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ハンリベ  作者: 人面菟葵
旅の始まり、全ての始まり
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EP.2 パーティ結成だヨ!全員集合!

前回のあらすじ


この国の国王でもあり父親でもあるお父さんと朝食をとっていたオーゴ。

父さんの一言で悪王討伐遠征のパーティメンバーと顔合わせをする予定だったことを思い出し、集合場所へと駆けていくオーゴであった。


国歴248年 春 ルート国  朝食の後....




(ふぅ、待ち合わせは城の前の噴水となっていたし、ここで待っていれば大丈夫かな....)


僕は噴水の前に設置されたベンチに腰掛け、城下町を眺める。

そんな僕の目の前を、元気な子供たちが楽しそうに駆けて行った。


(城下町はいつ見ても活気があって素晴らしいなぁ。)


ここ、ルート国は人口およそ20000人。


城の前のレンガ造りの通りには店がひしめき合い、様々な野菜、果物、魚、肉などが売り捌かれている。

他にも鍛冶屋や薬屋などがあるが、中でも目を引くのはこの国で城の次に大きい建物、『アカデミー』だろう。



『アカデミー』

それは0歳~19歳の掌力を持つ子供たちが住み、戦闘訓練や学習をする施設。

全寮制で、掌力があると診断された子供たちは生まれてすぐに親元から離れてここで生活する。

他の国にもあるのかは知らないが、この国では掌力を持つ子供達がここで生活をすることを義務付けられている。

僕は王族なので、掌力を持っていてもアカデミーには通わず個別で学習や戦闘訓練をしているが、よく城下町で買い物や走り込みをしているアカデミー生を見かける。



(うーん、やっぱりアカデミーのシステムは謎が多いよな....)


僕は昔からこのアカデミーの制度に疑問を持っていた。


例えば、なぜ0歳から住む必要があるのだろうか?

ルート国の広さならどこに住んでいても歩いて通える距離だから、果たして全寮制にする必要はあるのか?

そもそも親は、例え子供が掌力を持っていたとしても、自分の子が生まれてすぐに親元から離れることに納得しているのか?


などなど、僕はずっと考えていた。


僕は、この国の王である我が父をそこそこ尊敬しているが、このアカデミーの制度はあまり納得できないでいる。

なぜ子を親から取り上げるような施設を創ったのだろう。



(・・・・・・・・・・・・あー!ダメダメだ!新しいパーティメンバーと会おうって時に変なこと考えんな!!...アカデミーは僕が国王になった時に廃止する、今はそう考えていよう!!ウン!)




それにしても...



(もうそろそろかな...)


僕は今か今かと来るはずの二人を待っている。


1人でソワソワしている王子はカッコ悪いだろうか....



そんなことをグルグル考えている僕の肩を、張りのある声が叩いた。



「お待たせいたしました、オーゴぼっちゃん!」



その声は予想に反し、城下町の方からではなく僕の背にある城の方から聞こえてきた。


.....それもそのはず。


その声の主は城で働く使用人の一人であったのだ。



「あれ...?もしかして僕のパーティに入ったりする....?」



「その通りございます!この()()()、オーゴぼっちゃんの御父上、()()()()から任ぜられ、馳せ参じました!」



(うわぁ...マジかよ...)



そりゃあ、「うわぁ...」とも思う。


僕はこの先の冒険を心機一転、まだ見ぬ『仲間』と共に歩む予定だったのだから。


しかしこの目の前の使用人、ジンマは、僕が幼い頃から剣術を教わってきた人間であり、今年で50歳くらい。目新しさもなければ「新鮮」の「し」の字もないのだ。


こんな人間と歩む冒険で心機を一転することができるわけがない。


(ジンマには申し訳ないが、これはチェンジで。)



「ジンマ、ごめん。ちょっと父さんに掛け合って変えてもらうね...。」



「いや、ちょ、え!?何でですか!一緒に行きましょうよぼっちゃん!」



ジンマが焦って弁明する。白髪交じりのピシッとしたオールバックが少し乱れた。



「いやだ!何が悲しくて50のおっさんと冒険すんだ!使用人は使用人でも、せめてあんまり面識のないメイドにチェンジしてくれェ!」



「ぼっちゃん!それは聞き捨てなりませんぞ!ジンマは確かにおっさんですが、城の使用人の中では一番近接戦闘に長けております!なのでパーティの前衛としてカイ国王直々に任命されたわけです!そんじょそこらのメイドには務まりませんぞ!」



城へ足を運ぼうとする僕の行く手を阻みながら、ジンマは自身の有用性を力説している。


しかし!そんな戯言はメイドを求める僕の前に鮮少の説得力も持たないのだ。



「いやだいやだ!それでもメイドがいいんだぁ!」



ワチャワチャ...



すると、背後に一人の気配がした。



「えっとぉ、お前らがウチと組む2人であってる?」



背を向けて中年男性と絡み合っている僕に質問するその声は、間違いなく女性の声であった。


(キタッ....!!)


これは黒髪ロングのお姉さんの可能性が、なくもない!


僕は目の前の中年男性を振り解き、軽やかに振り返る。


彼女のクエスチョンにアンサーを添えて...



「はぁい!僕がカイ国王の息子で王子の!オー...ゴ...」



そりゃ勢いも衰える。


僕が振り返った先にいたのは、黒髪ロングのお姉さんなんかではなく、緑髪ショート両耳ピアスのイカつめお姉さんだったからだ。



「ふーん、あっそ。ヨロシク王子。」



(お、おぉん...)



僕は彼女が差し出した手と、恐る恐る握手を交わした。




本当にこのメンバーで行かなきゃダメなの...?

悪王討伐遠征...



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