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冤罪令嬢と青い死神の逆襲  作者: 崖淵


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第15話 哨戒任務

ソフィエお嬢様の部隊は、2週間の訓練の後に輸送及び哨戒任務に就くことになった。とはいえ、この2週間は兵の訓練というより、お嬢様の行軍訓練とお嬢様と兵の顔合わせという面が強かった。


ライデン辺境伯の軍は、伍長一人が自身を含む10人の分隊長となり、軍曹が伍長5人をとりまとめる。

なので、お嬢様が直接関係するのは主に軍曹4人と伍長20人になるだろう。


正直にいうとこの輸送任務に200人という兵数は過大だ。実際は自国内の輸送任務など50人もいれば十分だろう。敵が我が軍の輜重隊への攻撃を意図する時、それは前線の砦を無視して迂回することになり、大軍での襲撃は現実的ではない。

それに敵も輜重兵(農民などの輸送専門で戦闘力無し)を想定して攻撃するのに対し、今回は戦闘力がある一般兵が輸送している。襲撃規模は多くて2~30人といったところだろう。もしかするともっと少なく1分隊10人程度かもしれない。相手が輜重兵だけならそれで十分だからだ。

相手が騎馬兵中心でも一般兵が50人もいれば、荷駄を盾に十分戦える。相手は遠路はるばる迂回してきており、無理も出来ないからだ。

そこを正規兵200人。うん、過保護だ。まぁ万が一にもお嬢様を失う訳にはいかないからな。


まず、お嬢様は軍曹4人の挨拶を受けた。

マシュー軍曹、アレイレ軍曹、スコット軍曹、ピエール軍曹の4名で、全員私とは旧知の仲だ。3年前までは、一緒に轡を並べて戦った仲だからな。

うん。これも私がお嬢様が困った時に、サポートしやすいようにっていうティボー将軍の親心、いや爺心なんだろうな。

なんだろうな、このモヤモヤした感じは。将軍は私のときはもっとスパルタだった気がするのだが。


私は騎士階級なので、4人に命令すれば私の指示には従ってくれるだろう。気心も知れた仲だしな。だけど、極力黙っているつもりだ。別にお嬢様は愚かではないし、むしろ優秀なお方だ。折角の過保護配置なのだから、お嬢様が多少ミスしても問題ない状況なので、思うがままに指揮をとって慣れてもらいたいと思う。


と思っていたが、どうやらそう思うこと自体が失礼だったようで、最初からお嬢様は想像以上に優秀だった。主席は伊達じゃないということか。初日は200人全員で行軍していたのだが、すぐにその人数が多いことに気付いたのだろう。


「マシュー軍曹、引き続き輜重隊を率いて進軍しなさい。アレイレ軍曹、輜重隊の後方で待機して、輜重隊が襲われるようなことがあればすぐに支援なさい。スコット軍曹とピエール軍曹はそれぞれ進行方向の左右を哨戒しなさい。敵を発見しても攻撃はしないように。輜重隊を敢えて攻撃させてから、背後から攻撃しなさい。」


と、指示を出した。翌日からは輜重の担当は1部隊50名のみに減った。そして2部隊を哨戒に、1部隊を後方の予備部隊とした。もし敵が輸送隊を攻撃しようとしていても200名で守っていたら逃げてしまうかもしれない。そこを手薄にして敢えて攻撃させて、撃滅してしまおうということだ。

200名で行軍して、安全に輜重を輸送するだけで良いという方針でもよさそうだが、敵を減らせる機会があるなら減らすべきと判断したようだ。


お嬢様自身の配置を輜重隊に置こうとしたのは止めたかったが、お嬢様は聞かなかった。


「ディルク、あなたなら私を守れるでしょう?」


と言われてしまえば否やとは言えなかった。


周囲は灌木が生い茂りところどころに林や湿地があるような場所だ。荷車や人の足で踏み固められた国境の砦までの街道を進軍していく。

3日目、スコット軍曹より敵迂回部隊の存在の報告がもたらされる。後方のアレイレ軍曹に伝令が飛ぶ。ピエール軍曹にも遊軍となるように伝令が飛ぶ。

お嬢様は真紅の鎧に金色の兜を装着し、より目立つ格好になった。輜重隊がいるからもう餌としては既に十分だと思うのだが。そう伝えたら無言でじっと見つめられた。

うっ。なんですか、その目は。


小一時間後、騎馬兵20余りが輜重隊を襲ってきた。あらかじめ決められていたとおり、兵は荷駄を盾に防戦を始めた。この頃になると襲撃隊もただの輜重兵ではなく一般兵であったことに気付いたのだろう。それでも少し攻撃を仕掛けていたが、望んだ結果が得られないと見るや、引く構えを見せた。その瞬間、スコット軍曹が背後から攻撃を仕掛けた。挟み撃ちに背後からの奇襲。次々に討ち取られていく襲撃隊。もはや逃げられないと悟ったのだろう。「せめて手柄首を!」と目立つお嬢様に向かってくる。明らかに高貴な指揮官に見えるから、まぁそうなるよね。

4騎ほどがこちらに向かってきているようだ。


「お嬢様に指一本触れさせるわけがなかろう。」


だが、その前には私が立ちはだかる。

お嬢様の騎馬の前に私の騎馬を進みいれて、槍を構えた。

敵も槍を構えて向かってくるが、甘いな。敵の槍を躱し、槍を一突きする。すると喉を突かれた敵の騎馬はもんどりうって倒れた。

続いてくる敵の槍を躱すと、槍の柄で騎馬から叩き落した。そこに我が軍の歩兵が群がり剣を突き立てる。

次の敵は二合ほど槍で打ち合ったあと、私に胸のあたりを槍で突き刺され落馬していった。

最後の一人は怯んだところを馬を躍らせ一息に突いた。ドウ!と倒れる騎馬兵。


「ふふん。ディルクなら当然よね。」


と倒れた騎馬兵を見下ろしながら、なぜかお嬢様がドヤ顔している。


「そういえばお嬢様、初陣なのに怖くなかったんですか?」


「すぐそばにライデンの青い死神がいるのに、恐れる必要があって?」


「……。」


お嬢様は大物かな?

結果的に完勝だった。


このような襲撃は結局この1回だけだったが、1か月間の輸送任務と哨戒任務をこなしたお嬢様は、次第に指揮の才能を目覚めさせていった。



そんな時、辺境伯が手勢を引き連れて王都屋敷を引き払い領都へ帰還した。

これは傍からみると、ライデン辺境伯にオラニエ王国からの独立の意思があるとも見え、オラニエ王国のみならず周辺諸国に激震が走った。

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