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主人公ケモハラする。

小沢ヒロシは性的マイノリティーである。

性的指向が極端なヒロシにとって現実は地獄であった。


あの世界には愛すべきものがいなかった。


愛のない人生はかくも儚く人生の背骨を欠くが如くであろう。さながら大渦の中を彷徨う船舶というところであろうか、操縦もできず安全も保てないのだから心は不安定であるのは自明だ。


あのとき画像投稿サイトとで見たおぞましい光は、彼の脳を焼きその傷を永遠のものとした。






昼過ぎ

俺は地下の作業場から上がって湖畔を見渡した。


「ラウーーー、どこーーー?」


いつもならいるあの子がいない。

湖に竿がまだ立てかけてあるから、遠くへ行ってないだろうと思うが。俺はいまだにこのあたりのことを知らない。

ここにきてから大体3か月ほどだろうか、湖の水力発電に使われている制御盤の一部が故障していたので俺はもっぱらその修理のことに時間を費やしていた。


「ラーちゃん、どこよーー」


あたりをウロチョロしていると、ラウがよくわからん藪から出てきた。手にはバスケットを持ってその中にどっさりとカラフルな木の実が山ほど入っている。


「ヒロシ、すげーすげー」


ラウは収穫量に比例して若干興奮する。落ち着きある女性ではあるがこの時ばかりは、小5男児くらいの知能指数になるのかもしれない。そのせいで自身にくっついたひっつき虫をあまり気にしてはいないようである。


もっふりとした尻尾には特にいろんな葉っぱやら枝やらが絡みついている。ラウが木の実のヘタを取ってる、その後ろでそのしっぽをチマチマ毛づくろいするようにひっつき虫を丁寧に取り除いていく。


ラウは俺が尻尾に触れていることをもう気にしてはいなようになった。

バスケットの中身を確認するのに夢中で、木の実をひとつひとつ取り出しては、満足そうに頷いている。


尻尾に刺さってる小さな枝をペイとはじきながら言う


「そのまま聞いてよ」

「ん?なにぁ?」

「修理の件が終わりましてね。」

「ほんとに?じゃあ街が明るくなるね」


彼女が言うには、ここで発電された電気は主に街灯用に使われているそうだ。それだけにしても設備的には過剰の気もするけども。

一応神様に俺は仕事をこなした訳だが、そのあとはどうすればいいんだ?


まあ、そんなことはどうでもいい。今俺の目の前には柴犬のようなクルンと丸みを帯びた魅惑の尻尾があるの訳だが、俺はしれっと尻尾についたごみを取り払うふりをその尻尾を揉みしだいてるわけだ。

ケモナーハラスメント、これがばれたらケモハラになってしまうのではないだろうか? 

そんな背徳心を勝手に作り出し俺は恍惚としている!


めんどくさくなるのはそこから数時間後のことだ。


日が沈んでから直ぐだった。

ドアがノックされて扉を開けると、現実世界では見たことのない熊のような大男がたっていた。不思議なのは彼の体は若干赤く、頭に二本角をはやしている。肩を上下させ息も荒いことから随分急いでいたことうかがえる。


「ケナシが本当にいたとは」


ケナシ? 毛無し。


俺のことかな?


「スマン。俺は街で街長の補佐をしてるガンゴというもんだ。あんたに渡したいものがある」


そう言って男は彼に年季の入った紙の束を渡した


一番上の紙にはこう書いてあった


「Definitely read it(絶対読め)!!!」


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