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冤罪令嬢と青い死神の逆襲  作者: 崖淵


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第24話 ケルミス砦戦後

本隊とともにソフィエお嬢様の部隊も領都に帰還した。

ケルミス砦の守備隊は、損壊した砦の修復があるし、本体は捕虜の対応(身代金での解放交渉)などがあるが、我々の部隊は特にそのような雑務はあまりないので、領都に着いてそうそうに部隊は休養期間に入った。


とはいえ、ソフィエお嬢様や私は部隊の勲功や報告書の作成があるので、長期間のオフというわけにはいかなかった。1日休んだ後、私はお嬢様の執務室に出仕し、お嬢様の傍で机に向かって報告書を作成している。そんなときだった。


「ディルク。貴方のこのたびの一連の働きは見事だったわ。私の第一騎士という立場上、その手柄の大部分は私に帰属してしまうけど、そのままでいいとは思っていないわ。何か欲しいものがあったら言ってね。」


「そうですね。これといって欲しいものはありませんが、部下の手前上、何ももらわないわけにもいかないので、適度に金貨でいいですよ。」


「はぁ。欲がないわねぇ。とはいっても最終的には敵を撃退しただけで、先の襲撃だって村を焼くばかりで得るものはなかった。敵が遺棄した四千人分の物資と捕虜の身代金くらいしか収入はないのよね。それも味方の戦死者の補償にあてたらほぼ残らないでしょうし。」


「ええ、基本的に持ち出しばかりなので、辺境伯も頭が痛いでしょうね。辺境伯領もそれなりに豊かですが、守るべき土地が広いので、どうしてもコストがかかりますし。」


そういってまた二人は任務中に使用した物資の決済処理や報告書の書類に戻った。


「ねぇ、ディルク。私はこれからどうしたら良いと思う?」


「どう……とは?」


「狂っちゃった私の人生よ。ディルクは私の第一騎士なのだから、あなたの人生にも関わってくるでしょう?」


「私のことは別にどうでもいいですが、そうですね。

このたびのお嬢様が示した功績は非凡なものでした。ですのでこれから先というと、まずお嬢様の婚姻関係のお話かと思いますが、辺境伯も変なところにはお嫁に出しづらいでしょうね。その嫁ぎ先が当家と敵対するようなことになったとき、お嬢様の指揮能力がライデン辺境伯家に牙を剥くのは避けたいでしょうし。」


「私はたとえ他家にお嫁にいっても、ライデン辺境伯家に剣を突き付けたりはしないわ。」


「まぁそうでしょうけど、ライデン辺境伯家に直接ではなくても間接的にでも辺境伯家に不利になることもありますからね。」


「でも、そうなるとやっぱり身内にお嫁に行く可能性が高い?」


「そうですね。先日は豪商がいいって言いましたけど、これだけ指揮官として非凡なものを示されると、それはもったいないと辺境伯も考えるのではないでしょうか。ですが、辺境伯の家中にお嬢様が嫁に行く家格の適齢者はいなさそうですよね。そうするとお嬢様が婿をとって、分家を立てる感じでしょうね。嫡男であるカスパル公子以外は、ルクセンブルック子爵(ソフィエ叔父)しかご一族がいないので、ありうる話だと思いますね。」


「婿かぁ…誰か私の婿になってくれる人いるかな?ディルクはどう思う?」


お嬢様が頬を少し染めて、こちらを見ている。ふぅむ。

将来の旦那様との結婚生活を想像して少し赤くなっているのかな。


「お嬢様のような容姿も才能も優れた女性と結婚できて、しかも分家筋とはいえ貴族になれるとなれば、引く手あまたなのではないですか?その場合、お嬢様が好きな人を選べばいいと思いますよ?」


「……それってディルクもそう思うの?」


一瞬の空白の後、少しお顔が赤いお嬢様は緊張した面持ちでそう言った。その瞬間、お茶を入れる侍女のリネケさんや壁に控える侍女たちがピシッと一瞬固まったのは気のせいだろうか。

しかし、みんな心配性ですね。私は貴女の騎士なのです。


「私ですか?ご安心ください。私はお嬢様がどなたを選ぶにしろ、私は第一騎士としてお嬢様についていくだけですよ。」


そういって私は二人を安心させた…つもりだったが、なぜか壁に控えた侍女たちはよろけ、リネケさんは深いため息をついて、ソフィエお嬢様は下を向いて何かぶつぶつと言っている。


「そうじゃない。そっちじゃないのよ。婿にディルクを指名したら、ディルクも世間一般と同じく喜んで受けてくれるのかを聞いているのよ……」

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