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ハンリベ  作者: 人面菟葵
旅の始まり、全ての始まり
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EP.3 緑髪女との会合

前回のあらすじ


念願の悪王討伐遠征へ旅立つため、パーティメンバーとなる2人と顔合わせをしたオーゴ。

しかし!その理想と現実のあまりのギャップにモチベーションが急降下してしまうオーゴであった!




国歴248年 ルート国 春




城下町のとある喫茶店。


閑静な喫茶店の中に僕と緑髪の女が相見える異質なテーブルが存在する。



「あ、あのぅ、オレンジジュースでよかったですか...?」



僕は下手に出て緑女の機嫌を伺うが、彼女は関心がないようにこちらを睨んでいる。


いや、睨んではないのかもしれないが、緑女の目つきは鋭すぎる。


そんな目で見られたら華奢な王子は委縮してしまうに決まっている。



「あぁ?何敬語使ってんだ。ウチ19だから歳もそんな変わんねぇだろ。」



「だ、だよね~、ウンウン。改めて、僕はオーゴ。歳は18...です...。」



彼女は、「そんなことどうでもいい。」というような感じで緑髪越しに茶色がかった瞳をゆっくり向けてくる。



ここまでで僕が観測した彼女の容姿をまとめよう。


彼女の顔立ちは、少々目つきが鋭すぎるものの凛々しさがあり、整っている。


身長は僕より10㎝程大きい(チィッ...)。


髪型は特徴的で、全体的には綺麗に切りそろえられたショートカットだが、触覚?というのだろうか、前髪の横の部分だけ長くなっている。そして緑。


服も見たことがない服を着ている。模様が描かれた緑の上着を羽織っているのだ。



「ウチは()()()。ご存じアカデミーから来た。これからヨロシク。」



緑の上着の袖から握手を求め伸びてきたクレマの手は、白く透明感があり、指は長く細かった。


(あ~、すっごい女の子な手してる。こんな乱暴な話し方で目つきも切り裂くようなのに...。こんなギャップ...、アリだ!)



「よ、よろしくぅ~。...えっと~、特徴的な上着だね?」



僕の顔を見ないで握手した彼女は、早々に僕の手からするりと手を退かせ、オレンジジュースに手を伸ばす。



「ん?あぁ。見たことないだろ。上着は『スタジャン』。ズボンは『ジーパン』って言うらしい。詳しいことは言えねぇ、というか知らねぇ。」



確かに聞いたことがない名前だ。


それに、彼女の含みを持たせた言い方も気になるな。


オレンジジュースを一口飲むと、彼女は続ける。



「あのおっさんは何で来なかったんだ?」



「あ、あ~ジンマね。ジンマは城で使用人として働いてるんだけど、忙しいみたいで...。」



ジンマは喫茶店に行く運びになった時に、「申し訳ありませんがまだお仕事を残しているので!メガネクイッ」という感じで城に戻ってしまった。


なので今2人で喫茶店に来ているわけだが...



「まぁ、とりあえずジンマ?とは後々話すとして、お前の掌力でも見せてもらおうか。今後の冒険でも使う機会は多いだろうし、お互いの情報はなるべく知っておかねぇとな。」



ストローから口を離した彼女が品定めをするように話しかけてくる。


こんな不良少女みたいな人間から、いきなり合理性に富んだ話題が飛び出してくるのは予想外であった。



「だよねだよね、えっと、僕の掌力は見せた方が早いんだけど...」



僕は手ごろなものがないか机の上を物色した。


丁度手のひらサイズの銀のスプーンがあったのでそれを手に取りクレマの目を見る。



「僕の掌力の名前は『入替(いれかえ)』。手の平で一回触ったことがある物の場所を...ほい!」



僕の手にある銀のスプーンが一瞬発光した。


そして次の瞬間、それは重量感のある物体に変わる。



「入れ替えることができる!じゃじゃーん。」



僕の手には先程の銀のスプーンではなく、金色に輝く大きな斧が乗っていた。


城内で触ったことのあるもので適当に思いついたのがこれだったからだが、クレマには良い評価をもらえたようだ。


証拠に、彼女の瞳が出会ってからの最大サイズを更新した。



「おお!いいねいいねぇ!すげぇじゃん!」



「いやいや~、それほどでも~......げっ!」



クレマの欽慕の眼差しとは対称的な視線が、こちらに向けられていることに僕は気づいた。


それはバカみたいな筋肉を携えた喫茶店の店長の、怪訝そうな眼差しであった。


僕は急いで金の斧を銀のスプーンに戻して、誤魔化すように咳払いをする。



「...ゴホン!じゃ、じゃあ!今度はクレマの掌力見せてもらおうかな!」



「おっ、いいぜぇ。じゃあウチの掌力も見せた方が早ぇから!」



パリィーーン!!w



そう言うが早いか、クレマは自身の飲んでいたジュースのグラスを床に落とした。


もちろん、そのグラスは盛大に割れ、周囲に甲高い破裂音を響かせる。


中に入っていたオレンジジュースは僕の足元まで流れてきていた。



「は...?」



僕は一瞬、彼女が何をしたのか理解が及ばなかった。



「...って、ちょっ、おいィ!なにやってんのよクレマァ!」



僕は顔面蒼白を超えて、顔面黄色野菜くらいの顔色をしていたと思う。


なぜなら僕の脳裏には、謎の筋肉保有者であるこの店の店長の二の腕がチラついていたからだ。



(...おいおい、死んだわ俺w....いやまじで。)


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