表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【連載版】加護なしの第八王女は、前世が社畜だったので王宮生活がイージーモードにしか見えない  作者: 茨木野


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

36/56

36.

 魔法国家マギア・クィフの裏路地。

 ティルの恩師である大賢者ピクシーが私塾を開いていたはずの場所に、ミシェルたちは到着した。

 しかし、そこにあったのは無残に取り壊された建物の瓦礫と、焦げた木材のツンとした匂いだけだった。


「塾が……なくなっちゃってます……」


「これは、どういうことですか?」

「わからないですぅ……」


 ティルが長い耳を力なく垂らし、ガックリと項垂れて涙目でパニックに陥る。

 ミシェルは瓦礫の表面を指でなぞり、残滓としてへばりつく魔力の冷たさを確認した。


 ギデオンがずんずんと重い足音を立てて歩き出し、運悪く通りかかった男の胸ぐらを軽々と掴み上げる。


「おい貴様。ここに私塾があったはずだが、どうなってしまったんだ?」

「ひぃっ」


 男は首が締まって白目を剥き、両足を宙でジタバタと暴れさせた。


「あ、ああ……魔導王がピクシーを捕らえ、そして私塾は取り壊されたのだ」

「なに? どうしてだ」


「魔法は、神が人に与えた奇跡。選ばれた人間にしか教わり、広めてはいけない神聖なものなのだ」

「だというのに、ピクシーは半魔や獣混じりどもに魔導を教えた。それは死刑に値する大罪……よって潰されたのだ」


 才能よりも血筋や種族を重んじる、魔法国家の腐敗した差別の実態。

 そのひどく前時代的な理由を聞き、ミシェルは氷のような声で吐き捨てた。


「なんと愚かな」


 優秀な人材を不当に弾圧する国のトップに対し、ギデオンは不敵に笑ってミシェルを振り返る。


「もちろん、行くよな」

「無論です」

「ど、どこへ行く気だ……?」


 男が顔面蒼白になり、ガクガクと震えながら尋ねる。

 ミシェルは表情一つ変えずに、淡々と答えた。


「このマギア・クィフの王、魔導王のもとへ」

「ええっ。や、やめとけ、魔導王は恐ろしい人だぞ」


 必死に止める男に対し、ミシェルとギデオンは全く感情の動かない顔で首を傾げた。


「恐ろしい? 誰が?」


 相手が他国の王であろうと、微塵も恐れる様子はない。

 圧倒的強者の振る舞いを見せつける二人の背中を見て、ティルは目を輝かせた。


「た、頼りになるですぅっ」


 涙を拭ったティルは、頼もしい上司たちの後ろを、見えない尻尾をパタパタと振るような勢いでついていくのだった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
宗教に続いて他国へ殴りこみ なるほど、傍目には狂王だなw
一足遅かったけど、連行されている最中だからギリギリセーフ。 ピクシー先生を救出して、魔導王とやらを半殺し(笑)
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ