中編
一機の水上艇が飛行していた。その水上艇にはパイロットのほかに二人の兵士が乗っており、一人は通信を担当する者、もう一人は上空から”奴”を撮影することである。
「機長!”例の奴”を発見しました!」副機長が叫んだ。指差す方角をみると、そこには白く、巨大な物体が泳いでいた。
「”デルク”、急いで所定の位置につけ!」機長が撮影係のデルクに指示を出した。それを聞いた「”南東諸国”空軍所属の”デルク・バージア”軍曹ことデルクは急いで水上艇の後部側面にある防弾ガラスで覆われた窓から持ってきたカメラを取りだした。
「準備完了です!」とデルクは機長に言った。
「よし、通信士!急いで”バルジ”に報告しろ。」機長が言った”バルジ”とは彼らの乗っている水上艇を収容している戦艦の名前である。
「打電は”我 標的発見ス 場所 オークローバー周辺海域”以上!」通信士は無言でその打電をうった。
「もうすぐ標的上空だ!デルク、失敗したらどうなるかわかるよな?」
「わかっています!!」機長の言葉に反応してか、先ほどよりも大きな声で返事を返した。
彼らに与えられた任務は客船”オークローバー号”を転覆させた。”海獣”の写真を撮ることだった。初めはオークローバー号はなんだかの事故で転覆したと南東諸国政府は考えていた。しかし、オークローバー事件からその海域で船の事故が多発、いつしかその海域は”魔の海域”と呼ばれるようになり船乗りたちから恐れられた。
しかし、ある時、状況が変わった。南東海軍の哨戒中だった駆逐艦が水中で謎の物体を確認し、当時南東諸国は隣国との対立が深まっていたため、艦長はそれを隣国の潜水艦か何かと判断し、威嚇射撃をした。すると、魚雷が命中したのか、爆風でびっくりしたのかしらないがその物体は急速浮上した。その姿を見て船員たちは絶句した。その姿はまるで白いイグアナのような姿をした巨大な海獣だった。
この海獣は世界中に衝撃を与えた。これを機に南東諸国は急遽、”海獣討伐艦隊(SSF)”を結成し、現在海獣討伐に向かっているところであった。
「撮影完了しました!」
「よし!機首を90度反転、帰還する!」彼らは自分たちの任務を終えるとすぐにその場から離れていった。武装もしていないこんな陳家な水上艇にあの巨大な物体に勝てるはずがない。
次回で海獣との戦闘の話です。乞うご期待!