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第一話 主夫と子供と
「このヒモ親父!!」
勢いよくドアを開け外へと飛び出していく息子。
ヒモ親父とは、なんとも的を得た発言だ。
そう、私こと白井ゲンタは息子のコウタに養って貰っているのだ。
「もう、お兄ちゃんはまた勝手に」
娘のセナである。気立てもよく、優しく、そして家族想い。
「また、私が連れ戻しておくから安心してねお父さん。」
「すまないセナ、よろしく頼むよ」
なんとも情けない父親である。
「いつものことよ。じゃあ私も出かけてくるね。」
「あぁ、気を付けて行ってらっしゃい。」
セナを送り出し、家には一人きりとなる。
「さて、掃除から始めるか。」
私はいま主夫である。