『ぼく』
ども、僕です。誰がなんと言おうと僕は僕です。
13階建てのビルの屋上。そこにぼくと知らないOLは居た。
ぼくは屋上の真ん中あたりに。OLさんはフェンスの向こうに。
「■■■■■■―――」
喜んでいるように。
あるいは怒っているように。
もしかしたら哀しんでいるのかも。
いややっぱり楽しいのかもしれない。
そんな顔をした彼女が何を言っていたのか、今となってはもう思い出せない。
彼女が何者であったのかも。
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なぜ夏は暑いのだろうか。
絶賛夏休み中であるぼくは、クーラーのない部屋でそんなことを考えていた。
まあ扇風機はあるから幾分暑さは緩和されているのだけれど。
外に出ようものなら、太陽がじりじりとぼくの体を灼き、アスファルトには陽炎ができ、何よりもその暑さに負けないぐらいアツアツなカップルが、何が楽しいのか知らないけどイチャイチャしている。めちゃくちゃ暑苦しい。『夏ノアツサニモマケズ』とは言うけれど、そういう意味じゃないと思うんだ。
そういえば、夏休み中の学生がどうやって宿題を済ませているのか大きく分けて3パターンあるらしい。
速攻で終わらせるタイプ。
定期的にやるバランス型。
そして最後にまとめてやる無計画タイプ。
言うまでもなくぼくは3番目だ。
ちなみに今日は夏休み最終日である。なんなら午後一時である。ぼくの机には夏休みの課題が山のように、というか山脈のように連なっている。新しい車のCMに採用されること間違いなしなレベルだ。どないせぇっちゅーねん。
なぜ夏休みには宿題があるのだろうか。
はい、休憩終わり。
計画を立てるのは苦手だ。
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結局あの量をまともに出来るはずもなく、ぼくは先生からありがたいお叱りの言葉を受けていた。
なんてことはなかった。
超ビビられながら「ぉ、ぉう、そうか」と言われただけだった。楽勝かな?なんてね。関わりたくないと思われているだけさ。
その理由にはぼくの『性質』が深く関わっているわけだけど、その説明をする前に、先にここの事を説明させて欲しい。
ここは帝都ハインリッヒにある『中央異能力開発・解明高等学校エーテル』、通称『能エー』。ぼくはそこの二年生だ。
『異能力』……その名の通り、常人とは異なる能力である。《火炎操作系能力》や《精神干渉・感応系能力》をはじめとする異能力者は基本的に能エーに集められる。
当然、異能力はその人に依存したようなものだから、同じような能力でも人によって強度も、得意なことも違う。
例えば|《風力操作系能力者》の中でも、相手を風で吹き飛ばすのが得意な者もいれば、逆に自分に風を纏わせて近距離戦をするのが得意な者もいる。
そういった個人差がある以上、トップとも言うべき人達が出てくるのもある意味当然のことで、もちろんこの学校にもいる。彼ら彼女らは『十の玉座』と呼ばれ、各分野のスペシャリストとも言うべき存在なのだけれど……まあ、このへんは追々説明するとしよう。
問題はここからだ。
異能力の中には《特異能力》と呼ばれるものがある。読んで字のごとく、異能力の中でも殊更『異』な能力だ。
そしてぼくはその《特異能力者》の内の一人。
能力名:『死纏』。それがぼく、四ノ原創司の《特異能力》だ。
『死纏』……一体どんな能力なんだ……!?
なおあらすじでネタバレされてある模様。悲しいなぁ……
『小説なのにマルチエンディング』ってのはあれです、まだ結末が決まってないからです。計画性がないとか言わないで、計画を立てるのは苦手なんですわ。見切り発車なんですわ。
まあそんな感じで、ごゆるりとお待ちくださいな。