表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ハンリベ  作者: 今木照
拓かれる世界、変わりゆく世界
62/101

EP.24 人型悪獣

前回のあらすじ


紛失したリュックを探していたオーゴが見つけたものは、自分のリュックを漁る一体の悪獣。

しかしそれは、異形の悪獣、『人型悪獣』であった。


悪王討伐遠征7日目...


早朝...



僕は思わず目を見開いていた。

視線の先に居たそれは、とても見慣れた狼型なんかではなかったのだ。


もっと異質な形であり、そして更に、もっと見覚えのある形状.........

僕はこんな型の悪獣なんか見たことがない。



(なんだ、アレは...!アレは、狼型なんかじゃない!あれはまるで...まるで、『人型』じゃないか...!!)



そう、僕の目の前に佇んでいたソレは、僕たちの良く見慣れたシルエット。


...つまり、人の形をしていたのだ。


人型と言っても、体は悪獣のように黒鉄で構成されていて、とても生物だとは思えない。

それこそ、二足歩行になった悪獣と言うべきだろう。


(どういうことだ....?あんな型の悪獣なんて見たことも、聞いたこともない!!そ、それにしてもあの人型は、ここで何をしているんだ?ずっとしゃがみこんで何かをしてるけど...)


僕はその人型悪獣に気づかれないように、ひっそりと観察を続けた。

人型は僕に背を向けたまましゃがみこみ、何か作業をしているようだった。


その光景は異様そのものである。


そして、僕はその時に気が付いた。

その悪獣が何をしているのかを。



(ん.....?アイツが手に持っているのは....リュック!?)



そう、人型がしゃがみこんでいじっていたのはリュックであったのだ。

それは紛れもない、僕の失くしていたリュック。


(一体何のために...?何をしている....?わざわざリュックを奪うのなら、何故直接攻撃してこなかったんだ...?)


僕の頭の中に、ふつふつと様々な疑問が浮かぶ。

だが、今はそんなこと気にしている場合ではなかった。


この異常事態、寝ているあの二人にも伝えなくては....!

僕はそう思い、一歩ずつ静かに後退しようとした。



...その時だった。



僕の目線の先の『人型悪獣』が立ち上がり、こちらを振り返ったのは。



「!!」



悪獣は僕の方を振り返ると、あからさまに動きを止めた。

気づかれたんだ。

僕は思わず声を漏らす。


「...クソッ!」


僕はしゃがんだままその人型悪獣の顔を睨みつける。

その人型悪獣の顔面には、悪獣特有の赤く光る、大きい眼球のような球体がついていた。

今までの悪獣のパターンからして、その球体は目の役割を担っているのだろう。


しかしその人型の顔面は、決定的に人間と違う所があった。



一つ目なのだ。



黒鉄で構成されたその顔面に、大きな赤い球体が一つだけついていた。

その赤い球体に黒目があった訳ではないが、僕は直感して分かった。


コイツは今、僕を見ていると。



「やるしかないって事かよ....!」



僕は腰の剣を抜き、こちらを凝視したまま動かない人型の前にスクリと立ち上がった。

コイツも他の悪獣と同じなら、きっと間髪入れずに攻撃をしてくるハズ。

僕は唾を飲み込み、剣を構えて、いつでも反撃に出れる体勢を取る。


僕と人型悪獣が対峙したその場に、一瞬の静寂が訪れた。


夜風が僕の髪を撫で、遠くで夜の終わりを告げるような鳥のさえずりが聞こえる。

月は徐々に見えなくなり、代わりに地平線に、太陽が姿を現し始めた。

この異常な雰囲気に飲みこまれまいと、早くなっていく心臓の音が聞こえる。

目の前にいる人型は一ミリも動くことなく、僕を見定めるように眺めていた。



そして、直感した。



(この悪獣は、今までと何か違う...!)



それは見た目だけでは無い。

もっと根本的な所から、今まで戦ってきた悪獣達と何かが異なっているのだ。


僕がそんなことを考え、自分の頬に冷や汗が滴っていると気づいたその時、一瞬にも永遠にも感じられた静寂が打ち破られた。


それは目の前の、人型悪獣によって。



「対象識別可能?......可能。所属、ルート国。識別名、オーゴ。」



僕の耳に届いたその音は、間違いなく人の言語であった。

その男とも女とも分からないような声は、確実に人型悪獣から発せられた声であったのだ。



「....コイツ、喋るのか!!しかも、僕の名前を....!」



僕は更に警戒心を高め、無意識の内に一歩後ずさりをしてしまっていた。

この悪獣に見つめられていると、加速度的に自分の心拍数が上がっているのが分かる。



「命令達成確率低下。現在実行可能ナ対処方法ヲ計算中....。計算完了。」



しかし悪獣はそんな僕の状態なんかお構いなしに、淡々と言葉を並べ続ける。

その言葉には、到底感情と言ったものが込められていない、鋼のように冷たい文字の羅列だ。


そして次の瞬間、人型悪獣は今まで以上に冷たい音声でこう喋った。



「計算結果、対象ノ()()。」





続く!!

よければ評価、感想をお願い致します!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ