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私は。

空をボーと眺めていた。


今の私には、そんなことしか出来ない。


妻に先立たれ、子供も東京に出て仕事をしている。


私は、今病室のベッドの上で何をしているのだろう。


 医者の口から昨日長くは、無いと言われた。


その言葉を聞いたとは、何とも言えない気持ちだった。


三十年連れ添った嫁のところに行ける。そんなうれしさもあった。でも孫の顔が見たい。そんな気持ちも

あった。


幸い私の子供は、結婚しているが、子供はいない。妻も良く孫の顔が早く見たいと生前よく言っていた。


そんなことを思いながら安らかな顔で天に召された妻は、幸せだったのだろうか?


 妻との出会いは、特に運命的なものではない。大学生の時偶然サークルが一緒だったのだ。


二人とも気が合った。お互い野球が好きで妻は、マネージャーだった。


よく気の利くやつで言われる前に行動できるマネージャー。


そんな姿に私は、惚れたのだ。


しかしその当時妻には、彼氏がいた。


その彼氏は、幼馴染で高校から付き合っていたそうだ。


彼氏がいるなら諦めるしかない。と思いその気持ちを封印した。


忘れるために他の女とも付き合ったが、妻の事を忘れることは、出来なかった。


 そんなこと思いながら大学をなんとか卒業した。それ以降妻とは、会うことは、なくなった。


 私は、小学校から野球をやっていて中高大と野球をやっていたため夢は、プロ野球選手だった。


しかし大学のサークルにプロのスカウトが来るはずがない。


しかし夢は、諦められなかった。妻を思うように野球も好きだから・・・。

 

プロ野球選手になることをどうしても諦められなかった。


ダメもとでプロ志願届を出した。両親、知人、恩師、全員に無理だと言われた。


だけど夢は、諦められなかった。

 

案の定プロ指名は、無かった。


当たり前だ。一回もプロから注目されたこともないし、対した成績を残したこともない。


プロ野球なんてこんな現実を渡らないような奴が行く所じゃない。諦めよう・・・。

 

 運命とは、突然来るものだ。プロではなく実業団からのスカウトが来たのだ。


「君のその度胸の強さに惚れた。一緒に野球をやらないか?」


そんな電話だった。

 

でもこれは、度胸の強さつまり自分の野球の能力ではなくプロ指名届を出した事を評価されたのだ。


私は、入るかどうか戸惑った。両親にもそのこと話した。すると父親が

 

「どんな評価であれ、それは、お前自身の能力だ。


野球関係なく、度胸の強さというものは、本当に強い奴しか持っていない。


世の中には、いっぱい人がいるが、その大判は、度胸がなく夢を簡単に飽

きられる奴ばかりだ。



お前のその才能を評価してくれている。

もう一度夢を掴むチャンスが出来たのだから迷っているのなら、行って来い。


もしダメダメでも、胸を張って帰ってこい、成功してプロに行けたならもっ

と胸を張って帰ってこい。」


そんなことを言われた。父親は、無口であまり喋らない人だった。


こんなに話す父親を見たのは、生まれて初めてだった。その言葉で決心がついた。


行こう行って夢を掴み取ろう。


私は、二十二歳の時飽きられかけていた夢をもう一度追いかけ始めた。

 


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