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冤罪令嬢と青い死神の逆襲  作者: 崖淵


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第61話 誠実と不誠実

城塞都市ナムールとその一帯は落ち着きを取り戻しつつあった。

そんな中、辺境伯よりソフィエ様の元に書状が届いた。

フランティエの侵攻を許している北部への援軍の陣容が決まったようだ。


辺境伯自身を総大将として、総兵数は2,500だ。各地の守備兵を除けば、ライデン辺境伯軍のほぼ全軍である。なお、ソフィエ様もその軍略を買われて出陣することになった。もちろん私もだ。


公子カスパルが留守番であり、万が一辺境伯とソフィエ様がお二人とも揃って戦場に斃れることがあっても辺境伯家は守られる。まぁそんな事態になった時は、辺境伯家どころかオラニエ王国自体の存続の危機であるとは思うが。それに少なくともソフィエ様は絶対に守ってみせる。

とはいえ、フランティエ兵の強さは体感したばかりであり、それが3万以上もいるのだ。楽観できる要素など一つもない。さすがにあそこまでの精鋭はそうはいないだろうが、逆に横で戦う味方は全軍がライデン辺境伯軍であれば心強いが、そうではない。ライデン辺境伯領が例外であり、オラニエ王国は基本的に弱兵の国である。

相対的に苦しいのは否定できない。


既に領都に兵はほぼ終結しているようで、ここ数日中にナムールに向かって出発するようだ。そこでここの兵とソフィエ様が合流して北部に向かうことになる。


それまであと数日。

もうフランティエにナムールが直接攻められることはないと思うが、ここに残る守備兵たちに想定される防衛策を叩きこんでいく。


そして北部に援軍に行く前にまだ一つやり残していることがある。

フランティエ捕虜たちの処遇?いや、それは戦後になるだろう。

そのフランティエ兵たちをナムール城内に手引きした者どもに対する処置だ。


城門の詰所の兵たちには、戦いがあった日までの数日で怪しいところがなかったか既に聞き取り調査が行われており、最近北部からナムールにきた人足の派遣会社が怪しいというところまでは辿り着いた。


しかし、証拠がなかった。

実際に強引にガサ入れにも入ったが、フランティエ軍に通じるものは何も出てこなかったのだ。

そもそも証拠になりそうなもの自体が元々乏しいと思われていた――最大の証拠であるフランティエ兵は出陣済で既に牢屋の中で、仕方ないことではあるのだが。

なので、既に兵たちによって聞き取りは行われていたが、ディルク自ら牢屋にいるフランティエ兵に直接話を聞くことにした。


「おう、青い鎧の強い騎士じゃないか」


薄暗い地下牢に降りていくと、先日フランティエの行軍動機を教えてくれた敵の下士官が声をかけてきた。


「あん?うちらを城内に手引きした者について調べてるって?ああ、それな。そちらの兵たちにも以前聞かれたが、すまないがそれについては答えられないな」


「フランティエ兵の動向や目的についてはあれだけ話してくれたのにか?」


「ああ、あれはもう機密ってほどじゃなかったからな。話しても問題無いと判断した。それにその情報の相手はうちらフランティエ自体のことだ。うちらが負けた以上、フランティエとしてもその程度の情報の流出は甘んじて受けるべきだろうよ。

だが、協力者は違う。所詮金銭の授受程度の付き合いとはいえ、彼らはフランティエにとって罪はない。君らにとってはむしろ敵より憎いかもしれんが、協力者を売ってしまえば、今後フランティエが協力者を得ることが難しくなるからな。だから売れない。拷問してくれてもいいが、喋らない。それは先に言っておく」


なるほど。分かる気はする。先日は快くフランティエ軍の動向を話してくれたことといい、彼らの腕やこのような矜持に敬意を払いたい気持ちがあるので、拷問してまで尋問したい気になれない。とはいえ、その天秤の反対側にあるのはライデン辺境伯領の安寧だ。それとは比べられないのだが。

とはいえ、拷問しても確かにしゃべらなそうではある。

と困った顔をしている私の内心に気付いたのだろうか、その下士官は私にさらなる話をしてくれた。


「そうだな。協力者を売ることはできないが、一つ情報を提供しよう。彼らと直接交渉に当たったのは隊長だったから詳しいことまでは知らないが、彼らは君たちに敵意を抱いているように見えたな。だから今後も気を付けた方がいい」


「なるほど、それはそれでありがたい情報だ。助かる」


彼の牢屋にワインを1本差し入れるように牢番の兵に指示を出すと地下牢を出た。

先程の情報を基に、守備兵たちには人足の派遣会社には引き続き目を光らせておくように指示を出した。今回のフランティエ兵の手引きがただの金銭目的の一過的な案件ならばよいが、反辺境伯家としての行動であるならば、次に行動を起こすのは、ディルク達が北部に援軍が派遣されて領内が手薄になった後だろうから、くれぐれも油断しないようにと重ねて言い含めた。


ご存知の通りこの人足派遣会社は辺境伯家を逆恨みするクラーラの経営する企業である。そのためディルクの懸念通り、北部への援軍派兵後に手薄になった辺境伯領内において、領内の混乱を狙う破壊活動や北部へ輸送する補給物資を巡り、守備兵たちと度々ぶつかり合うことになる。

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