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ゼロ歳の子供に三十路の魂

 ……俺は死んだんだよな。

 しかし死後の世界って奴は何にもないな、真っ暗じゃねぇか。

 ん?なんか締め付けられるような感覚が……死後にも感覚はあるのか、って痛てててて!?

 なんかめちゃくちゃ締め付けられてるんですけどぉ!?特に頭!あ、なんか体の方までしめつけられるぅぅ!?

 やばいよ、すぐ脱出しないとしぬぅぅ!ってもう死んでるんですけどぉぉぃいいてえええぇぇぇ!

 なんかめちゃくちゃ狭い洞窟を無理やり押されながら通ってる感じ!

 やばいって、本気で死ぬ!死んだ直後にまた死ぬ!一回死ぬだけで十分だっての!とととととにかくでぐちを探さねば!あ、なんか頭の方がすーすーしてる気がする。ってことは上が出口か!

 痛みに耐えられそうになかったので、俺は必死にもがきました。えぇもがきましたとも。その結果何とか洞窟から脱出できました……と思ったら今度は足を持たれて逆さづりにされました。

 明るいのはわかるんだが、何も見えんからむっちゃ怖いんだけど、てか誰かがなんかしゃべってるのがきこえる……痛い!ケツ叩かれた!ちょっタンマ……痛ってぇ!二回も叩くなバカヤロー!


 「ふぎゃあ、ふぎゃあ!」


 あれ?なんか俺泣いてる気がするんだが……ってかここ死後の世界じゃないのか?神様が死人を逆さづりにしてケツぶっ叩くとか聞いたことない話なんだが……ん?逆さづりとケツを叩く?

 どっかでそんなシーンを見たことが……SM物のAV?某兄貴の動画?いや違うな、確か……タイムスリップする医療ものドラマか?

 そうだ、たしか出産のシーンでそんなのやってた気がするな、ってちょっと待てよ?

 たしかあのシーンでは産まれても泣きださない赤ちゃんを刺激するためのものだったはず。

 ということは……俺、もしかして転生しちゃった? 


==========================

 

 俺転生しちゃった事件(命名by俺)の日から半年が経過した。

 どうやら俺は、かつて勇者として魔王を倒した世界、"ウェスタ"へと転生したらしい。

 父さんや母さんが話しているのを聞いたところ、まだ魔王の放った魔物などは生き残っているらしいが、大分平和になってきたようである。

 そうそう、父さんと母さんについて話しておこう。

 父さんは名前をアーベルと言う。職業は猟師で、弓矢を使って鹿や猪みたいな動物を捕ってきて、肉は一部をその日に食べ、あとを干し肉にして毛皮と一緒に売ることで金を稼いでいる。見た目は30代くらいのゴツイおっさんだな。顔は悪くないと思うが。

 母さんの名前はゾーラだ。治癒魔法の使い手であり、医療知識もあるらしく診療所を開き、格安で病気やけがを治している。綺麗な人でとても優しいので、男女問わず人気であり、男どもの中には意味もなく診療所に来る奴もいるらしい。……わかるぜ、その気持ち!

 俺の新しい名前はレオンハルト。大抵の場合はレオと縮めて呼ばれている。職業は赤ん坊。仕事は遊ぶこと、寝ること、食うことだ。あれ、ニートと似てる気がする……

顔については鏡を見たことがないので分からんな。両親とも顔は悪くないので不細工にはならないと思うが。

 そういえば、先ほど魔法という単語が出てきたので話をしておこう。

 この世界の魔法は、どんな魔法を使うかイメージをし、大気中に漂う魔素という魔法の素を取り込み、それを魔法へと変換することで使うことが出来る。

 簡単な魔法は訓練すればだれでも使えるようにはなるが、強い魔法を使うには魔素をより多く取り込まないといけない。

 この魔素を取り込める量は人によって違う。詳しくはわかっていないのだが、両親のどちらかが強い魔法を使えれば、子供の方も同じくらいの魔法を使えるようになるため、ある程度遺伝するのではないかと考えられている。

 また属性適正というのもあり、得意な魔法の属性も人によって違う。

 これは大抵得意な属性に対応する色が髪の色になるのですぐにわかる。

 たとえば火の場合は赤色の髪、風の場合は緑だ。

 ちなみに俺の髪の色は銀色(母さんが言ってた)。母さんも銀色の髪をしているといえば、なんとなく理解できるよな?しろよ?

 ちなみに治癒魔法は少々特殊な属性になるのだが、それはいつか魔法を習うだろうからその時に話そう。

 こんなもんだな、話すことは。何か質問あるか?あるやつは挙手。……ないな、よし。

 そろそろ腹が減ってきたな……

 

 「レオー、起きてる?あら、起きてるわね。おなかすいた?」

 「あーうー」

 

 ちょうどいいところに母さんがやってきた。

 俺も大分腹が減っているので、言葉はしゃべれないが、それっぽく返事をし、うなずく。

 ひと月程前くらいからくびがすわったので、そこらへんからは首をふって母さんの言葉に反応するようにしている。

 最初はびっくりしていたが、一か月もすると慣れたようで普通に聞いてくるようになった。

 

 「そう、そろそろかと思って見に来てよかったわ。それじゃ、はい、あーん。」

 「あーむ」

 

 ここ最近の俺の主食はおかゆみたいな食べ物だ。所轄離乳食というやつだな。

 残念だったな。もう母乳の時期は過ぎたんだよ。

 10分くらいでおかゆを食べ終えるとだんだんと眠くなってきた。

 うつらうつらとしているのが自分でもわかる。


 「ご飯たべて眠くなったのね。それじゃねんねしなさい。」


 母さんはそういって俺を抱きあげる。

 一応精神年齢は三十路なのだが、身体の方に引っ張られているのか、母さんに抱かれているとすごく安心感があって、気持ちよくなってくる

 あ、もうむりだ……おや……すみ……



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