月の居る場所
曇天にぽっかりと空いた落とし穴
月が綺麗に嵌ってそれでも
満面の笑みを浮かべる姿が
どうにも僕には憎たらしく見える
不遇を押し付けられていながら
見惚れてしまう笑みを見せるのは
結局は愛されているからか
心の何処かに余裕を持っているから
多少の雲の悪戯なんて気にも留めず
無遠慮に笑って居られるのだろう
僕の視線になんて気付きもせず
街を見下ろして手を振る
僕を見ているようで見ていない
月なんてそんなものだ
僕には到底立つことのできない
遠い遠い空の上