暗闇の中で叫ぶ
朝早かった。
目覚めたのは午前2時半。
寝たのは11時だったから3時間半程だろうか…。
まだ眠い目をこすりながら、布団から出た僕はキッチンの部屋に移動し、冷蔵庫からドリンクを出して飲んだ。
「何だよ〜。まだ夜中じゃん。何でこんな時間に目覚めたんだ?普段まだ寝てる時間じゃんかよ。」
独り言が大きく聞こえるのは部屋が静かすぎるから。
飲み終えた僕はまだ布団の中に潜り込んだ。
寝られるか?…、分からないけど寝れそうな気がする。
布団を被り、目をつむった。
静まり返った室内。
何も聞こえない。
胸に手を当てると心臓の鼓動が早く感じる。
ふと目を開けたが、何故か視界が真っ暗だった。確か豆電球をつけていたはず。真っ暗は怖くてダメだから。
手元には携帯が置いてあるから触ってそれを確かめる。確か…この辺だったと…そう思う場所に手を伸ばす。すると手に固い感触が。それは携帯で間違いなかった。
僕は携帯を手探りで触り、画面を表示させるとライトモードを表示した。すると懐中電灯のような眩しいあかりとともに部屋が明るく照らされ見たく無いものを一瞬だが見た気がした。
それは何だったんだろう…?
分からない。
でも良からぬものだったということだけは覚えていた。それが何なのかいまだにわからない。
僕はあかりをつける為スイッチを探した。
簡単に見つかったのだが、スイッチを触っても何の反応もない。おかしい…。普通ならつくはず。
何度か試して何度目かだろう…ようやくついたあかり。その一瞬だが、バチっと何かがショートするような感触があった。でもそのあかりも一瞬だったから…。
再度スイッチを押した。
でも今度は真っ暗。
携帯の明かりを頼りに部屋を出た。
両親が寝ている部屋に向かう為だ。
両親の部屋はすぐそばなので部屋に入ると明かりをつける為にスイッチを押した。でもやはりつかなかった。何で?
布団のふくらみがあるからそこにいるのだろうと思い、体のあたりを掴んで揺すったが、何やら感触がない。何故?
ここには両親がいるだけのはず。
ペットは飼ってるけど部屋が違う。
携帯の明かりを布団に向けたが、そこには誰もいなかった。
何で?
こんな時間に二人ともいないなんて事…ある?
無いよね。でもいないんだよ?もしかして部屋…間違えた?
でも布団があるから間違えようがないと思うんだけど…。
怖い。
この時ブルっと体が震えた。
何故かはわからない。けどまずは両親を探さないと。
部屋を1つづつ見て回る。
怖いと思ってから真っ暗な中携帯の明かりだけを頼りに歩くのはさらに怖さが倍増される。
ペットの部屋ともう一部屋だけが残された見てない部屋となる。
まさか…ペットと同じ部屋なわけないだろうからもう一部屋の方かなとそちらへ向かうがそこには何もなかった。まさか…ね?
ペットといる部屋の前に来ると緊張しながらドアを開けた。果たしてそこには両親がいた。何故か二人とも小さくなっている。何で?
「父さん、母さん、何でこの部屋にいるの?」
「ブツブツブツ…。」
それはまるでお経を唱えているかのように早口で何かをしゃべっている。
それは見ている側からしたら不気味でしかなかった。
二人とも同じ事をしていたからなおさら怖くなる。
両親の肩をそれぞれ揺するが、反応がない。
ただ不気味に何かを唱えているのだ。
怒られるのを覚悟でそれぞれの頬をひっぱたいた。
放心状態だった両親の表情が徐々に変わっていく。
「ん?どうかしたか?こんな時間に何してるんだ?」
「それはこっちのセリフ。父さん、母さん、二人して何でここにいるの?」
「へ?ここは私たちの寝室…。」「じゃないからな。ここはペットの部屋だよ。」
言われて両親は部屋をぐるっと見回すが、ペットがいる事で自分たちの部屋でないことにようやく気がついた。
「何でここにいるんだ?」
「そんなの僕はわからないよ。でも少し前から部屋にいなかったから…。」「そうか…。」「思い出せない?」「ああ、わからないなぁ〜。母さんはわかるか?」「いやぁね。私もわからないわ。もしかして夢遊病者みたいなものなのかね〜?」「そんなの今まで一度もなかったから違うよ。でも気味悪いね。さっ、布団に戻ろう。」
僕らは皆で両親が寝る寝室に戻ってきた。
両親を寝かせ、僕は再び一人で寝る為に戻ってきた。だってさっきの状況で一緒に寝たいなんて言ったら不審がられるじゃん。だから我慢することにしたんだ。
戻ってきた部屋は真っ暗のままだったが、再度スイッチを入れてみると今度は電気がついた。
何だったんだ?と疑問に思いながらも布団に入る。
その時の布団が少し冷たすぎた気がしたが、あまり気にも留めなかった。
その時だよ。
突然外のガラス戸に雨が当たり始めたのは。
雨の音が外の音をかき消す…。
ガタガタとガラス戸が音を立てる。この家は築35年だったか?古いから仕方ないか…と思いながら布団を頭の上まですっぽりとかぶる。
布団をかけ直した時、僕はありえないものを見た。
そう、人だ。
髪の長い女性で、目が落ち窪んでいる。
豆電球だったけど、そう見えた。
「うわぁ〜!」
慌てて布団から飛び起きたが、部屋からは出られなかった。まるで鍵がかかっているかのようだ。
ドンドンドンと戸を叩くも動かない。さっきまで動いてちゃんと開いたのに…。
冷や汗が背中を伝い落ちる。
霊が徐々に近づいてくる。
怖い。
僕はとっさに目をつぶった。
そして次に目を開けた時その目に映ったのは…。
そしてそのまま意識を手放した。
翌朝、僕がドアのそばで倒れているのを両親が見つけ、意識を取り戻した僕はガタガタと震えていた。
理由は答えられなかった。
だって霊が出たなんて誰が信じる?
ましてや知らない霊だ。怖いじゃん。
僕は今は一人では寝られない為、ペットと一緒に寝ている。
一人じゃないことが安心できたから。
でもね?最近そのペットの様子が気になっちゃって…。
その瞳にジッと見られていると思い出すんだ。あの霊の事を。
早く忘れなきゃね。
ん?
誰かいた?




