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黒鉄の魔王と降りたて女神の学園生活  作者: よなが月
第2章 目覚める魔王達
26/56

26時間目 剣の鎧霊

『来たか……クロム。学園の方はいいのか?』


『それについては心配しなくてもいい……俺の秘策を残してきているからな』


『そうか……だがこうして我が城へ自ら出向いてくれるとは、相変わらず律儀な者だな』


 俺は現在バルビアを離れ、南にあるロースティアにある灼炎の城を訪れていた。ローヴァとの約束でもあったからな。


『四焔将の姿が見当たらないようだが』


『彼らには先に過激派の拠点を探らせている。見つけ次第即刻知らせると共に叩き潰せと命じている』


『そうか……それで、彼らからは何と?』


『まだ連絡は来ていない……待て、何処へ行く?』


『いつまでも城で待つのは退屈極まりない……故に、奴らの元へ一気に攻め込もうと思う』


 そもそも俺は剣士上がりの魔王だ……戦い続ける事に関しては得意だが、逆にあれこれ策を巡らせるのは好きじゃない。


『居ても立っても居られないか……良かろう。だが気を付けろ……奴らはまだ隠し玉を持っている可能性が高い。万が一の事態には備えておくのだぞ』


『了解した』


 俺はローヴァの城を後にすると転移の魔法陣を使って〈紅〉のクリスタルが眠る地ルヴィリスへと向かった。


 その頃学園では、復興作業が始まっていた。


「あ、ガルムじゃない……アヴィスはどうしたの?それにアユムの姿も見えないし」


「すいません……2人共事が落ち着いた頃には姿が無かったんです。多分2人共過激派っていう人達を追いかけたんだと思うよ」


「そっか……あ、ボロボロになったばかりで悪いんだけど怪我してる初等部の子達を運ぶのを手伝ってほしいんだけど……」


「いいですよ。僕は大してダメージは受けてませんからそれくらいはやりますよ」


 ガルムはそう言うと初等部の校舎へと走っていった。


「フィリアちゃんもごめんね……アタシこれでも初等部に妹がいるからさぁ、ほっとけないんだよね」


「ルーダさんはやっぱり優しいんですね。さっきもガルムさんの事を心配してましたし」


「当たり前でしょ?だってもう4ヶ月近くも一緒にいるんだよ?それにガルムって何だか弟みたいな可愛さがあるんだよね」


「あ、それ前にレイディアに留学してた頃にクロ……アユム様も似たような事を言ってましたよ?」


「アユムもそんな事言うんだね……さ、日が沈む前にやれるだけやっちゃおっか!」


「そうですね……頑張りましょう!」


 その頃、ガルムは初等部の校舎に向かう途中で謎の騎士から奇襲を受け、そのまま戦闘に突入していた。


『我が攻撃を弾くとは……中々にやるな、餓狼の剣士よ』


「貴方は一体……何者なんですか?何故僕を襲ったりなんてしたんだ!」


『我が名はグラディス、強者を求めて大陸を彷徨う剣の霊だ』


「剣の……霊……」


 前に学園の図書室にあった本で薄っすらと見た事があったけど……こうして実際に向かい合うと……オーラだけで圧倒されそうだ……


『貴様、見たところ相当の実力を有しているな?我の退屈しのぎに暫し付き合え』


「いいけど……今の僕は少し消耗が激しくてあまり満足に動ける体じゃないよ?」


『構わん……暇つぶしだけでも良い、さぁ……全力を見せよ!』


 今この学園で動けるのは恐らく僕しかいない……なら、今この瞬間だけでもいい……コイツが退散するまで粘ればいいんだ!


「はぁっ!」


『ぬぅん!』


 ガァンという鈍い音と共に後ろに押されたのはガルムの方だった。


『馬鹿にしているのか?先程のような鋭い返しをしてこい!お前ならば出来るであろう?』


 何なんだこの人は……人なのかも怪しい所だけど、それ以上に一撃の重さが尋常じゃないっ!アユム君の本気の一撃と殆ど変わらないかそれ以上の重さはある……勿論僕だってなるべく鋭く打ち込んだけどここまで容易く押し返されると反動も凄い……!


 ガルムはそのままの勢いで地面スレスレのまま2回程宙返りしながら地面を転がった後、壁にぶつかる寸前で何とか剣を使って体勢を整えた。


「次こそは……せやぁぁぁあっ!」


 またしても響いた鈍い音と彼にかかった反発力は先程の倍になってガルムを襲った。しかし、単にガルムのみが吹き飛んだ訳ではなく、グラディスも2、3歩程は後ろに下がっていた。


『やれば出来るではないか……かつて黒髪の剣士とやり合った時以来だな、この感覚は』


「アユム君を……知っているんですか?」


『如何にも……彼は我に唯一膝をつかせた豪傑だった。お前の太刀筋も何処か彼を彷彿とさせるが、独自の技へと昇華させているようにも思う……だが、我を楽しませるにはまだ足らん!ぬぉおおおお!』


「う……ぐっ……ぁぁあああっ!」


 グラディスは唸り声と共に周囲の地形を大きく歪ませ、ガルムすらまともに近づけないような衝撃波を発生させたが、全力かつ正面から逆らう形でガルムはこれを相殺し、左胸の辺りにヒビの入った白い剣を突き立てた。


『我が気による攻撃を正面から砕くとは……やはり、世界は広いな……』


 ガルムから受けた一撃に満足したのか、グラディスはそのまま光り輝く粒子となって消え、彼を貫いた白い剣が折れるのと同時にガルム本人もその場に倒れ込んだ。

皆さんどうも、よなが月です!

という訳で『黒鉄の魔王と降りたて女神の学園生活』第2章、完結です!


ここからは全13話で南の大陸の最終決戦が描かれます。仲間を残して一人〈紅〉のクリスタルのある都市ルヴィリスへ向かったアユム/クロムはこの先どう動くのか?


そして最後の魔王シャギアがそんな彼の相棒ポジションとしてどんな活躍を見せるのか


そして遂に明かされた過激派こと〈神聖騎士団〉はどうなっていくのか……ここまで積み上げてきたものの集大成を見せられるようにがんばります!

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