとせず、ただ顔を少し赤らめて俯いているだけだった。

俺は、そんな愛日が何だか可哀想に見え始め、自分で愛日の話題を出しておきながら彼女にこの話をすることをやめた。

そして馬酔木さんと優人も同じように感じたのだろう。二人共、俺と同様に、愛日に詰め寄るのをやめた。


愛日は相変わらず頬を赤らめ、黙って俯きながら先頭を歩き、俺達三人は何も話すことなく彼女の後ろに付いて行った。

この四人の空間に、馬酔木さんと優人が押している自転車の音しか聞こえなくなる。


そんな静寂の中、優人が唐突に俺の方に近づき、何かを耳打ちしてきた。男に耳元で囁かれる事ほど気色の悪いものはないと知った。


「なぁ源、お前が暴走族に巻き込まれたのってさ、まさかだけど、一週間前に失敗したピンク雑誌購入作戦が関係してるんじゃないよな?」


何かと思えば、俺が暴走族に巻き込まれた原因が、成人向け雑誌の購入にあると推理しただけらしい。

俺は思わず鼻で笑った。

成人向け雑誌を買おうとしただけで暴走族に加入させられる?そんな話があってたまるかってんだ。


......だから俺はたまらないんだが。


俺は謎の推察力を見せてきた優人の横顔を睨んだ。

コイツは普段、頭脳が絶望的に働かないくせに、こういう時に限って謎の直感を当ててきやがる。


俺は前の女子二人に聞かれないよう、優人の耳元に顔を近づけて耳打ちした。男の耳元で囁く事ほど気色の悪いものはないと知った。


「正解だよ。俺がお前の指示通りにピンク雑誌を買いに行こうとしたら、偶然西尾っていう族長と狙いが被って、そこから因縁つけられて抗争に強制参加させられたんだ...」


俺の言葉を聞いた優人は、笑いをこらえるのに必死。という表情で口を抑えた。

指の隙間から漏れている微かな笑い声に腹が立つ。

俺の怒りに満ちた視線に気づいたのか、優人は弁明するように口を開けた。


「あぁ、ごめんごめん!....けど、プププっ!いや、エロ本で暴走族の抗争に巻き込まれたとか、人類史上お前が初めてだろ...!!プ~クスクス!」


「テメェなぁ、笑い事じゃねぇんだよ...!エロ本のせいで何回人生の終わりを覚悟したことか...!!」


と、普段の俺なら、優人のこの舐め切った態度に憤慨しているハズだが、なにぶん今日は疲れた。

俺はこれ以上怒りの感情に体力を消耗することを良しとせず、ため息を吐いて黙々と歩みを進めた。



こうして俺たちは、四つの足音と自転車のチェーンの音を住宅街に響かせながら、家へと帰るのであった。



続く!!

最後まで読んで頂きありがとうございます!

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