表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
新選組余話-比翼の鳥-  作者: 子父澤 緊
黒船と白旗 前編
41/76

依頼

母屋おもや表座敷おもてざしきに顔を出すと、二人の男が良之助を出迎えた。

「本日より門下もんかに加わりました、上野国こうずけのくに利根とね郡の浪士、中沢良之助と申します」

良之助は、おそらく年配の方が千葉であろうとあたりをつけて挨拶あいさつした。

総師範そうしはんの千葉周作です。まあ、楽にして座りたまえ」

年配の男は、軽く会釈えしゃくして席をすすめた。


良之助はおずおずと二人の前に鎮座ちんざすると、用件をうかがうように、先ほどから隣に控えている男と千葉の顔を代るがわる見比べた。


「ああ、彼は元塾頭もとじゅくとう清河正明きよかわまさあき君だ」

千葉が男の方を見やって言った。

「先生、私先頃、清河八郎きよかわはちろうと名を改めました」

鼻筋はなすじの通った切れ長の目の男が、千葉の紹介を正した。

「そうだったか」

「申し上げるのは、これで三度目ですが…」

清河は、不満げな面持ちで千葉を一瞥いちべつして、良之助に向き直った。

「いきなり話の腰を折ってすまんね。最近、道場を持つことになって、それを機に改名したんだ。中沢君のご実家も、道場をやっておられるとか」

貧乏道場びんぼうどうじょうですが。父の孫右衛門が利根法神流とねほうしんりゅう継承けいしょうしております」

「では、ゆくゆくは君があとを継がれるのか」

「そのつもりです。もっとも、このご時勢ですから、どうなるか分かりませんが…」


「お父上の為にも、精進しょうじんなされよ」

千葉がはじめて微笑ほほえんだ。


「時に、中沢君。江戸に着くなり申し訳ないが、一つ頼みがある」

千葉はそう言って、清河八郎に目配めくばせした。

清河はふところから折りたたんだ紙を取り出して、良之助に手渡した。

「君は、そういったものを目にしたことがあるか」

拝見はいけん

良之助は何かの書簡しょかんらしきものに目を通した。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
cont_access.php?citi_cont_id=782026998&size=135
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ