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転生家族〜異世界で主夫しています〜  作者: mikami_h
第三幕 社会と規律の物語
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第四十二話 オーガと親子と

「さぁ、準備はいいか?猫に小娘に、おっさん。ちと物足りねぇが、そろそろいくぜ。」


オーガは期待を込めた笑顔を見せながら、ゆっくりと近寄ってくる。

すでにバンズは腰が引けている。

そこにオーガの棍棒が迫る、しかし身軽なバンズはヒラリヒラリと攻撃をかわしていく。


「いつまでかわしていられるかな。」


オーガの攻撃は、なおも激しさを増し、バンズも息が上がってくる。

俺は加勢するためにオーガの背後から近づき、持っていたハンマーで殴りかかる。


バキッ!!


「そんなんじゃ俺に傷はつけらんねぇぜ」


攻撃は読まれていたのか、オーガの蹴りにより手に持つハンマーは根元から折られていた。

俺が呆気に取られていると、そのままオーガの蹴りが目の前まで迫っていた。


「戦闘中に気を抜くと命取りだぜ。」


オーガの巨大な足が迫り、俺は咄嗟に両腕でガードする。

すさまじい衝撃が襲い、俺の体は壁まで吹き飛ばされる。


「ゲンタさん!!」


反対側で応戦していたバンズが身を翻して駆け付ける。


「なかなかいい小手だな、それがなきゃ両腕は粉砕していたんだが。」


オーガは褒めるように言う。

両腕は痛むが動かない程ではなかった、これもスミスに作ってもらったミスリルの小手があったからこそだ。

彼に感謝しないとな。


「これはちょいとヤバいな。何か秘策とかないのかバンズ?」


俺は何とか起き上がると、バンズに声をかける。


「まともに戦ったら勝ち目はないですにゃ。まさかこんな事になるとは。」


バンズも恐怖で声が震えている。


「もう終わりか?んじゃこっちから行くぜ。」


オーガが襲い掛かろうとしたその時、


【金蘭之契】


セナの言霊によってオーガの足が地面に縛り付けられる。


「今のうちに逃げて!」


セナの声により、俺とバンズは急いで体制を立て直す。


「こしゃくな!こんなもので俺を足止めできると思うなよ!」


オーガは力を込めて床を踏み砕いて無理やり足を抜く。


「おいおいマジかよ。なんて力だ。」


俺はその力に驚愕する。

オーガはその後セナに向き直って標的を定めた。


「小娘、お前から倒されたいか!?」


「ヤバい!」


俺はセナの危機を感じ急いで駆けつける。

オーガの棍棒がセナに届く前になんとか、オーガの前に立ちふさがることが出来た。


「おっさん、一緒に砕け散れ!!」


オーガはなりふり構わず棍棒を振り下ろす。


【家内安全】


カキン!!

オーガの棍棒は俺の言霊によって弾かれる。


「なんだ!?さっきまでと手応えが違うな。」


オーガは言霊での防御に戸惑っている。

ここ最近理解したが、俺の言霊は家の中だけではなく家族ですら守ることが可能みたいだ。

あくまで対象は家族であるから、バンズやトニオ、俺自身には効果がない。


「セナ大丈夫か?」


俺はオーガの攻撃を耐えながらセナに聞く。


「えぇ、ありがとうお父さん。」


今はなんとかオーガの攻撃を凌いでいるが、こちらには有効な攻撃手段がない。

このままではジリ貧だ。


「ここは俺が引き受ける、バンズ!セナとトニオを連れて逃げてくれ!」


俺はバンズに指示を出す。


「そんな、お父さんを残して行けるわけないわ。」


セナが声を荒げる。

俺は隙を見てセナをバンズの方角へ押しやる。


「言い争ってる暇はない、早く行け!」


俺はセナに言い放つ。


「娘のために犠牲になるか、美しい親子愛だねぇ。」


そう言いながらオーガは攻撃の手を止めていた。


「なんの真似だ?」


俺はオーガに尋ねる。


「ただ興が削がれただけだ。俺はもう行くぜ。」


そう言ってオーガは背を向けて部屋から出ていこうとする。


「いったいどうして?」


セナも不思議に思って尋ねる。


「このままやったら、俺はアイツと同じになっちまうからな。」


オーガはそう呟いて去っていった。

とりあえずは助かったようだ。


「なんか釈然としないな、」


緊張の糸が解けて、俺はその場にへたり込むのだった。

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