EP.27 アカデミー最強 対 悪獣最恐
前回のあらすじ!
シモという脅威を認知したアドミニストレータは、謎の悪獣、『ゴリラ型悪獣』を呼び寄せる。
その規格外の外見に圧倒されるオーゴだったが、クレマが言うには規格外なのはその巨躯だけでは無いという...。
果たして3人はこの強敵を打ち破ることができるのか!?
悪王討伐遠征7日目.....
「今の最優先事項はアドミニストレータの追跡なんかより、目の前のゴリラ型をどうにかして、ウチら全員生き残るってことだよ!」
「マジっすか...」
戦慄するクレマと僕を尻目に、アドミニストレータが背を向けた。
「命令達成。『管理者型』、撤退。」
そう言い残すと、アドミニストレータは脚部の装甲を広げ、眩い青色の光を点滅させる。
その光をこの目で捉えた次の瞬間には、すでに奴は途轍もない速さで茂みへと消えていた。
僕がそのあまりの速度に呆気に取られていると、横のクレマが僕の背中を叩く。
「おい!今は目の前のゴリラ型に集中しやがれ!」
僕は彼女の言葉に、思い出したように正面を見る。
すると、いよいよゴリラ型も管理者型が居なくなり、本格的に動き出そうとしているところであった。
僕とクレマは、遂に始まるゴリラ型とのラウンド2に備え、全身の筋肉を強張らせる。
しかし、斜め前に居た小さな戦闘狂は僕たちと対照的に、だらしなく肩を下ろしていた。
それは最も無防備かつ危機感の欠如した態勢であり、そして最も、アカデミー最強の彼らしいリアクションであったと言える。
彼は肩から完全に力を抜いた状態で腕をぶらぶらと揺らし、悔しそうにぶぅぶぅ文句を垂れ流す。
「あーあ、あの人型の悪獣と戦りたかったな~。アイツなら、もしかしたらシモの事殺せるかも知れなかったのに~。ほんと、すごーいザンネン!」
どうやら彼は、今この状況がどれだけ危機的状況なのか、把握できていないらしい。
だって把握できていたら、こんな空気の読めない台詞、吐けるわけないだろう?
しかし、それが台詞だけならどれだけ良かっただろうかと、僕は数秒後に思い知ることになる。
彼の空気を読まないという真骨頂は、その予測不可能な行動にあるという事を、決して忘れてはいけないのだ。
シモは文句を垂れた後、今度は餌を見つけた猟犬のような眼つきに早変わりする。
その目線の先には、ばっちりとゴリラ型悪獣が映っていたと思う。
シモは、一度は下げた口角を少し上げ、ぶらぶらと揺らしていた両腕の動きを止めた。
そして今度は何やら楽しそうに、小さく口を開く。
「......まーいいや。今度はこのでっかいのが、シモの相手になってくれるんだもんね!!アハッ!」
シモはそう言い終えるやいなや、突然全速力でゴリラ型の方に走り出した。
彼は軽快に落ち葉を舞わせながら、ズンズンとゴリラ型へ距離を詰めていく。
一応このパーティのリーダーは僕だが、永遠にこのシモという狂犬の手綱を握ることはできそうにない。
クレマは再び無鉄砲に飛び出すシモを見て、激しく憤慨している様子だ。
「あーもう馬鹿ッ!ソイツは悪獣最強の型だ!!」
クレマがシモに叫ぶが、もう遅かった。
シモは手の平からチリチリと火の粉を振りまきながら、ゴリラ型の方に着々と近づいている。
すると突然、自分に向かってくるシモに気づいたのか、ゴリラ型悪獣が鳴き声を上げる。
「悪王サマ万歳!!」
ゴリラ型は近づいて来たシモに向かって、大きく手を振りかぶった。
そしてその巨躯からは想像のできない素早いパンチが、何発もシモに向かって振り注がれる。
素早い上に、パワーも笑えないその殴撃は、一発一発が地面を深く抉っている。
普通の人間なら、その圧倒的な連撃を目で追うコトなんかできず、最初の一発で即終了だろう。
しかし!そこは流石、アカデミー最強の生徒だ。
シモは軽々とその連撃を躱し、着々とゴリラ型に接近している。
見ているだけで分かる、シモの圧倒的な戦闘センスの高さ。
「やっぱアイツ、カワイイのは顔だけだな...。でもこれ、本当にアイツ一人でゴリラ型をやっちゃうんじゃないか?」
僕はシモの華麗な疾駆に一縷の望みを見出し、小さく呟いた。
けれど、クレマはこのシモの躍動を目にしても、大して意見は変わらないようだ。
「はぁ~、そんな上手くいくもんかね...。ま、本当にアイツがやってくれんならいいケドさぁ。」
彼女は相変わらず、諦め半分のような口調を続ける。
そんなことを僕たちが話しているこの瞬間も、シモはゴリラ型の攻撃を全て避け切っていた。
更に彼は、なんだかんだゴリラ型の目と鼻の先にまで辿り着こうとしているではないか。
そして、シモからゴリラ型まであと50センチくらいかと言う所、彼は前方に大きく腕を伸ばした。
シモの掌力である『爆破』は、触れた物全てを爆弾にする力。
つまり、彼が触れた時点で、ソレは爆散する未来が決定づけられるのだ!
僕は想像だにしていなかったシモの快進撃に、思わず前のめりになってしまっていた。
「これ、本当に勝てるかも__!触れ、シモーー!!」
「分かってる...よッ!!」
僕が抑えられずシモに大声を出してしまった、次の瞬間。
ぴとっ
今確かに、シモの小さい白い手が、ゴリラ型の巨大な黒い脚に触れたのが見えた。
「よっしゃぁ!!」
「マジかよ...。」
僕は思わず歓声を上げ、クレマは驚いたようにサングラスをずらした。
一方触られたゴリラ型は、自分が何をされたのか分からない様子だった。
まさか自分の脚が今この瞬間爆弾になったとも知らず、ゴリラ型は足元に居るシモに反撃を繰り出そうとしている。
しかし、肝心の攻撃対象であるシモはニヤッと笑ったまま動かない。
「ぼんッ!!」
ボォォーーンッ!!!
そしてその瞬間は来た。
シモの掛け声とともに、ゴリラ型は鮮やかな真紅の爆炎に包まれたのであった。
続く!!
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