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冤罪令嬢と青い死神の逆襲  作者: 崖淵


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第32話 出陣と誘導

先日、リーレがフランティエの侵攻により陥落した。リーレはデルフト公爵家第二の都市で、オラニエ王国全体でみても有数の都市だ。

そしてフランティエは、リーレだけでは満足しないのか、なおもオラニエ王国の北西部を侵攻する構えを崩していない。


そしてオラニエ王国がフランティエと接しているのはデルフト領がある北西部だけではない。ライデン辺境伯領とも接している。北西部と違い平野ではないので、フランティエが得意な土地柄ではないが、かといって無視はできないし、既に城塞都市ナムールの周辺にはフランティエの部隊がいることがたびたび報告されている。

他にも南部のルクセンブルックがフランティエと接しているが、ここを攻め落とすくらいなら、フランティエの宿願であるアルセーヌ・ローレンナ地方を直接攻め落とすだろう。とはいえ油断はできないが。


そして今日はフランティエとの前線である城塞都市ナムールへの援軍派兵が決定されたので、その出陣式だ。

援軍の内容はソフィエお嬢様を総大将として、先日ケルミス砦で戦った部隊を中心とした兵500になる。リーレを落としたのは3万のフランティエと比べるとかなり心許ない数字だが、フランティエ軍3万は依然リーレ近くに留まっていると聞いている。それにナムールの近くではそれだけの数を展開できる平地はないので、この数でも有用だろう。



「先日リーレが陥落したのは諸君も知っているだろう。その前より、ナムールの近くではフランティエの部隊が何度も確認されている……」


出陣式に伴い辺境伯邸の白いバルコニーから、その下に勢揃いした一糸乱れぬ500の兵に対して、辺境伯が訓示を行っている。いつものように勇壮な声で周囲の味方の士気も上がっているのが感じられる。

しかし、私は最前列にいるせいで先程から何度か辺境伯と視線が合っているが、私を見る目がどこか厳しいのは気のせいではない気がする。

辺境伯の不興を買うようなことをした記憶はないが、何かやってしまったのだろうか。



辺境伯の訓示が終わり部隊が出発する。王都からナムール経由で帰還した時は船で下ったが、今回は逆方向なので陸路だ。

私はソフィエお嬢様をエスコートし馬車に乗り込む。お嬢様も馬に乗れるので、馬でも移動しても良いのだが、目的地は都市であり、お嬢様お付きの侍女もいるので馬車移動となった。

馬車に乗り込むとさっそく先程の辺境伯の件を聞いてみた。


「お嬢様、先程の辺境伯の訓示の時、私を見る目がいつになく厳しかったのですが、何かご存知でしょうか。私には心当たりがないのですが、気付かぬうちに何かをしでかしてしまったのかと。」


「あはははは…。」


お嬢様は乾いた笑いをあげている。


「あー、ごめんなさい、ディルク。バッチリ心当たりがあるわ。でもディルクは一つも悪くないから気にしなくていいわ。」


「他のお方ならともかく、それが辺境伯その人ともなれば、そうもいかないでしょう。」


「まぁディルクの立場からするとそうよねぇ。どうしたものかしら。」


「……私、腹を切った方がいいのですか?」


「なんでそうなるのよ。ディルクは悪くないって言ってるでしょう?」


「とはいえど、私のせいでお嬢様と辺境伯の仲が悪くなるようなことがあれば非常にマズいですから。」


そういうと、お嬢様はちらっと横を見た。

この馬車には私とお嬢様の他に侍女が2名乗っている。リネケさんとアレッタさんだ。その二人の方を見たようだ。侍女が二人とも無言でうなずいている。

するとそれを確認したお嬢様は、こちらをちらちらと窺い始めた。なんだ?

何か言いづらいことが?やはり私が知らぬうちに何かしでかしたか?


「……お父様に頼んだのよ。ディルクを私にくださいって。」


するとお嬢様が顔を真っ赤にしながらそういった。うん?よくわからないな。


「私はすでにソフィエお嬢様の第一騎士。辺境伯に断るまでもなくお嬢様の指揮下にあると思いますが。」


というと、途端に3人から大きなため息をつかれた。


「はぁ。わかってはいたつもりだけど、ここまでとはね。本当はディルクから言われたかったし、それを待ってたらいつになるか分からないものね。」


というと侍女二人がうんうんとうなずいている。


「先日、ディルクとも私の婚姻について少し話をしたけど、お父様とも話し合いをもったのよ。それで結婚自体は私が好きにしていいってことになったのだけど、その時に現在私に好きな相手がいることと、その相手に嫁をあてがって邪魔したりしないでねって話をしたの。」


「ほうほう、なるほど。確かに辺境伯であれば、お嬢様の嫁入り――まぁ今回は婿を迎えるですが、お嬢様を手放したくなくて妨害するってこともありえますね。」


「そこまで分かってて、どうして分からないのか」って声が侍女たちから聞こえてきた気がする。なんだ?


「しかし、お嬢様に好きなお方がいらしたとは。全く気付きませんでした。で、どなたですか?私もお嬢様の恋が実るように応援いたします。」


するとお嬢様はすがるような瞳でこちらを見つめてきた。


「本当に?ディルクは本当に応援してくれる?すっごいアピールしても全然気付いてもらえなくて困ってたんだけど、本当にディルクは応援してくれるのね?絶対?全力尽くしてくれる?」


「もちろんですとも。私は常にお嬢様の味方です。全力を尽くすと誓いましょう。」


私は胸を叩いてみせた。しかしお嬢様に、そんなにアピールしていた異性がいたとは全く気付いていなかった。第一騎士として不覚。

するとお嬢様はこちらをにこっと笑ってみせた。


「ディルク、言質はとったわよ!?」


な、なんだ?

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