第十話 エ〇本中断!!
前回のあらすじ
エロ本を開こうとしたら、愛日が来た!
以上!
2017年 東京都 世田谷区 源のアパートにて
俺の指がそのピンク色の雑誌の表紙にかかる....!
俺達は遂に目撃することとなるのだ...!
めくるめく、大人の世界を!
「コンコン!!」
けたたましいノック音が部屋に響き渡る。
こんないい所で来客か...
一瞬で追い払ってやる。
「はいはい、勧誘ならウチは__」
「来たわよ!!源!!」
聞き覚えのある、快活な声に俺は思わず顔を上げる。
そこに躍然と立っていたのは...
「あ、愛日!?」
そこには見覚えのある、一人の女子中学生が立っていた。
つまり、制服姿の愛日がいたのだ。
「ん!?女の声!?しかも今、源の名前を...!?」
後ろに居た優人が頓狂な声を上げる。
優人はまさか僕の家に女子が来るなんて思っていなかったのだろう。
「あれ?誰かいるの?」
愛日も俺の家に客人がいるとは思ってなかったらしく、俺の後ろを覗き込もうとする。
「!!!」
その時!俺は脊椎反射より早く脳が動いた!
そう!このままでは愛日の眼前に猥褻な本が露わになってしまう!!
それだけはこの命に代えても阻止しなければならない!!
(今すぐ俺の『入替』でどこかに隠さなくては...!)
俺は瞬時にエロ本とトイレットペーパーを入れ替える!
先程まで机の上に鎮座していたエロ本は無事トイレットペーパーになった。
(....っていうか、愛日と優人を会わせると色々と面倒くさそうだな...)
「あ、愛日...!そ、そうなんだよ!今日は偶々友達が遊びに来ててさ!話なら外で聞くよ!!」
俺は多少強引にドアの外に出た。
余程気になるのか、愛日は僕の部屋の中を覗こうとしている。
「おい源!誰だその女!俺にも説明を__」
バッタン!
優人が後ろでごちゃごちゃ五月蠅かったので勢いよくドアを閉める。
愛日は未だ釈然としない表情でドアの奥を気にしていた。
「いやぁ、ごめんごめん。耳障りな奴だよね!」
「源って友達いたんだ。」
「ん?...あぁ、まぁ友達っていうには、余りにも腐ってるけど。」
「ふ~ん........」
愛日は何故か、少し寂しそうな表情をしていた。
愛日は中学受験をして、今では女子校に通っている。
彼女の身長は小学生の頃は俺より高かったものの、そこは俺も男子だ。
成長期パワーでぐんぐん身長を伸ばし、今では....!愛日に並んだ(150cm)。
ま、まぁ、あと数年で完全に追い越す予定なので、そんなことはどうでもいいのだ。
愛日は髪型こそ変わらないものの、顔つきや体は徐々に成長している。
.....正直、めっちゃ可愛いので、女子校に行ってくれて少し安心した。
今日は部活帰りなのだろうか、貴重なセーラー服姿を脳に焼き付けよう。
「それで、どうしてわざわざ俺ん家に?」
「え?」
愛日は自分から来たくせに、何やら惚けている。
心ここに在らずといった感じだ。
「いやいや、俺ん家に何か用事があるから来たんだろ?」
「あ.....、え、ええそうよ!えっとね...」
愛日はそう言うと、目を泳がせて焦ったように自身の持ち物をゴソゴソと探り出した。
暫くすると、自分の通学用のバッグから一冊の本を取り出した。
「こ、この小説!面白いから源も読みなさい!」
「お、おう。...って、栞挟んであるけど、これ読みかけなんじゃないのか?」
本の中頃に、昔見た楓の栞が挟まっていた。
愛日は今栞の存在に気づいたのか、「しまった!」というような表情を一瞬浮かべた。
けれど、結局愛日は、
「ん~、大丈夫よ!使っていいから!」
と言って俺に本を押し付ける。
俺は愛日から押し付けられたその本をよく見た。
(題名は...「さぁ、気ちがいになりなさい」?すごい題名の本だな。)
俺はそのインパクトのある題名に少し驚いた。
この題名からはこの本の内容が推測できないが....
(たしか愛日は小説って言ってたよな?)
愛日は普段から、小説とかを読んでいるんだろうか。
「なんか....すごい題名の本だね。気ちがいになりなさいって。」
愛日は俺の指摘をうけると、またしても、「あちゃー!」という、自分を責めるような苦悶の表情をした。
「あ、あはは....。えぇっと....、題名は確かにすごいけど、内容はフレドリック・ブラウンって人が書いた短編小説集で、その....とにかく面白いから大丈夫!!」
短編小説集か...
たしかに面白そうではあるな。
俺が本を眺めていると、目の前の愛日は決まりが悪そうにソワソワしだし、
「じゃ、じゃあ!そういうことだから!またね!!」
とだけ言い残して踵を返し、二階のこの場所から一階に向かう階段を転がるように駆け下りた。
困惑する俺は走り去る愛日の背中を眺める。
「いや、え.....、何だったの......」
俺はただ一人、アパートの二階の通路に立ち尽くしている。
愛日の陽だまりのような残り香がした。
(〜〜っ!!なによぉ!源の奴、友達いたの~!?しかも家で遊んでるし!!......今日は部活が早く終わったから、サプライズで源の家に行って遊ぼうと思ってたのに~~!!これじゃあ私が馬鹿みたいじゃない!!あ~もう!むしゃくしゃするぅー!)
俺は、駆け足で突き進む愛日が見えなくなるまで部屋に戻らなかった。
(...とりあえず優人に誤魔化しの説明はしなくちゃな。)
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