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ハンリベ  作者: 今木照
旅の始まり、全ての始まり
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EP.5 パーティ任命式

前回のあらすじ


クレマは「巻戻」の掌力を使う、意外にもアカデミー首席の超エリートであった!

しかし!オーゴにはそんなことどうでもよく、彼は喫茶店の筋肉店長から逃れる術をずっと考えているのであった!




喫茶店から2日後...




「これより!以下の者達の!悪王討伐パーティ任命式を開式する!」



清々しい晴天に恵まれた休日。


我が父、カイ国王の珍しく厳粛な声が城内の大広間に響き渡る。


数段上がった場所にある王座から国王が見下ろしているのは、跪いた僕とクレマとジンマの三人。


10数メートル程離れた場所から取り囲むように見ているのは、この城の護衛、使用人達、そして一部の国民等々、計1000人位だろうか。


城の外にも、城門を囲むように数千の人々が集まっている。


なぜこの場所にここまでの人間が集まっているか?


そう、なぜならば今日は国王による正式なパーティ任命式だからだ。


更に数年に一度の王族の出立というのも影響してこれだけの人数を集めている。


まぁ、この僕は注目されるのに慣れているが、ジンマなんかは緊張でぎこちない事この上ない様子だ。



「それでは、前衛として任命する!我が城が誇る剣豪、ジンマ!前へ!」



国王が声を張る。指名されたジンマがビクリと上半身を硬直させ立ち上がる。



「我が城の顔として、恥じぬような活躍を所期している!」



「は!はひぃ!」



盛大に声を上ずらせたジンマが場内の憫笑を誘う。


ふとジンマの方を見ると、この任命式の目玉でもあるマント授与をされながら、国王が小声で何かを語りかけていた。




「ジンマ、真の目的を忘れるな。」



「...はい、カイ国王。」




どんな言葉を二人が交わしたのか僕には聞こえなかった。


しかし、ジンマの顔つきが変わった所を見ると、何か鼓舞されたのだろう。


ゆっくりと元の姿勢に戻るジンマを横目に国王が次を呼ぶ。



「続いて、後衛として任命する!アカデミーの主席であり『巻戻』の掌力者、クレマ!前へ!」



クレマが僕の横からむくりと立ち上がり、王座に歩みを寄せる。



「新進気鋭の貴様の健闘を所期している!」


「うす。」



(いや「うす。」て...)


クレマが驚くほどこの場に不適当な返事を繰り出す。


だが我が父は気にすることなくクレマにマントを授与する。


それでもクレマの不適は止まらない。



「カイ国王、ウチは結局後衛なんすね。」



マント授与中の王に私語を使う人間は今まで何人居たのだろうか。


否、彼女が初であろう。



「確かに君なら前衛も務めることが可能だが、不本意だったかな?」


「いや、後衛の方が楽だし、全然いいっすよ。」



父も父だ。


こんな場で話す内容じゃないだろうと呆れてしまう僕は真面目君なのだろうか。


クレマがのそのそと自分の位置に戻る。


ふぅ...


一旦気を取り直そう。


次はいよいよ僕の番だ。



「最後に、中衛として任命する!我が息子にして『入替』の掌力者、オーゴ!前へ!」



今までの二人の印象で今年のパーティの評価が決まろとしている今、この現状を変えるにはやはり僕がピシッと決めるしかない!


僕は滑らかに立ち上がり、着実に一歩一歩を踏みしめる。



「我が国の代表として相応しい立ち振る舞いを所期している!」



そう言い切ると王はマントを手に取り、僕の肩に掛ける。


こうして城のステンドガラス越しの神秘的な光を浴びながら、ルート国の国章があしらわれた赤いマントを王につけられていると、旅の始まりをまじまじと実感する。



「オーゴよ、この旅には沢山の困難が付き纏うだろう。予期せぬ危険や試練が降りかかることもあるだろう。だが、この国の希望として必ず悪王の元に辿り着き、この世界に光をもたらしてくれ。」



僕の肩に手を置いた父は、王の威厳を感じさせる台詞を送ってくれた。


いつもは頼っていいのか分からない父だが、この瞬間は一国を背負う王の大きさを見せてくれたような気がした。



「はい...!!!」



ここまでの姿を見せて貰って僕が期待に応えないわけにいかない。


婚約者探しの道すがら、必ずしも悪王を討伐することをこの胸に深く誓った。


僕が元の場所に戻ると、王は息を深く吸い、口を開く。



「これにて!以上の3名を正式に悪王討伐パーティに任命する!閉式!!」



王の閉式の言葉を皮切りに、僕達に数百の拍手が浴びせられる。


全ての拍手が、僕達の為だけに送られているこの空間。



「悪くねえ気分だな。」



クレマが緑の髪の毛越しに横目でこちらを見て口角を上げてくる。


これだけの祝福が僕たちに浴びせられているのだ。


僕はクレマの心情に同感せざるを得なかった。



「確かにね、ははっ。」




ふと、天井のステンドガラスに描かれた天使が笑いかけた気がした。



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