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冤罪令嬢と青い死神の逆襲  作者: 崖淵


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第46話 議会と王太子

議会と言っても、そこには選挙で選ばれた議員がいるわけでも、行政機関があるわけでもない。主に国王や各大臣を始めとした行政府が政治方針を表明する場で、ときおり特筆すべき功を挙げた貴族を表彰して褒美を与えたり、はたまた処罰を下したりする場であったりする。議会とは言ったが集会と言った方が意味は近いかもしれない。


なので毎日あるわけでもなく、もちろん事前に通告されているが、たまに開催された時に王都に在住もしくはたまたまいる貴族や、行政府の役人が集まるといった具合だ。

そして本日は国王によって議会が招集されており、王太子が呼ばれていることが知れ渡っていた。そんな議会に集まった貴族たちは、王太子にどのような処分が下されるかが話の種になっていた。


議会場は、王都の中の王宮の内と外の境目にあった。王や王宮に勤める役人は王宮内から、貴族は王都からアクセスする形だ。既に議会場は満員で、最後に王が王宮側の入り口から入場し、壇上の貴賓席に着席する。

宰相が議会の開催を宣言し、まずは各行政府の長が定例報告を行った。そしてフランティエと戦争中であるため、軍務大臣から戦況の報告が行われた。


そして議会開始から小一時間が経過し、皆が待ちに待ったイベントがいよいよ開催される。


「王太子をこちらへ!」


壇上から宰相の号令により、議会場の扉が厳かに開かれた。

そこには王太子が立っており、議会場が小さなどよめきに包まれた。

王から召喚された王太子は、側近二人を引き連れて王宮側ではなく、珍しく王都側の扉から入場してきた。しかし、そこにいた王太子の表情は皆が期待した、怒りで赤くなったり恐怖で青くなったりもしていなかった。銀糸で刺繍された真っ白なガウンを身にまとい、いつもに増してゆっくりと歩くその様は、いつもの王太子のふてぶてしい態度と言えた。

この王子が愚かなのは知っていたが、なんで呼ばれたのか未だに分かっていないのでは?と思った貴族も多いのだろう。

しかし王はその一切動じていない王太子を見て、一抹の不安を感じた。


王太子は会場内の注目を浴びながらゆっくりと議会の中央、壇の下まで歩くと側近はその場に残して、王太子のみがそのまま壇上に上がり下手側に用意された椅子に座った。次に反対側の上手側に座る王が起立し、壇上の中央まで移動し手元の紙を読み始めようとしたところで、王太子が手を挙げ発言を求めた。

王はそれをちらっと見たが、その必要を認めず手元の紙を読み始めた。


「この国難の時、王太子は我が身を省みず……」


そこまで読んだところで、王太子は発言の許可を得られていないにも関わらず席を立つと、壇上中央の王がいる式台に歩みよってきた。不安を感じた王は、思わず兵を呼んだ。


「お主に席を立つ許可は与えておらぬ、戻れ。」


その王の言葉を無視してゆっくりと壇上中央に歩みよる王太子。それに業を煮やした王は


「ええい。兵たち、あの者を取り押さえよ!」


王のその発言とほぼ同時だっただろうか。議会場の後ろの扉が激しい勢いで開かれた。そこに現れたのはとても王国の正規兵とは思えない武装集団で、そのまま議会場に雪崩れ込んできた。

王の先程の呼びかけに応えて、舞台袖から王国兵が数人出てくるが、それより早く王太子の方が王の下へ辿りつきそうだ。王は危険を感じ、身を翻して上座側の舞台袖へ逃げ込もうとする。それを見た王太子もブロンドの髪を振り乱して、王に迫ろうとする。王の一番近くにいた進行役の宰相が王太子に掴みかかって、王を逃がそうとするが、「どけっ!」と文字通り王太子に一蹴され壇の下に蹴落とされた。


王太子は懐に手を入れると、そこから白刃がきらめく小刀を取り出した。王太子という存在ゆえにボディチェックが甘かったのだろうか、議会は武器の持ち込みが禁止のはずなのだが。


「王よ、もらったぞ!」


もう目と鼻の先いる王に向かって王太子は小刀を振りかぶると、勢いよくその小刀を突き放った。

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