EP.32 ブロウとアリウム
前回のあらすじ!
命の恩人、ブロウとアリウムはなんとオーゴ達と同じ悪王討伐遠征隊であった!!
ブロウ達とオーゴ達のパーティは一緒にご飯を食べることに!
そこで明かされていく、2人の素性とは...?
悪王討伐遠征7日目....
「「「「「いただきまーすっ」」」」」
僕たちは手を合わせ、食材への感謝を口にする。
朝から散々だった今日一日の疲れを、この晩御飯で吹き飛ばそう。
僕は早速キノコのスープを口にする。
「んん!これは........なかなか美味い!」
「オーゴが作ってないからな。」
「シャラップッ。僕の持ってきた調味料のおかげでこの味が出せているんだ!」
スープの具材はキノコと僅かな山菜だけだが、僕が持参した様々な調味料が深いコクを作り出し、かなりのグレードになっている。
と、それぞれが晩御飯を食べ進める中、ブロウが話を切り出した。
「そういえば、三人はどこの国から来た?要は、出身国は?この近くだったら、『スリー国』か?」
たしかに、僕たちはまだ名前くらいしか名乗っていなく、お互いの情報を全く知らない。
「あー、僕たちの出身はルート国だよ。スリー国には今向かってる途中なんだ。」
ブロウは僕の言葉を聞いて、納得したようにうなずいた。
「なるほどなぁ。正直、ルート国って聞いてもパッと思いつかないけど、何となく理解したよ!要は、遠くの国ってことだろう!」
(何となくって....)
僕はブロウの地理力が心配になった。
そしてそのまま、ブロウが続ける。
「そうだ!ついでに今、お互いの事をもっと教え合わないか?要は、自己紹介だ!」
同じ悪王討伐を志しているこの二人のことは、少しでも知っておきたいし、僕はこの提案に賛成だった。が、クレマとアリウムの女子コンビは見るからにめんどくさそうな表情をした。
もちろん、シモが話を聞くことは無く、彼は元気にご飯をモグモグと食べ続けている。
そして、まだ誰も返答をしていなかったのに、ブロウが間髪入れずに自己紹介を始め出した。
「僕の名前は『ブロウ』!歳は19!特技は熱い食べ物をフゥフゥせずに食べること!!それとー.....あ!掌力は『一撃』!!さっき見たと思うが、要は、大きさと破壊力に自信がある光線を手の平から出すことができる!!因みに、一回撃つとスタミナが全部持ってかれて気絶するから、ヨロシク!」
何にヨロシクしたのかは分からないが、彼は自己紹介を終えると僕達にピースサインを突き出してきた。
ブロウはその元気な性格を体現したような見た目をしている。
健康的に日焼けした肌と、ベリーショートな黒髪。
身長はクレマより少し大きく、170後半といったところか。
筋肉質でがっちりとした体格をしており、僕と普通に殴り合いをしたら、恐らく30秒もかからず勝敗が決することだろう。
服装自体は僕と同じような、動きやすい旅用の服に身を包んでいるが、着ている人間が人間なので、僕と違ってスポーティー感が強い。
そして出会った時から気になっていたが、彼は『要は、』というフレーズが口癖らしい。なんとも色濃いキャラクターだな。
ブロウは元気な笑い声を残して自己紹介を終えると、今度はアリウムの方に視線を向けた。
ブロウの視線に気づいたアリウムは、めんどくさそうにため息をはく。
「はぁ、自己紹介ねーハイハイ。....アタシの名前は『アリウム』。17歳。好きなものは可愛いモノ。嫌いなものはブロウ。掌力は......まだ内緒かな。私の掌力って全然可愛くないから、あんまり人に言いたくないんだよね~。ま、その内教えてあげるよ。」
彼女は自身の掌力についての情報を伏せ、必要最低限の自己紹介だけで自分の番を終わらせた。
正直、彼女の掌力もこの機会に知っておきたかったが、アリウム本人が教える気がないのならどうしようもない。
アリウムは細身の女の子で、見るからにきゃぴきゃぴしたカワイイ物が好物そうである。
クレマとタイプは違うが、ファッションは明らかに闇市で買ったような、見慣れないタイプの服装だ。
髪は派手なピンク色のツインテール。そして、とても旅をしているとは思えない短い黒色のスカートに、ピンクと黒の特徴的な上着。クレマが着ている、スタジャンとか言う上着に似ている気がしなくもない。
と、改めて二人の情報を確認し、今度は僕たちの自己紹介の番になった。
まぁまずは、このパーティのリーダである僕からしておくか。
僕は息を吸い込んで胸を膨らませ、ハキハキと元気よく発声する。
「はいっ、じゃあ僕の自己紹介します!えっと、僕の名前はオーゴ。18歳。掌力は『入替』って言って、触った物二つの位置を入れ替えることができるって感じ。入れ替える物が大きかったり、入れ替える物同士の距離が離れてるとその分スタミナは多く消費するけどね。.....えーっと、これからよろしくお願いしまーすっ!」
僕は自己紹介を言い終えると、横目でクレマの方を見て、目線で合図を送る。
次は彼女の番だ。
「...あー、ウチの名前はクレマ。ブロウと同い年の19歳。掌力は『巻戻』って言って、まぁ大雑把に言えばスタミナと死んだ生き物以外の大体のモンは、触ればそれの時間を巻き戻せるな。以上。」
クレマは足早に自己紹介を終わらせ、横で飯にがっついているシモの脇腹をつつく。
最後はシモの番だ。
「ん?自己紹介??シモの名前はシモ!!10歳!掌力は『爆破』!触った物をなんでも爆発できるよ!あ、あと!将来の夢は、強い奴と戦って殺されること!よろしくねー!」
「殺され...?あ、あぁ!よろしくな!!」
「ほんっとシモちゃん可愛すぎるんですけどー!!マジ天使!」
シモの自己紹介も終わり、僕たちは無事にお互いの情報を交換することができた。
....しかし、僕はまだ彼らに聞きたいことがあった。
「あのさ、僕たちはルート国から来たけど、ブロウ達はどこから来たの?」
そう、彼らの出身地を聞いていなかったのだ。
この辺で近い国となると、てっきり彼らこそスリー国の出身かと思っていたが、さっきの口ぶりからして、彼らはスリー国ではなさそうだった。
僕の質問を受けたブロウは、ご飯を飲み込んだ後、ハッキリと答えてくれた。
「僕たちの出身は、『オータム国』だぞ。」
一瞬、僕のスプーンを動かす手が止まる。
「......え?」
(オ、オータム.......?僕の記憶が間違ってなければ、確かオータム国は...)
と、考え始めた僕の横で、クレマが盛大にスープを吹き出した。
「ゴホッ、ゴホッ!いやいや待てよ...!!本気で言ってんのか!?」
クレマは信じきれないように、むせながらブロウ達に聞き返す。
それもそのはずだ。
オータム国は、ここから遥か北に位置する国だからだ。
そして問題は、
それだけじゃあなかった。
それは......
続く。
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