表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
7/9

花火

ホシミは、少しずつ力が弱くなってきた体で山を目指して飛んでいた。

ぴとぴと、もぞもぞ——

羽はもう、朝のように軽くは動かない。


でも、胸の奥には「見たい」という思いがまだ残っていた。



夜の森は静かで、風が肌をなでる。

草の匂い、土の匂い、遠くの花の香りも、昼間よりしっかり感じられる。

空は少しずつ暗くなり、星がちらちらと瞬きはじめた。



そのとき、突然、森の向こうから大きな光と音がやってきた。

パーン、ドーン——

花火の音が空を震わせ、夜空に大きな光の花が咲いた。



ホシミは驚いて羽を広げる。


光がまぶしくて、風が強く吹いて、胸がドキドキする。

でも、その一瞬、一瞬が、体の奥までじんわりと温かかった。


空に咲く光の花を、ホシミは必死に追った。

届きそうで届かないけど、光の温もりが体に残る。

音は胸を揺らし、匂いは夜の森に混ざり、風は羽を軽く揺らす。


ぴとぴと、もぞもぞ——

もう長く飛べないかもしれない。

でも、こんなにきれいな光景を、目に焼き付けられるだけでいい。



ホシミは小さく笑った。

「……きれい、ありがとう」



花火はあっという間に消えてしまう。

でも、その美しさと温もりは、確かに心の中に残った。


空に輝く光と、森の匂い、風の感触——

短い命の中で、ホシミは世界の美しさをまたひとつ知ったのだった。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ