2/9
朝露
土の中から、そっと体を押し上げる。
ぴとぴと、もぞもぞ。
茶色の羽はまだやわらかく、体も小さい。
外の世界は、想像以上に光がまぶしかった。
葉っぱに降りた朝露が、キラキラ揺れている。
つめたくて、でも心地よい水の感触が羽に伝わる。
そよ風がふんわり吹く。
湿った土の匂い、草の匂い、遠くの花の匂い…
知らない匂いに、胸がそわそわする。
「わぁ…」
思わず小さな声が出ると、葉の間から光がきらきらと返ってきた。
だけど、ホシミがそっと触れようとした瞬間
朝露はぽたんと落ちて、消えてしまった。
光はもうそこにはなく、葉っぱはただ湿っているだけ。
ほんの一瞬の輝き——手に届かないけれど、心に残る光。
ホシミは、初めての世界に慎重に足を進める。
ぴとぴと、もぞもぞ。
でも、心の奥はワクワクしていた。
今日から、ここがわたしの世界——。
まだ小さくて、まだ弱くて、でも、あたたかい光に包まれて。
土の中で夢見ていた、あの星に出会うための、最初の一歩だった。




