スクエア
俺が高校時代の話だ。
蒸し暑い夏のある日、いつもの仲良しグループでスクエアをすることになった。
オカルト好きの友人、仮としてKがやろうと言いだしたからだ。
俺とA、Yは興味本位から同意して、やるんだったら近所で心霊スポットとして有名な廃墟でやろうという事になって時間を決めて別れた。
そして約束の時間、俺が来たころにはKとYが居て後からAがやってきた。
全員が集まった所で廃墟へと入って行った。
廃墟は前はホテルで経営不振でオーナーが責任を感じて自殺、そのオーナーの霊が出ると言う噂がある。
俺達はスクエアでそのオーナーの霊を呼び出すという若気の至りと言うべきか馬鹿と言うべきか、そういう目標を掲げてオーナーの霊がよく出ると言う場所でスクエアを行った。
それぞれ四隅に言ってKが元気よく合図をして始まった。
それから一時間ぐらい、くるくると回り続けたが一向に五人目は現れなかった。
AだったかYだったかどちらが言い出したか解らないが「もう止めようぜ・・・・」と疲れ切った声が響いた。
若いとはいえ蒸し暑い所為か俺達の体力を奪った。
Kはまだ一時間しか経ってないと不満を漏らしていたが俺も疲れていた。
渋るKを三人で説得して俺達はスクエアを終わらせた。
帰りにアイスを買いにコンビニでも寄ろうと言いながら廃墟から出た時だ、俺の携帯が鳴った。
ディスプレイに表示された相手を見て固まった
その様子に他の二人がどうしたんだと問いかけると
「Kからだ」
俺の言葉にAとYは固まる。
だってKはずっと俺達と一緒に居たからだ。
俺は辺りを見渡すとKが居ない事に気づいた。
Aは「Kの奴、どっかに隠れて悪戯してるんじゃねえ?」と言った。
俺とYはそうに違いないと考えて俺は携帯に出た。
「もしもし・・・・」
『O(俺の名前)!
わりぃ、行こうとしたら親に見つかっちまって説教されてた!
ようやく今、電話出来たんだよ。本当にすまん!!』
「K、そういう驚かし方、止めろよ。
一緒に居ただろ?
今、何処に隠れてんだよ。早く出てこいよ」
『へ?何を言ってんだよ。
俺は行こうとしたら親父に見つかって一時間ぐらい説教されてたんだぜ?
行ける訳ねえだろ?』
「で、でも・・・・」
『今いる場所、写真に送ってもいいぜ?
お前の方こそ俺がもう一人いるとか言うベタな驚かし方止めろよな』
俺はKが嘘を言ってるようには思えなかった。
Kは『明日、アイス奢るな!』と言って一方的に切った、俺はAとYに先ほどの会話を話すと少し顔を青ざめさせた。
AはまだKの悪戯じゃないのかと言っていたが、Yは何かを思い出したらしく呟くように言った。
「俺、Kの次に来たんだけど
あいつ、待ち遠しくて30分前に来たとか言ってたんだよ
それなのに汗、一つも掻いてなかった」
俺達はその言葉にコンビニにも寄らずに真っ直ぐに家に帰った。
結局、あのKはスクエアを楽しみにしていたKの生霊なのか、それとも例のオーナーの幽霊だったのか解らないが、もう二度と心霊スポットでスクエアみたいな事をしないと心から誓った。