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08:夢

ちょびっとシリアス







『陽菜―!いったよー』

『はーい!』


自分に向かって落ちてくるボールを力いっぱいアタックする。


パァーーン!!


ピーーーーー!



わぁああああああ!!!!


『やった!』

『よくやった!陽菜ー』

『陽菜ちゃん偉い!』

『ナイス!佐久間!』

『わー!ありがと、みんな!!』


中学生活最後の県大会決勝。

5対5の同点。残り時間27秒。

最後の最後で玲ちゃんからのトスを私が打って、勝利。

懐かしいなぁ。あの後みんなが飛びついてきて、倒れたんだよね。思いっ切り頭打った。

・・・・・は!私が馬鹿になったのはアレが原因かぁ!











『陽菜!あんた何時まで寝てるの?』

『ぅ、う~ん・・・』

『今日玲花ちゃん達と遊ぶんじゃなかったの?』

『・・・・・・あぁ!!』

『早く着替えて朝ごはん食べちゃいなさいよ』

『わわわわわ!忘れてた!!お母さん、ありがと!』


前日に用意しておいた服にささっと着替えるとバタバタとリビングに駆け込んだ。


『お父さん!今何時!?』

『8:19』

『後21分しかない!お母さんごはんごはん!』

『そこにあるでしょ。あわててお茶こぼさないでよ』

『大丈夫!』

『朝から騒がしいな。いったい誰に似たんだ?』

『お父さんだよ!』


私のお父さんはちょっとおかしくて、平日は今日の私みたいに全く起きられないくせに、こういう休みの日は太陽が昇るのと同じ時間に眼を覚ます。

おかげで、平日の朝は私以上にバタバタしている。家を出るときにシャツのバタンを半分も留めないままネクタイを持って走り出ていく姿が、ご近所さんの日常の一部になってしまっているほどだ。


『じゃ、いってきまーす!』

『いってらっしゃい』

『車に気をつけてなー』

『うん!』











光里ひかりぃ数学どうだったー?』

『ふふん。聞いて驚け見ておののけ!じゃん!96点!!』

『・・・おぎゃあ』

『対応が適当過ぎやしないかい?陽菜さん』

『見てみて!私7のぞろ目~』

『え?そこスルーするの?』

『最近陽菜ちゃんは光里のあしらい方上手くなったね』

『あ!祐貴ゆうきちゃん。ほんと?嬉しいなぁ』

『私は悲しい』

『うるさいさいぞ光里』

『酷い祐ちゃん・・・』

『祐貴ちゃんは点数どうだったー?』

『うっ・・・・・さ、31・・・だ』

『・・・・・・・・・・アイスクリームだね』

『それ慰めになってなくない?』

『じゃぁ光里が何とか言ってよ』

『無理』

『いや、いいんだ2人とも。こんな点数を取った私が悪いんだ』

『え、いや、あの』

『どんまいだよ!祐ちゃん。祐ちゃんには陸上があるじゃない!』

『・・・あぁ』


学力テストきつかったな~。

高校に入ってすぐのテストがあるとは思わなんだ・・・!

この時に祐貴ちゃんが勉強苦手だって判明したんだよね。


祐貴ちゃんはショートカットが似合う男子顔負けの男前な女の子で、中学校のころはよく女の子に囲まれてたって光里が言ってた。口調もカッコイイし、運動も得意だし、優しいし、高校でファンクラブが出来るのも時間の問題だね。


で、その祐貴ちゃんの幼馴染の光里。オシャレやショッピングには興味が無くて、都市伝説や怪奇現象の為なら自腹で海外に行くことを躊躇わない、とってもアグレッシブな女の子。頭も良いし、妙な知識をいっぱい持ってる・・・・不思議ちゃんかもしれない。




光里が私の今の状況知ったら、すごく羨ましがるだろうなぁ・・・
















「ぅ・・」


あれ?私の布団こんなに柔らかかったっけ?それに花の良い匂いがする。おかしい。



「あ・・・私・・異世界にいるんだっけ・・・・・」



布団があまりにも気持いので起き上がることはせずに窓の方を向く。カーテンを閉め忘れていたみたいで、大きな月が眼に入った。その色は私の世界の月と違って_______________紅い

なんだか怖くなって眼を逸らした。


(私・・・本当に異世界にいるんだよね・・・・・)




ポロポロ・・・・・



頬が濡れる。

懐かしい夢を見たせいなのか、ここが異世界だという事を再確認したせいなのか・・・

急に心細くなってしまった。

今になって、やっとロッソ君の謝罪した意味の重さが分かった。


「ぅっ・・・・・ぅぅう・・・ひっく・・・・・うぇ・・」


次から次へと涙が零れてくる。拭っても拭っても止まらない。

そのまましばらく泣き続けた。











『お前は元の世界に帰れる。これは俺のディア・アイライズの名にも誓おう』




「ぅ・・・ディアさっ・・・・・?」


ふとディアさんの言葉を思い出した。


『お前は元の世界に帰れる』


ヒンヤリしていた心に少し熱が籠った気がした。

今の今まで止まらなかった涙が勢いを落としていく。


ディアさんの顔を思い浮かべる。

彫刻のように綺麗な顔で優しく微笑んだディアさんは本当に女神様みたいだった。

思えば、ディアさんと一緒にいたからこそ今まで平気だったんじゃないかなぁ。

ディアさんの行動は全部私を気遣ってくれてるんだって感じた。お茶もお菓子も美味しかったし。



「・・・・・・・・・・晩ご飯、美味しかったなぁ」


お母さんよりは確実に料理上手だ。

ご飯は全てディアさんが担当してるらしいから、朝ご飯も楽しみ。帰った時に舌が物凄く肥えてそう。


「ふぅぁぁ・・ねむっ」


大きな欠伸を一つすると、枕をぽふぽふ叩いて形を整えて寝る体制に入る。

もう涙は出そうにない。


(私こんなに食い意地張ってたかなぁ?これもそれもディアさんのご飯が美味しいからだ!)



眼を閉じると、一気に眠りに落ちていった。







週1更新って言ったそばからさらにUP


まだ陽菜に恋愛感情はありません。

美人で、料理が出来て、優しくて、頼りになる人だと思ってます。


プロローグ含めて9話も進んでやっと1日終了

この話は完結に辿り着けるのか・・・?


(*´∀`)/PV8000越えありがとうございます!

お気に入り登録、評価もとても嬉しいです!謝謝!


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