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冤罪令嬢と青い死神の逆襲  作者: 崖淵


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第33話 告白と想い

本当は私だって、男性から――ディルクから思いを寄せられて告白されたい。

でもディルクの場合は、それを待っていたらいつになるか分からないし、侍女たちの話によるとディルクは私が思うより全然有望株だったみたいで、女性人気も非常に高い。ぐずぐずしていたら誰かに横からかっさらわれるかもしれない。

それは嫌だ。


ディルクへの中途半端なアピールやアプローチはもう意味がないことがわかったの。意味がないわけじゃないけど、効果が薄い。

だから、私はここで勝負に出ることにしたわ。


「……お父様に頼んだのよ。ディルクを私にくださいって。」


ええ?こうまで言ったのにまだディルクは分かってない顔をしている。

鈍感な振りとか、部下としてそういう関係にならないように一線を引いているとかではなくて、本当に私の気持ちにこれっぽっちも気付いてもらえていなかったとは。

さすがにちょっとショックね。


「私もお嬢様の恋が実るように応援いたします。私は常にお嬢様の味方です。全力を尽くすと誓いましょう。」


でも言質はとった。私の恋が実るように全力を尽くすって。

だから私が告白したら、義理堅いディルクなら必ず約束を守って受け入れてくれるはず。


でもわかってる。

そんな姑息な手段でディルクの気持ちを縛ってディルクを手に入れたって、それは本当の幸せじゃないってことくらい。

でもディルクを絶対に手放したくない。たとえどんな手段を使ったって。

そう思うと、私はクラーラ男爵令嬢のことを非難できないのかもしれない。

彼女がやったことと大差はないと思うから。


もっとも先日パパにも話したけど、彼女自体への恨みはもうあまり無いわ。当時は恨んだし、やるせない気持ちでいっぱいになった。私が10年以上に渡って受けてきた王妃教育を受けていない彼女が、横取りするのには怒りも悲しみも虚しさもおぼえた。

でも今ならあんな王太子と結婚しなくて済んだこと、そしてディルクのような素敵な男性と結婚できるかもしれないことは、かえってクラーラに感謝してもいいのかもしれない。

……いや、やっぱりそれはないかも。機会があったら、1発くらい思い切りビンタしてやってもいいわよね。それくらいは許されるはず。


さて、そろそろ本題に入りましょうか。

そんな私の空気を感じたのか隣にいる侍女たちが息を飲むのがわかるわ。


「……ディルク。私が好きな人はあなた。」


ディルクが目を見開いている。あなたのこんな表情は初めて見るわね。


「あなたは昔から、それこそ幼少期から私に尽くしてくれていた。当時は王太子という婚約者がいたから、あなたをそういう目でみたことはなかったけど、今思い返せば本当に小さな時から私を守ってくれていたわ。」


私は彼の膝の上に置かれた彼の手をとる。剣を握るその手はごつごつとしているけど、どこか温かみを感じる。


「あの卒業式の時、あなたがいなかったら私はどうなっていたか。あの時のこの手とあなたの背中はとても大きくて温かかった。あなたは第一騎士として私を守ってくれたのかもしれないけど、私はあの時からこの手と背中に私の人生を預けたいと思ったの。」


ディルクは私をじっと見たままピクリとも動かない。

私とディルクはしばらく無言のまま見つめ合った。ダメだったかしら?


「なるほど、それで辺境伯は私のことをしきりに敵視されていたのですね。

ソフィエお嬢様が今おっしゃられたことは、未だに信じられませんが、それを考えれば合点がいきます。

ですが、私は女性とは『待って!』…なんでしょうか。」


断られそうな雰囲気を察した私は続きを遮った。


「ディルク、あなたは応援してくれるのでしょう?私の恋が実るように全力を尽くすと誓ってくれたわよね?違ったかしら。」


「ですが、お嬢様。それは他の男性に対してであって…」


「あら、ディルクともあろう者が二言があるのかしら。あなたたちはどう思う?」


と私は横にいる侍女たちに話を振った。

ええー、ここで私たちに振るんですか?とばかりに嫌な顔をされたけど、私は使えるものもは何でも使うわ。ここは勢いで押し切る!


「ディルク様、諦めてください。お嬢様がずるかったんです。ここは高い授業料だったとご自身の発言に責任をとって、しぶしぶお嬢様とお付き合いをしてみてもいいのではないでしょうか。」


リネケ…しぶしぶって、もう少し言い方というものがないかしら?


「ディルク様、何もいますぐ結婚しろとまではお嬢様も言っておりません。ですからご自身の発言に責任をとると思って、一度はお付き合いをしてみて、やっぱりお嬢様はわがまま過ぎてダメだなってことになりましたら、私に鞍替えしていただければいいだけですので。」


「アレッタ!?あなた、何を言っているの!?」


全く油断も隙も無いわね。ディルクは少し考えたのちに一つ大きく息を吐くと決断したようだ。


「分かりました。とりあえずは自分の発言に責任を持ちましょう。お嬢様、ふつつかものですが、よろしくお願いいたします。」


と諦めて私の告白を受けてくれた。


「ありがとう、ディルク。これからもよろしくお願いするわ。絶対に後悔はさせないから!」


やったわ!

ここから始まる恋愛があったっていいじゃない。こんな恋愛からだって幸せになれないわけじゃないはず。ディルクとだったらきっと上手くいく。いや、上手くいかせるわ!

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