32.
【☆★おしらせ★☆】
あとがきに、
とても大切なお知らせが書いてあります。
最後まで読んでくださると嬉しいです。
ミシェルが目を覚ますと、そこは自分の簡素な自室ではなく、無駄に豪華な天蓋付きのベッドだった。
横には深刻な顔をしたギデオンと、宮廷医のフローラが立っている。
「過労ね。三日は絶対安静よ」
「困ります。学園の事後処理と、今週の予算案の承認が」
起き上がろうとするミシェルを、ギデオンがガシッと肩を押さえてベッドに沈める。
「休め。お前の仕事は俺が預かる。書類には一切触れさせんぞ」
場面は変わり、皇帝の執務室。
ミシェルが倒れたという噂を聞きつけ、財務局の残党である腐敗貴族たちが薄ら笑いを浮かべてやってきた。
「陛下。帝都のインフラ整備のための追加予算案です。急ぎの承認を」
彼らの狙いは明確だった。
計算の鬼であるミシェルが不在の今、数字が苦手なギデオンなら、適当に丸め込んで不正予算を通せると踏んだのだ。
ギデオンは分厚い予算案を見て、不機嫌に眉をひそめる。
面倒だから丸ごと燃やしてしまおうかと考えたその時、バンッと勢いよく扉が開いた。
「へ、陛下っ。ミシェル様からですっ」
息を切らしたティルが、映像を映し出す通信魔道具を抱えて飛び込んでくる。
魔道具の画面には、ベッドで枕に頭を乗せたままのミシェルが映っていた。
ティルが急いで予算案を画面の前にかざすと、魔道具からミシェルの冷ややかな声が響いた。
「貴方たちが私が倒れた隙を狙うことなど、百も承知です。その予算案の三ページ目、資材の単価が市場価格の四倍に設定されていますね」
「なっ」
貴族たちが目を剥いて驚愕する。
ミシェルの指示を受け、ティルが凄まじい速度で手元の控え資料をめくり、計算魔道具を弾いた。
「本当ですぅ。さらに八ページ目の架空の工事団体、資金洗浄のダミー会社ですねっ。過去十年分の帳簿データと完全に一致してますっ」
「寝ながらでも論破できるような、お粗末な数字を並べないでください」
ミシェルは映像越しに一瞥しただけで、己の記憶のデータと照らし合わせ、彼らの不正を完璧に暴き出したのだ。
バカな奴らのバカな予算案は、リモート監査によって次々と弾かれていく。
貴族たちは顔面蒼白になり、ぶるぶると震えながら後ずさりした。
ギデオンはドヤ顔で腕を組み、ゆっくりと立ち上がる。
「俺の女がいない間、随分と調子に乗りよって」
圧倒的な魔力と威圧感が、執務室を支配する。
「ひぃいっ」
貴族たちは情けない悲鳴を上げ、転がるようにして逃げ帰っていった。
静寂の戻った執務室で、魔道具から微かな吐息が漏れる。
「また仕事をしたな」
「三十秒で終わる作業でしたから。それに、陛下が変な書類にサインをして、後で私の仕事が増えるのは御免ですので」
憎まれ口を叩くミシェルに対し、ギデオンは嬉しそうに微笑んだ。
「そうか。よくやった。あとは俺に任せて寝ろ」
魔道具の向こう側で、ミシェルが再び安らかな寝息を立てるのを画面越しに確認し、ギデオンは優しく通信を切るのだった。
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