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冤罪令嬢と青い死神の逆襲  作者: 崖淵


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第25話 ソフィエ・ファン・ライデン(3)

先程までは報告書や申請書類を作っていたが、ディルクは私の部隊の物資の在庫の確認してくるといって、この部屋を出て行った。

出て行った扉を見つめながら、私は思わず机に突っ伏してため息をついた。


「はぁ……。」


そんな私を見て、リネケは苦笑している。


「敵は手強いですね。」


「……リネケ、私って魅力ないのかな?」


「いいえ、そんなことありませんよ。お嬢様はとても魅力的な女性であることは間違いありません。ディルク様だって言っておられたでしょう?『お嬢様のような容姿も才能も優れた女性』と。ディルク様もお嬢様の魅力は認められておられます。」


「じゃあ、なんで?」


「それはまぁディルク様だからとしか。」


「はぁ、どうしたらいいのかしら。」


「もっと直接的に好意を表す…くらいではぬるそうですね。もう直接好意を伝えるしかないのではないですか?」


「ええ?私から直接伝えるの?そんな恥ずかしいことできないわ。」


「じゃあ、ディルク様のことは諦められます?」


と言った瞬間、リネケ以外の部屋にいる侍女たちが一瞬ざわっとした。えっ、もしや…?


「えっ、あなたたちもディルクを狙っているの?」


私は侍女たちに向かってそういうと、侍女たちは顔を見合わせていたが、その中の赤茶色の髪をサイドテールにしたスタイルの良い侍女がためらいがちながらも話してくれた。


「えっ、まぁ……その、なんと言いますか、やっぱりカッコイイですし、お嬢様へのあの忠誠心を見たら、もし彼女にしてもらえたら、いちずに愛してもらえそうですし。控えめに言って、最高じゃないですか?」


うんうん、とうなずく侍女たち。そしてその隣の金髪のボブカットの小柄な美人の侍女が続けていった。


「お嬢様がもし諦められるなら、チャンスかなって。しかも見てると、ディルク様はお嬢様のような高貴な方より、私たちのような位が低い方がかえってワンチャンあるような気がして…。」


そういうと、自分たちがディルクに選ばれた時を想像したのだろうか。他の侍女たちが『きゃっ』と小さな声を上げる。


「だ、ダメよ。ディルクは私のものなのだから。」


私は慌てて侍女たちを静止しようとする。するとその侍女は神妙な顔つきになると


「それがお嬢様の命令とあれば。

……でも、ディルク様が私たちを選ばれたら、お嬢様といえどそれは仕方がないですよね…?」


「えっ。」


私は目の前が真っ暗になった。ディルクが私以外の女性を選んで伴侶とする…?


「リネケ、ちょっとあのこを最前線勤務に飛ばせないかしら?」


「侍女に最前線勤務なんてあるわけないでしょう!?」


まぁそうよね。

ほとんど冗談だったけど、その中にちょっとだけ私の本気を垣間見たリネケも侍女たちも揃ってドン引いていた。


「はぁ。」


「まぁでも、ディルク様としてもどこかの貴族と結婚するよりは、お嬢様に使えている侍女の方がそのまま無理なくお嬢様に仕えられると思えば、他よりはうちの侍女たちの方が可能性はありそうですね。」


その瞬間またざわつく室内。


「ちょっとリネケ!?あなたは誰の味方なのよ!」


「お嬢様の味方ですけど、どこぞの馬の骨ともわからない者にディルク様を奪われるよりかはマシかなと。」


「えっ?リネケの中で私は既に望み薄なの!?」


と言ったら、リネケに視線を逸らされた。私は思わずリネケの肩を掴んで大きく揺さぶった。


「ちょっと、リネケ!なんとかならないの?」


「お、お、お嬢様、ちょ、ちょっとお待ちください。」


ぐるんぐるん揺れるリネケ。


「いいえ、なんかいい案を出すまではこうし続けるわ。」


「わ、わかりました、わかりましたから、止めて下さい。」


私が揺らすのをやめて少し息を整えたリネケはこう話しだした。


「お嬢様がディルク様に直接好意を伝えた方がいいのはもちろんで、そこは変わりませんが、お嬢様の身分の高さは今後もネックになると思いますので、先に辺境伯や奥様の許可を得ておくのはいかがですか?上手く行けばそちらからも援護射撃が期待できるかもしれませんよ。」


「確かに!お父様の許可はどちらにしろ必要だわ。」


「ええ、それに辺境伯がお嬢様もディルク様もどちらにも、いずれ辺境伯がお見合い話を持ってくる可能性もありますからね。それを事前に防ぐためにも大事かもしれませんね。」


「そうと決まれば善は急げね。リネケ、お父様にアポをとってちょうだい。今日の午後にでも時間がとれないかしら。」


私がのほほんとしたままでも、時間はかかってもいつかそのうちディルクと結ばれると思っていたけど、全然そんなことないみたい。

もっと危機感をもたないと!

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