第二話 神と願い事と
さかのぼる事、半年前・・・
「・・・・・」
「・・こえるか?」
「わしの声聞こえてる?」
目が覚めると、一面真っ白な空間にいた。
見えるのは目の前の真っ赤な鳥居だけ。
「おーい、無視するなよー」
さっきから煩い声だけが辺りに響いている。
「あぁ悪い悪い、この状況を整理していたんだ。
いったいここはどこで、あんたは誰なんだ?」
「おぉ気づいておったか。」
声の主は途端に上機嫌になった。
「ここはいわゆるあの世というやつじゃ、ありていに言えばゲンタよ
お主は死んでしもうたという訳じゃ」
声の主は淡々と残酷な現実を告げてくる。
「なっ、俺は死んだのか・・・そんなバカな!」
「じゃぁコウタはセナはどうなる!俺がいなくなると誰があの子たちの世話をするんだ!」
俺の混乱した様子をよそに声の主は言葉を続ける、
「それは心配いらんぞ」
混乱した思考を止め、その声に耳を傾ける
「ほれ、子供たちもこっちにきておるからな」
「それは良かった。ってなるか!!」
告げられた衝撃発言に声を荒げる。
「ちくしょう、原因はなんだタバコの不始末か、あのボロアパートついに崩れやがったか?」
そこでふと冷静になって考える
「それで、お前は誰なんだ?」
「ふふ、わしこそ神じゃよ」
「ふーん、で神様が何の用なんだ?天国と地獄に振り分けようってか?」
「なんか、あっさりしたリアクションじゃのう。そうでない、お主たちを転生させようというのじゃ」
「なんだ?また子供からやり直すのか?」
「そうではない、そのまま違う世界キキョウでやり直すのじゃ」
「ふーん、家族で引っ越しみたいなものか、ずいぶんサービスいいんだな」
「これも福利厚生の一環じゃ」
「神様も大変なんだな」
「さて、後もつかえておるあの鳥居をくぐって行くがよい」
「ありがとな神様、後から来る子供たちもよろしくな」
「そうじゃ、あの鳥居は強い想いを力とするんじゃ。通りがてら願ってみるとよいぞ。」
話をそこそこに右手をあげて神様に挨拶する。
近くで見ると大きな鳥居である、近所の神社の10倍はあるんじゃないか。
これはご利益がありそうだ。
(なんだか正月を思い出すな、家族が安全・安心に暮らせますように)
手を合わせ今年二度目のお参りを入念に行う。
-------【家内安全】認識しました。--------
突然頭に響き言葉、さっきの神様の声とは違う。
【家内安全】確かに願った内容はその通りだな。
少し笑みを零しながら、転生への一歩を踏み出した。