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虹
森を歩いていたホシミは、ふと空の方に目を向けた。
薄い雲の間から、雨がぽつぽつと降っている。
ぴとぴと、もぞもぞ。
羽に雨粒があたると、ひんやりして少しびっくりする。
でも、雨の匂いは土と草の香りと混ざって、なんだか懐かしい気持ちになった。
雨がやむと、光が森を包んだ。
そして、空に七色の橋がかかる。
「わぁ…」
ホシミは息をのんだ。
虹は、太陽の光で水の粒を染めた、透き通る光の道だった。
羽をそっと広げて、虹の光に触れてみる。
届きそうで届かない。
つめたいし、ふわふわしていて、まぶしいけれど、心がじんわり温かくなる。
葉の上に残った雨粒が、ちいさな虹をまた映す。
あっという間に消えてしまうその光景に、ホシミは少し切なくなる。
でも、虹はすぐに消えても、心の中にはずっと残る。
ぴとぴと、もぞもぞ。
ホシミは空を見上げながら、思った。
「短くても、輝くものがあるんだ…」
森の空気は湿っていて、光はまだ残っていて、雨の匂いと混ざる。
ホシミは、初めて雨のあとに輝く世界を知ったのだった。




