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冤罪令嬢と青い死神の逆襲  作者: 崖淵


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第40話 二人の夕食

ソフィエ様に誘われてソフィエ様の自室へ。ようするに領主の普段の居住スペースで私室だ。奥には寝室と思われる扉もある。

私の部屋と違い、さすがに広いし調度品も整っている。まだ初日だからシンプルな内装だけのあまり物がない居住空間だけど、段々とソフィエ様っぽい部屋になっていくのだろう。

パーティー対応でいつもより少ないがここにも侍女たちはおり、もちろん二人きりではない。


そして侍女たちは本日のパーティーで出された料理を、テーブルにさっそく並べてくれている。


「ディルクはどうするの?」


と空いたグラスを掲げたソフィエ様。

パーティー会場ではいくつかグラスを砕いてしまったが、それはワインと見せかけたぶどうジュースを飲んでいた。護衛だから、さすがにアルコールは摂取していなかった。


「そうですね、さすがに今日はもうお役御免でしょうから、私も少し飲むとします。白でお願いできますか?」


「いいわね。リネケ、私は赤でお願いね。」


「はい」と短く答えたリネケさんがソフィエ様と私の空いたグラスにワインを注いでくれる。

パーティー会場と違いシャンデリアはないが、テーブルの上にある灯火がゆらめきワイングラスを照らすこの雰囲気もとてもよいものだ。


「じゃあ、乾杯しましょ。」「「乾杯」」


――チン


とグラスを合わせて乾杯をする。二口程飲んだところで、目の前のソフィエ様は立派なテーブルチェアに座りながら、んーっと天に向かって伸びをしている。


「はー、さすがにちょっと疲れたわね。」


お嬢様はまだ真紅のドレスのままのお姿だ。自室に戻ってきたので、楽な姿に着替えようとされたのだけど、せっかくなので私が「そのままで」とお願いしたのだ。嫌がられるかな?と思ったが、案外嬉しそうに了承してそのままの恰好でいてくれた。


侍女たちの手によってパーティー会場のように一皿一皿の量は多くはないが、テーブルにところ狭しと並べられた料理たち。まずは仔羊肉のローストをお皿にとって食べる。うん、美味い。これは空心菜の炒め物かな?うんうん、これも少しピリ辛で美味しい。お次はこの揚げ物にしよう。これはタラかな?うん、サクサクとしてこれも美味しい。とお腹が空いていたので、無心に食べていると、不意に正面からじっと見られている視線に気付いた。


「ソフィエ様、どうされました?」


「ぶぅ。お腹が空いているのは分かるけど、少しはこっちも気にして欲しいと思うのはいけない?」


「ああ、失礼しました。では、どうぞ。これ、サクサクしてて美味しいですよ。」


と私は、タラの揚げ物をフォークに刺して、ソフィエ様の口元にもっていく。


「えっ、あの、そういう意味じゃなくて……」


「はい、どうぞ。あーん?」


ソフィエ様は恥ずかしいのか逡巡しているところを、リネケさんが追い打ちをかける。


「お嬢様、せっかくのディルク様のご厚意ですよ。お受けするのが淑女のたしなみというものですよ。」


そんな淑女のたしなみはないだろうけど、照れているソフィエ様がかわいくて面白いので無粋な指摘はしない。


「はい、あーん。」


もう一度私が促すとソフィエ様は顔を真っ赤にしながら、私の手ずからのフォークからおずおずとタラの揚げ物を食べた。私はそれらのソフィエ様の様子をじっと食べ終わるまで見つめていた。すると


「…あの、じっと見られると恥ずかしいのだけど。」


「いいじゃないですか。ソフィエ様をずっと見ていたいんですよ。」


と笑顔で言って、次はネギとニラの炒め物をソフィエ様の口元に持っていく。

「うわ、女殺しだわ…」とか侍女たちの方から聞こえた気がするが気にしない。


「ちょ、ちょっと待って。今までのディルクと違いすぎて…あ、あん」


何かしゃべろうとしていたけど、次は私に生ハムを口に入れられて、とりあえずもぐもぐするソフィエ様。うん、なんか雛鳥に餌付けをしているみたいで楽しいな。


うん、テーブルの向かいだと遠いな。隣に行こう。リネケさんに頼んで椅子をソフィエ様の隣に移動すると、次は豆腐のあんかけをソフィエ様に食べさせる。


「なんでこんなに急に積極的に……」


と言いながら逃げようとするソフィエ様の反対側の肩に手を回し、逃げられないようにして豚肉の湯引きを口に入れる。


「いやぁ、もしかすると純粋に騎士としてお嬢様にお仕えしている時代から、私は深層心理ではこうやって甘やかしてお世話をしたかったのかもしれませんね。それが無意識下に封じられて、その想いがこのように熟成されたに違いありません。」


それっぽい言い訳を私はしたが、正直そんなのはどうでもいい。ただソフィエ様を甘やかす。今私がしたいのはこれだ。

見ればソフィエ様のドレスは肩が剥き出しになっているので、その肌に直接触れているせいか、ソフィエ様の真っ白な肩や首回りまで赤くなっているように思える。


「ソフィエ様、逃がしませんからね。ご覚悟ください」


私はソフィエ様の目を見ながらそういうと、諦めたようにこくんとうなずいた。

その後、私が満足するまでソフィエ様を餌付けするとソフィエ様はなぜか力尽きたようにとてもぐったりとされていた。

ぼーっとしたまま動けなさそうだったので、ソフィエ様を横抱きにして、そのまま奥の寝室に連れて行き寝かせた。

私はソフィエ様の右の手をとるとそのまま手の甲にキスをして、「また明日もよろしくお願いしますね」と耳元でささやくと、リネケさんに後を任せて退室した。



「あ、明日もなの…?ドキドキしすぎて心がもたないのだけど」


リネケはお嬢様がそうつぶやくのが聞こえた。

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