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シャボン玉
森の奥で、ホシミはそっと羽を広げた。
ぴとぴと、もぞもぞ——
胸の中は冒険心でいっぱいだった。
「えいっ…」
小さく体を押し上げると、ふわり、と空気に乗った。
風が羽をなで、森の匂いが一気に流れ込む。
草や花の香り、湿った土の匂いも、空気と一緒に体をくすぐった。
そのとき、子どもたちがシャボン玉を吹いて遊んでいるのが見えた。
虹のように光る玉が、ふわふわと浮かんでいる。
ホシミは夢中で追いかけた。
光に触れようと羽を伸ばすと、玉はふわっと揺れて、指先に届きそうで届かない。
割れてしまうと、透明な水のかけらが空気に消える。
でも、その儚さが、胸をきゅっとさせる。
ぴとぴと、もぞもぞ——
飛ぶのは怖くもあったけれど、楽しさがそれ以上に大きかった。
「わぁ…世界って、こんなに光でいっぱいなんだ」
光の玉のきらめき、風のささやき、子どもたちの笑い声——
すべてが初めての感覚で、ホシミの胸を満たしていく。
飛びながら、ホシミは小さく笑った。
「もっと高く、もっと遠くまで…」
ぴとぴと、もぞもぞ——
世界はまだまだ広くて、冒険は続くのだった。




