流れ星★ミ
ホシミは、疲れた羽を広げながら、山の上へと向かっていた。
ぴとぴと、もぞもぞ——
力は少しずつ尽きてきて、空を飛ぶのも一苦労だった。
でも、胸の奥には、ずっとあたためてきた夢があった。
夜の風がやさしく羽をなでる。
森の匂いは遠く、代わりに冷たい空気と高山の草の香りが混ざる。
遠くで虫の声が小さく響き、空気は澄んで光をたたえていた。
やっと、山頂の小さな岩場にたどり着く。
羽を広げて止まると、下界の光や匂いが遠くに流れ、夜空だけが広がる。
星がたくさん瞬き、風がひんやりと肌に触れる。
「……ついに、ここまで来たんだ」
胸がぎゅっと熱くなる。
全身の力はもうあまり残っていないけれど、目の前の空に、ずっと夢見ていた光が走った。
スーッ——
一筋の光が夜空を横切る。
流れ星。
遠くて小さくて、でも、誰よりも鮮やかで温かく感じられた。
ホシミは小さな羽を閉じ、体をぴとっと岩に寄せる。
光の線は心に刻まれ、胸いっぱいに広がる喜びと静けさが、体の隅々まで染み渡った。
「……見れた……」
目に映る光、風の冷たさ、胸の高鳴り——
すべてが、ホシミの命の中で一番の贈り物だった。
光が消えるまで、ホシミはじっと空を見上げた。
ぴとぴと、もぞもぞ——
小さな体が最後に震える。
そして、静かに、ホシミは力を抜いた。
命は尽きるけれど、心には世界のすべてが残った。
光と風、匂い、音——
そして、流れ星。
土の中で夢見た小さな願いは、空いっぱいに広がって叶った。
ホシミは、安らかな笑みを浮かべながら
夜の空に抱かれて眠った。
世界は美しく
命は短く
そして、確かに輝いていたのだった。
セミのホシミ(★ミ)の七日間の体験、いかがだったでしょうか?
番外編を含めて終わりになります。




